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第9話 ご一緒してもいいですか

〜メイ〜


付添人のアイシェに呼ばれ、守との時間を強制終了させられたメイは不機嫌になりながらも渋々貴族会議へ向かう


「(そう言えば、守様に救われたオリビア家の次期当主が気になりますね。守様の唇を奪った女…許せない許せない許せない許せない…殺す殺す殺す殺す…おっといけません。嫉妬でオリビア家を潰してしまってはそれを救った守様に嫌われてしまいます。悔しいですが我慢するのですメイ)」


「そういえばアイシェ、オリビア家と言えば、元々ランスという長男が跡をつぐのではなかったのですか?」


「…オリビア家のランス様は先の大戦の際に亡くなられています。それにより長女のエリカ様が跡を継ぐことになりました」


「合点がいきましたわ。守様はそのランスという者のためにエリカを救ったと言ったところでしょう」


「アナト様に尋ねたところ、概ねその通りです。ハワード家が絡んでいたのも守様を動かすきっかけになられたのだと思います」


「守様を不快にさせるような貴族は私が直接潰しても良かったのです。国王に止められなければ実行いたしましたのに…」


「殺気がすごいですよ、お嬢様。…助けてもらった件もそうでしょうが、元々エリカ様は大魔法剣士の熱狂的な愛好者だったそうです。その件を含めて完全に好意を示すことを決意されたのかと思われます」


「熱狂的な愛好者なんて長年の追っかけの私に比べれば大したことはありません。そうでしょ、アイシェ?」


「………その通りにございます」


遅刻してきたのにも関わらず、どうどうと会議場の扉を開け、入るメイにエリカとガルト家の次期当主であるノエルが出迎える


「お前がファントム家の代表者か?遅かったな?うんこでもしてたか?」


「…あなた、レディとしての嗜みが皆無ですわね。ちょっとした()()()です」


「レディ?全身金属の女のことか?」


「なんでそっちのレディですかっ」


「…その野暮用が長すぎですわよ。待たされる方の身にもなってくださいませ。いったい何をしてらして?」


「大魔法剣士様との久々な戯れですことよ。あなたもえらく親しくしてもらっていらっしゃるようですね。オリビア家の次期当主さん、いいえ、エリカさん」


「なっ!!守様のことを知ってらしたの!?」


「あなたなんかよりも遥か昔から存じておりますわ。それよりも動揺して、大魔法剣士様のお名前を出すとは情けない。彼は正体を隠しているのではないのですか?」


「うっ…私としたことが…」


「大魔法剣士?ああっ!聖騎士団の人か!ハワード家を潰して、私のガルト家が三大貴族入りするのはそいつのおかげと聞いたぞっ!挨拶をせねばならいないな!!まもるという名なのか?」


「このアホ娘にも名が知られてしまったではありませんか。あなたは大魔法剣士様を思っているのではありませんのですか?それとも家を救ってもらったのにも関わらず迷惑をかけたいのですか?」


「返す言葉もありませんわ…」


「なぁ〜なぁ〜!そのまもるとやらは今どこにいるのだ?私も会いたいぞっ!」


「あなたのようなアホに紹介するわけがないじゃないですか。おとなしくしないと家ごと潰しますわよ?」


「ひぃっ!!このお姉ちゃん怖いぞ…。おしっこ漏らしそうなのだ…」


「…お嬢様方、横からすいません。そろそろ議題の方に入られた方がよろしいかと…」


「そうですわね。此度はそこの泥棒猫…じゃなかったオリビア家の地脈を大魔法剣士様のおかげで強化されたことによる序列の上昇と大魔法剣士様に潰されたと言っても過言ではないハワード家の代わりに三大貴族入りを果たしたガルト家の代表との顔合わせになります」


「ちょっとお待ちくださいませ。泥棒猫ってどういうことですの?」


「あら?大魔法剣士様の唇を奪ったという話を聞いていますわよ。本当ならそのお家ごと潰してやりたいところですけど、()()()()()()()()に嫌われたくはありませんから仕方なく我慢しているのですよ?」


