第52話 ぐにょぐにょした突起のある…
守がカリンの元へ戻ると捜索に協力してくれるノスフェラト家とリャナンシー家の使用人たちが控えているのであった
「ノスフェラト家とリャナンシー家も例の代物の探索を手伝っていただけるとのことです」
「ヴラドさんとカーミラさんとさっき話したから聞いているよ。未知のものを探すのに人員が増えるのは大変ありがたい。みなさんよろしくお願いします」
集まった使用人たちは両家で総勢20名ほどになり、探索に協力してくれることとなる
守が頭を下げると使用人一同が一斉に頭を下げ返す
「それで…例の代物についての完全な情報を得たわけではないのですが、街の外れで流れ商人をしている吸血鬼がおり、その商人が何か知っているのではないかとの情報を使用人たちが得てきました。まずはその商人の元で話を聞いてみてはどうでしょか?」
「そこまでわかっておるのなら使用人に連れてこさせればよいのじゃ。わざわざ守が出向かんでも…」
「おっしゃる通りなのですが…なんでもその商人は守さん本人が来なければ何も話すことはないと一点張りでして…」
「ロリ巨乳、あんたの管轄下で下っ端すら管理できないの?」
「ぐぬぬ…何もいい返せないのじゃ…」
「俺が行けばいいだけの話なんだから、いいじゃないか。そうジルを責めてやるなって」
「で、では我らは商人の元に行くのじゃ。それでカリンたちはどうするのじゃ?」
「私統括のもと、吸血族の里の外の捜索を続けさせます。ノスフェラト家とリャナンシー家の使用人が増えたことで作業量も増える筈ですので」
「じゃあ、商人に話を聞いたあとそっちに合流するよ」
「ええ。後ほどヴラド殿、カーミラ殿も合流するとのことでした。その時に成果を共有いたしましょう」
カリンから離れにいるという商人の場所を聞いた守たちは、礼拝堂より北の街はずれへと向かう
「それにしてもよ。守を呼び寄せるなんてどういう神経をしているのかしら」
「大方英雄をこの目で見たいとかそういった理由なのじゃろう。我からも注意をするのじゃ」
「…こ、この辺りではないでしょうか?(ボソッ」
「あの露店がそうみたいだな。すいませーん!!」
守が呼ぶと吸血鬼にしては珍しい、小汚い服装の職人気質な老体が怒声をあげながら出てくる
「懲りずに別の使用人が来よったか?何度もゆっとるじゃろ。英雄がおるんだったらそいつを連れてこいと…」
「ええい、落ち着くのじゃ。よもや我の顔を知らぬ吸血族の同志がおるとは言わせぬぞ?」
「うん…?ジル王女か。…これは失礼いたした。ということはそっちの若造が英雄かの?」
「その通りなのじゃ。聖騎士団所属大魔法剣士の聖守なのじゃ」
「おぉ!!儂の話を聞きたいと言うは英雄の中でも異世界の勇者でおったか…。長年の経営で目を悪くしておっての。どれ、よく見ると銅像のそれにそっくりじゃな」
「素性をわかってくれたのなら何よりです。それで本題なのですが、聞きたいことがあり、ここまで来ました」
「…先に来た使用人たちより少しは聞いておる。そんな代物があれば、高値をつけて売るより、手元に置いておくのだがの…」
「呼び寄せておいて何の情報も得られないとはね…。私たちを呼び寄せた罪、どうしてくれようかしら?」
「口が悪いお嬢ちゃんじゃな。まあそう早まるものではない。代物についての確定的な情報はないのじゃが、長年の旅で聞いた噂話ならある」
「そういうことは先に言いなさい」
「先ほども言うたのじゃが、現物を見たことがあるわけではないのでな、頭の隅においておっただけなのじゃが、この世界の物でないものに強大な魔は宿るという噂をその昔に聞いたことがあるのじゃ」
「この世界ではない物…?」
「半信半疑でおったのじゃが、お主の存在を聞いた時にこの話の信憑性が高まってきての。今目の前に見て、その魔力量を確認して確固たるものとなったのじゃ」
「ご老体、ひょっとして鑑定眼を持っているのですか?」
