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第44話 噛み噛みだよぉ…

守がオリビア領での一日を堪能(?)した次の学園登校日、守の在籍するクラスでは、色々な意味でざわざわとしているのであった

いつもの通りアディリシア、ニースを連れて登校してきた守は昨日の件でニヤニヤしているエリカにこのざわざわが何なのか尋ねる


「男子が妙に浮ついているように見えるのだが、何かあるのか?」


「さぁ〜男たちの薄黒いオーラなど気にかけたくもありませんわ」


「そういうお主はピンクのオーラを放っているようじゃが」


そう言いながらジルとジャンヌの二人が守の元へやってくる


「昨日はお楽しみだったんだよね?」


「お父様とお母様に挨拶していただきましたわ!!」


「「「「!?」」」」


「あ、あの後そそそそんなことがっ!?」


「やっぱり邪魔をし続けるべきだったのじゃ」


「守さんとの二人の生活が終わってしまいます…」


「…いや、そういう意味じゃないからな?」


「もう少し悦に浸らせていただいけてもいいではありませんか…」


「というかアディリシアも驚いているけど、家族にという意味ならアディリシアなんて当の昔から知り合いだろうに…」


「この場の雰囲気に合わせてみました」


「ああ。そう…」


転入生のことよりもオリビア領で守が過ごしていた事についての方が気になる女性陣はそちらの話をどんどん進めていこうとする

あまり変なことを言われると困るとふんだ守は、話を戻すべく、アディリシアに尋ねることとする


「…話は戻すけど、アディリシアはこの浮ついた雰囲気に何か心当たりはあるか?」


「そう言えば、転入生がいらっしゃるとお兄様がおっしゃっていました」


「こんな時期にこのクラスにくるのって割と重要なことじゃないのか」


「すみません。私は基本的に()()()()()()()以外には無頓着なようです」


「可愛く言ってるけど、王女としてそれはどうなの」


「うふふ…守様にツッコミを入れられました」


「姫様あれからちょっとずれちゃってますね…。なんだかメイさんに寄っているようです…」


守は結局のところアディリシアから転入生がくるという情報のみしか引き出せないまま朝礼へと入っていく

アキレウスと共にクラスへ入ってくる噂の転入生は、前髪が隠れ、体系は小柄の所謂文学系少女のような見た目をしている


「ぷくく…男子諸君待たせたな。守ハーレムと関係ない転入生がきたぞ。大いに喜ぶがいい」


「(あの笑いはよくないことを考えているときのやつだぞ)その守ハーレムという言い方やめろ!!だいたい後から来たのはメイだけだろっ!!ってそういえばメイは?」


「あいつはMVP関連の邪魔ばかり行なった罰を受けているため本日は欠席だ」


「色々と自業自得だな…」


その頃、罰を課せられているメイはアイシェと共にロベルタの監督の下で王宮の草毟りをさせられているのであった


「乗っかったとはいえ、何故私がこの二人の監視を…」


「…ご迷惑をお掛け致しております」


「あ〜三大貴族筆頭だから厳罰は軽めですみましたが、めんどくさいです〜。守様に会えないのが辛いです…ふ、ぶあっくっしょん!!」


「汚っ!!」


「…お嬢様、はしたないですよ」


「誰ですか、噂をしているのわ…。はっ!!きっと守様に違いありません!!私が学園にいないことを気にしてくださっているのですよ!!すぐに終わらせてその元へ向かいます!!」