「…そういうことですか。ファントム家、確かに強力なお家ですが、お家の力では勝てなくても、恋勝負(こちら)は負けませんわよ。メイさん?」


「ひぃっ!?こっちのお姉ちゃんも怖いぞ…。ちょっとちびったのだ」


三大貴族の会議は大魔法剣士の愛好家とストーカーの闘論がこの後も続き、本題が終わる頃にはノエルは熟睡しているのだった


「あれ?出番こんなけんか?まぁいいか…。私は眠いぞ…」



〜守〜


三大貴族が会議を行っている頃、守は「何でもするっ!」なんて叫んでしまったことと悪漢を装ったファントム家の使用人を倒した数が劣ったことでジャンヌにデートを催促されるのだった


「悪漢は結局使用人だったんだから今回の勝負はノーカンじゃないのか?」


「倒してた頃は悪漢だと思っていたんだからその言い訳は通用しませーんっ!!それに何でもするって言ったじゃん。男に二言はないっ!!でしょ?」


「痛いところを…。くそっ!メイの奴、本当に余分なことをしてくれやがって…」


「ふふふ〜♪守とデート〜♪次の休日だよ?絶対予定を入れちゃダメだからね?」


「まぁ身から出た錆だからな…。だけどジャンヌさんよ。俺はデートプランがほいほい出てくるほど経験豊富じゃないぞ?」


「そこがいいんだよっ!経験豊富な守なんて見たくないもん」


「そ、そうか…なんだか複雑ではあるが」


「守なりのプランを楽しみにしてるからっ!」


「(俺を知る人間である意味もっとも接触したくなかった人物も今となっては学園に入るとまで宣言されてしまった。この一件も結局アナト姉が絡んでいたし、ヴェルヘルムさんもきっと脅されたに違いない。もうじき学園にメイ(あれ)がくるんだよな…行きたくねぇ…なぁ…。はぁ〜…ま、まぁジャンヌと行く場所なら()()()でいいだろう…)」


満足そうなジャンヌと別れた守は色々な意味で疲れ果て、足早に寮へ帰るのであった

自室には一足先に王宮から戻っていたニースがおり、守が帰るのを確認するやその胸に飛び込む


「ど、どうしたんだっ!?」


「王宮で今日の一件を全て聞いて、その…王宮に行くまで不安だったのです…。守さんはそれはないとおっしゃりましたが、ひょっとしたら本当に守さんのメイドを解雇されるのではないのかと…」


「…ヴェルヘルムさんがそんなことするわけないだろ?ましてや俺の身の回りの世話なんてニースくらいしかできる人物を俺は知らない」


「それでも不安だったのです…。その…少しの間でいいので、こうしていてもいいですか?」


「それはいいんだが…だが、ニースさんよ。その慎ましやかなお胸が当たってるんだが…」


「空気を読んでください!当てているんです!」


「お、おう…」


その後しばらくニースに抱きつかれたままでいたが、離れてからはいつものニースに戻った

そして就寝しようとした瞬間「今日はご一緒してもいいですか?」なんて言われ

先の件から断りきれなかった守はニースと一つのベットで一夜を過ごすことになるのだった


「…守さん、起きていますか?」


「どうしたんだ?」


「私は決めました。守さんにいらないと言われようともヴェルヘルム様に解雇宣言されようとも守さんの側にずっといますからっ!」


「…大胆な告白だな。心配しなくても俺からいらないなんていうことはないから」


メイドとして女としての意味を含め、一生共にいると宣言したニースは守の方を向けずに背中向けで顔を真っ赤にしながら暫く悶えるのと共に心のどこかで守の回答に安心するのであった

前半は三大貴族会議でメイとエリカの闘論で中身のない会議をお送りし、後半は1話から登場しているのに個別イベントがそれいこうなかったニースの話をお送りいたしました。さらっと出たガルト家の次期当主ですが、ちょっとしたイベントにこの後がっつり絡めます。

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