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声を聞かせて  作者: CACAONOVEL12
9/76

遅刻かも!

8:13。

遅刻寸前だ。


「こりゃーちょっとヤバイかも」


思わず独り言してしまった。

そんなに寂しい人間でもないんだが。


2階の階段を通過した。

携帯の時計は、8:14に変わっていた。


とにかくダッシュ!!!!


俺は、手すりを掴んだ手を軸にして、グルッと半回転した。


3階への階段の何段目かで・・・。

ゆっくりと上っている女子が目に入った。


俺が何段か上れば、パンツが丸見えになりそうだ。


俺は仲間を発見した喜びで、ソイツに声を掛けようと思った。


「急げ、ギリギリだぞ!」


ソイツの隣を通過した時、チャイムが鳴り始めた。

本鈴だ。


その時気づいた。


見覚えのある、優しげな目が驚いたように瞬きした。


泉川 芽衣。


泉川は、口ぱくで、


「先に行って」


と言った。

と思う。


俺は、


「教室でな」


と一声掛けた。



ギリギリギリギリセーフ。


「ナイスファイト~!!」


敦也が背中を叩いてきた。


ぜぇぜぇしている俺に、スポーツドリンクを差し出す藍川が、


「酸素の無駄遣いは止めて。

 オゾン層が破壊されちゃう」


と厳しい言葉を掛けた。

スポーツドリンクは、有難く受け取った。


「藍川~いいじゃんかよかぉ」


敦也は甘えた声を出す。

両頬に両手を当てて。


「キモい」


藍川は一刀両断した。


あれ?

何か頬が赤くなってる・・・。


「おーい、そこの3人。

 席に着け」


センコーがやって来た。


藍川は、お決まりの舌打ちをしながら席に行った。

敦也は俺の前の席だから、会話を続けた。


「泉川休み?」


「階段で会った」


俺は真実を言った。


「何で一緒に来なかったの?」


「先に行け、って」


「ふ~ん」


敦也はそれ以上聞かなかった。


泉川が気になるのか?


俺はこの言葉を飲み込んだ。


敦也は、


“俺、泉川タイプかも”


と言っていた。

聞いたらKYだろ。


結局、泉川はホームルームに顔を出さなかった。



 

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