「…幸せな頭をしているなファントム家は」


「…お嬢様のいいところでございます」


一人勝手な妄想をし、やる気を出すメイは草毟りをする手を早めていくのであった


「何だか悪寒がしたぞ…」


アイツ(メイ)の話は置いといて、挨拶をしてくれ」


アキレウスに催促され、前髪で隠れて見えないものもおそらく涙目なりながらに少女は名乗る


「あああ、あの…わわわ私は…エキドナ=ミーアと…いいましゅ…」


両手でスカートを掴みあわあわとしているその儚げな姿と名前をいい淀んでいるその姿にクラス中の男子は悶々とするのだった


「じじじ、じちゅはっ!!大魔法剣士様に師事したくてこちらまできまちた!!う〜…噛み噛みだよぉ…はぅ」


「「「「え〜〜〜っ!!」」」」


「ぷぷぷ…」


「お、俺に師事だって?」


エキドナが守の弟子になりたいと宣言したことで、つい数分前まで喜んでいた男子人は一気に固まるのであった


「うん?ミーアということはひょっとしてラミア族出身か?」


「ははははいっ!!その…以前は私たちの里をお助け頂き…ありがとうございます」


「いや、それは構わないんだけど…ラミア族の子が俺に弟子入りしたいってどういうことだ?あと、少し落ち着いてくれ」


「すみましぇん…。じ、実はですね…ラミア族の方で人間と共存していくことが正式に決まりまして…」


ラミア族はジルの属する吸血族同様どちらかと言えば魔族寄りの一族であった

戦争時代は吸血族のように種のプライドから魔王に従わなかったことから魔族から狙われていた

そのラミア族を救うべく聖騎士団が救援で向かった際は、人族にと拒否されながらも、一生懸命ラミア族をを救っていく様子を見てこの四人ならと聖騎士団に味方するようになる

しかし、魔族の侵攻でおった傷は大きく、また、聖騎士団以外の人間と交流を持ちたくないと大戦では聖騎士団のサポートをするまでには至らず、物資などを提供してくれていた


「俺たち以外とも友好的になってくれるならそんなめでたいことはないが、そもそもエキドナが選ばれた理由は?」


「勇者様や大魔法剣士様が学園に入られたという噂がこちらにも流れて来たのです。それで学園に入れる年齢の中から代表を選ぶ事になりまちて…」


「なるほどな。その眼力を抑えられる一番のエキドナが選ばれたわけか。下半身が蛇の姿ではなく、人の足に見えるが、これは変身魔法か?」


「そ、その通りでちゅ…。恐れ多いことですが、大魔法剣士様に少しでも興味を持っていただくようにと変身魔法を継続できるだけの魔力を蓄えてきました」


「これだけできていれば、俺の弟子になる必要性は見えないが…」


「い、今眼力の話がでたのでちゅが、変身魔法に意識を持続してしまうと眼力を抑えるための集中力がもちまちぇん」


エキドナが言う眼力とは、眼を見た相手を石化する小蛇王眼(バジリスクアイ)のことをいい、ラミア族は全員が保有している

小蛇王眼は常時発動している魔法に近いものであるため、魔力に耐性のない人は石化しやすくなる

人とラミア族が共存するためにはラミア族が小蛇王眼を抑えていかなければならないこととなる


「なるほどな。小蛇王眼を制止する魔法と変身魔法の両方を発動し、それを維持させるためにということか…。アナト姉でもよかったんじゃないか?」


「もちろん回復役(ヒーラー)様の下で修行するというお話もありまちたが、大魔法剣士様に師事して頂きながら学園の人族との交流も兼ねなさいとのおたっちがありました」


「う〜む…話を聞かせてもらって悪いが、俺は弟子をとるとかそういうのは…」


「はぅ!!お、お願いちますっ!!何でもちますので」


「ん?今なんでもって…。ってそうじゃなくてだな〜」


「こ、これでも家事とかもマスターちています!!」


「ちょ、ちょっと待ってください!!守さんの身の回りのお世話はこの私がいます!!お株を奪わないでください!!」


「う〜…それでしたら、この身をお好きなようにちていただいても…」


「「もっとダメです(わ)!!」」


ニースとエリカの食い気味な否定と代案が出てこないことにエキドナは涙目になる


「あら?いいじゃない♪」


その声と共にいつもふいに現れる守の師匠(アナト)が言う


「アナト姉…今日はなんで学園に?」


「そんな嫌そうな顔しなくてもいいじゃない。今日は次回のイベントの話をしに寄ったのよ。そうしたら、いつものようにここが騒がしいんですもの。それよりも、弟子をとるのはいいことじゃない?」


「そうは言ってもなぁ〜。小蛇王眼を制御する魔法はともかく変身魔法とか使ったことがないしな〜…。人間とラミア族の友好のつなぎとか重役すぎて…」


「世界を救うという重役をこなしてきたわけだし、大丈夫なんじゃない?」


「それを言われると返す言葉もない…。はぁ〜…アナト姉もああいうし、弟子とかそういう仰々しいものにはしないけど、協力はするよ」


「あ、ありがとうございましゅ!!」


アナトの言葉を受け、しぶしぶながらもエキドナに協力することとなった守は、この件が発端で後に大ごとに巻き込まれることになろうとはこの時まだ知らぬのであった

今回は久しぶりに主要人物がほぼ全員登場回となりました。そして、新キャラエキドナの登場です。

新章とかそういったものではありませんが、今後のシナリオで関わるキーパーソンの一人として登場させています。

その大きな展開に入っていく前に、事前告知していましたジル編、守編、質問会編を書いていきます。

質問会編では、エキドナも絡みます。ちなみに、前話最後の不穏な影とエキドナは別人になります。

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