第49話 初めてに同伴しましょう
「守さん、ジルお姉様おかえりなさい。準備は整っています…って後ろの方々は?」
「ああ。この二人は…」
カリンの問いに対して、今までの経緯からか守に関連する女性に高圧的な態度になっているウンディーネは守とジルの前に立ち、カリンに向かって言い放つ
「人に名を聞くときには自分から名乗るのが礼儀ではないのかしら?」
「…これは失礼いたしました。私はカリン=バートと申します。そちらのジルお姉様の妹で、今はこの吸血族の里の責任者代理を務めています」
「ふ〜ん…あんたがここのね…」
「ウンディーネ?」
「わ、わかっているわ。私はウンディーネ。世間では四大精霊なんて言われているわ。守の契約精霊及び第一の…第二の女よ。守に手を出さないのならよろしくしてあげるわ」
「かの有名な四大精霊と契約を…さすが守さんですね。それにしても、ジルお姉様の好敵手なのですか…。私はジルお姉様のついでにで良いですので、仲良くできそうです。それでそちらの守さんの後ろに隠れている方は…」
「そいつはノームなのじゃ。ウンディーネと同じく守と契約しておる四大精霊なのじゃが、内外問わず、引きこもりなのじゃ」
「…よ、よろしくお願いいたします(ボソッ」
「ジルは棘のあるような言い方で紹介したけど、ノームは人見知りが激しいんだよ。基本俺以外にはこんな感じだから、悪く思わないでやってくれ」
ジルと守の説明に軽い挨拶だけで済ませたノームは、再び守の後ろへ隠れるのであった
「四大精霊二人と契約していることにも驚きなのですが、ジルお姉様がここまで刺々しく接するのは大変珍しいですね」
「ジルとノームは昔からどうも相性がよくないらしくね。せめてカリンちゃんだけでも仲良くしてくれるとありがたい」
「私はジルお姉様程の活発さはありませんので、仲良くできると思いますよ?」
「ああ、是非仲良くしてやってくれ」
「それで最大精霊のお二方が本日はこちらにどのような要件でいらしたのでしょうか?」
「実はね…」
ウンディーネが余分なことを言わないように二人に代わり守がカリンに二人が訪れた理由を話す
「二人とは異なるが、俺も魔法剣士として興味のある話なんだけど、カリンちゃんは何か知らない?」
「そうですね…。私もそういったものがあることは存じてないのですが…ジルお姉様も知らないのですか?」
「知っておったら、カリンに聞かぬのじゃ。うむ…長期にわたって滞在しておるカリンでも知らぬとなると…」
「そうですよね…。歓迎会の裏で探らせてみますので、少しお時間をいただけないでしょうか?」
「それは構わないのだが、歓迎会?ひょっとして、歓迎の準備ってわざわざ会を開いてくれるのか?」
「ふふふ…せっかく守がここまで来てくれたのでな。吸血族の重鎮を集めて、守の歓迎会を開こうと準備させておったのじゃ」
「おぉ!!ありがたい話だ。よくよく考えれば、こっちに来てから歓迎会なんて大々的なものを開いてもらったことなかったな〜」
「他の種族と違って我が一族は守を歓迎するからの。会場はこっちなのじゃ!!…ついでに妖精'sも付いてくるのじゃ…」
「このテンションの差よ。まぁいいわ。守の初めてに同伴しましょう」
「…ま、待ってください…(ボソッ」
ジルとカリンに案内された場所は、少し離れた場所にある廃れた礼拝堂で中に入ると真っ暗で誰もいないことに守は疑問を抱く
「あれ?なんとなく礼拝堂だと察していが、どう見なくてもすごい静まっているけど…」
「ふふふ…言ったじゃろ?守の知っておる吸血族の里とはかなり変わってきているのじゃ。礼拝堂も以前とは違う」
礼拝堂奥にある祭壇の前まで案内された守達は、祭壇中央にあるトロフィー型の聖杯を見るように催促される
「ちょうどウンディーネがおるのでな、あの聖杯に純水を入れるのじゃ」
「なんであんたの命令を…」
「まぁまぁ、探し物を手伝ってくれるって話なんだから、これくらいな!!」