鑑定眼、ものを見ただけでそのものが持つ情報がわかる固有スキルの一種である
とても有益なスキルであるが、目を開いているだけで様々な情報が自然と入ってくるため、長年使い続けると視力の低下が著しい
「この職についたきっかけじゃよ…。お主も異世界からきた者。こうして近くで見るだけでその抑えている魔力量の凄まじさがわかるのじゃ」
「視力が悪いのはそういうことですか、なるほど」
「話は戻すのじゃが、つまるところ別の世界から来たものがこの世界にあるやもしれない。そういうことじゃな?」
「ちょっと待って。私たち二人は守の契約精霊なのだけど、ここに来た目的は、この地に探しているものがあるかもしれないという話を聞いたからよ。実際に守から魔力を供給されてなくても側にいることができているわ」
「この地のどこかにその代物が確かにあるということじゃな。どれ…儂も興味があるから手伝おうか」
「人員が増えるのはとても助かります。この後カリンちゃんたちと合流するので、ご老体も同行願えますか?」
「丁度暇をしていたのでな、ご一緒しよう。儂はアレイスター=ベルモンドという。よろしく頼もう」
「(ベルモンド…?ヴァンパイアハンターにそんな名前を聞いたことがあるような…)よろしく願います」
商人アレイスターの協力を得ることができ、得た情報とともにカリンたちと合流することにする
カリンのいる場所へつくと同じタイミングでヴラドとカーミラも合流するのであった
「探し物の成果はどうかね?」
「それがまだ確信的なものはないんですよ…」
「ちょっといいかしら。今更で申し訳ないのだけれども、守ちゃんが探しているというものは何なのかしら?」
「そういえば、お二方には詳細を話していませんでしたね。じつは…」
守は代表クラスの人間を動かして探しているものについて、また、これまでの経緯についてヴラドとカーミラに説明する
「異界のもの…?ひょっとしたら先ほど話したのがそれなのではないだろうか?」
「見せたいと言っていた容器のような物ですか?」
「何なのそれは?」
「先日探索をしていた帰りによくわからない容器のような物を見つけてな。常に魔気を放っているのだが、魔法具の類には見えないと言う話を先ほど守くんにしていたのだ」
「そういうことは先に教えなさいよ、まったく…」
「す、すまん…」
「ヴラド公爵、それはどういった感じなのでしょうか?」
「それが私も長いこと生きているが、見たこともない物でな。ぐにょぐにょした突起のある…そういった物だ」
「ぐにょぐにょした突起のある…?(いかんいかん、アレしか出てこない)」
「私たちの探しているものはそんな卑猥な表現になる物なのかしら…」
「…げ、現物を見るのが怖くなってきました(ボソッ」
「ヴラド公爵、それは下ネタかしら?」
「カーミラさん直球ですね…」
「この場面でそんな下品なことをいうわけあるまい。見た目と触り心地でそう形容したにすぎない」
「おそらくそれが異世界からきた物じゃろうな。じゃが、そんな形状のものを聞いたことがない。英雄殿は何か思い当たらんか?」
「そうですね…俺がいた世界の物と仮定してみると何個か思い当たらないこともないのですが…この世界にないものと考えるとピンとこないです」
「ここで話していても時間を無駄にするだけです。ヴラド殿のお家に伺いましょう」
「そうじゃな。色々謎は残るのじゃが、とにかくヴラド殿の家に一度行ってみるのじゃ。見れば全てわかるじゃろう」
「それでは案内いたしましょう」
現場の続きは使用人たちに任せ、主要メンバーは一度ヴラドの屋敷に現物を見に向かうのであった
今回から登場の流れ商人の吸血鬼アレイスターですが、流れ商人という設定を活かしてこの後の話にもちょいちょい絡んでいきます。(鑑定眼は便利ですからね…)
(タイトル回収の)後半少し下っぽく表現している部分がありますが、現物は当然下との関連はありません。次回公開いたします。