「まぁいいわ。純水」
聖杯に純水が注がれると、聖杯は光出し、祭壇が奥に動き、下に通路が現れる
「なんだかすごいカラクリだな…。どうしたんだこれ?」
「その聖杯は魔法具になっていまして、純度が高い水を注ぐと聖水を生み出す魔法具なのです。守さんもご存知の通り、以前はこの礼拝堂が作戦会議などの集会場として扱われていたのですが、こういったお茶目なものもあってもいいんじゃないかと終戦後作ったのです」
「…それにしても聖水って…ほんと、俺の知ってるヴァンパイアと違いすぎる」
「ささ、行くのじゃ」
「ああ、そう引っ張るなって!!(うん?さっき感じた違和感が…)」
通路が現れたのと同時に、吸血族とは違う雰囲気を捉えた守は、気を探ろうとするも、ジルの勢いにそのまま通路へ入っていくのであった
少し歩いていくとそこには、守も見覚えがある、吸血族の重鎮達がいるホールへと繋がるのであった
「おお、アストン皇国のパーティホールみたいな場所だな。これも模したのか?」
「色々な思惑があっての。何も守と戯れるだけに外へ出ている訳ではないのでな」
「どの口がいうんだか。結局これもパクリってことなんでしょ?」
「アハハ…言い返す言葉がありません」
「…い、いっぱいいます…(ボソッ」
ホールの中へ入っていくと先ほど会った時とは違い、メイド服姿のホロが皆を出迎える
「ジル様、お姉様お待ちしておりましたのデス。ついでにそこの…って知らぬ女が増えているのデス」
「紹介するよ。ウンディーネとノームで二人とも俺の契約精霊だ」
「これは大丈夫そうね。だけど守に害をなしたら許さないわよ?」
「…よ、よろしくお願いいたします(ボソッ」
「み、水の精霊王に大地の精霊王…(ま、まずいのデス。こ、これでは計画が…)」
「冷や汗がすごいが、大丈夫か?」
「何をジロジロ見てやがるのデス。私は準備に戻るのデス」
ウンディーネとノームを見て、何かを焦り出したホロは急ぎ足で守達の場を後にする
その後、守達は知っている重鎮たちと軽い挨拶を交わしていき、いよいよ歓迎会が始まろうとするのだった
歓迎の開式はジルが務め、壇上にあがり軽いスピーチを行う
「皆の者、本日の準備大変ご苦労なのじゃ。無事本日を迎えれたことを我はとても嬉しく感じるのじゃ。知っての通り、我々吸血族は戦争時代、魔族との共存を拒み滅ぼされそうになったこともあった。しかし、本日の主役である守の所属する聖騎士団に救われたこと。何よりも四人の人族に救われたこと。これを忘れてはいかんのじゃ。平和な世になった今じゃからこそ、人族と歩んでいくことこそ我々の一族のこれからがあるのじゃ。まだまだ課題はいっぱいあるじゃろうが、第一歩として、代表である我が守と婚いでその先陣を斬るのじゃ。皆の者暖かく見守ってくれ」
「うんうん…、っておいっ!!」
「はぁ〜〜〜?」
「…い、痛いです(ボソッ」
守の叫び声とウンディーネの怒号をかき消すように集まった重鎮達が歓声をあげる
「先手を打ったのじゃ。この歓声わかるじゃろ?守と我の仲を拒む者など吸血族にはおらぬのじゃ」
「いや、行動で示さなくても…。どうするんだよ、これ」
「いい挨拶を期待しておるぞ?」
「否定しなさいよ、守!!」
ジルの先制に頭を抱える守は、先に感じていた謎の気配を気にしながらも、この後に何を言うのかで悩ませるのであった
「この礼拝堂の仕掛けに少し驚いて、英雄様の気に少し触れてしまったようですね〜。反省反省。それにしてもすごい歓声が聞こえますが、果たして無事にこの会場を抜けられるのか、見守っていますね。ふふふ…」
自身の存在がようやく認知されかけていることに喜びを感じつつ、闇へと溶け込んでいくのだった
新年初更新です。今年も作品共々よろしくお願いいたします。
会場に集まっている重鎮たちですが、名前を近辺で出していきますが今回は軽くだけです。主に妖精'sの目的の方で頑張ってもらう予定です。




