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恩返し
「ママぁ~寒いよぉ」
「明日、雪降るらしいよ?」
「ほんとぉ?!」
すれ違った親子の会話が聞こえた。
“初雪まだなの?”
“うん。
でも、もうすぐだよ”
あの日、芽衣は白い息を吐きながら、そう言った。
つい最近のことなのに、遠い昔のように感じる。
「瀬尾さん!」
小さな背中に声をかける。
「ああ、晃君か」
弱弱しく瀬尾さんは振り返る。
「芽衣ちゃん、大丈夫だろうか?」
昨日のあの光景が、瞼に現れる。
「・・・信じましょう」
瀬尾さんは優しく微笑んで、
「・・・ああ」
と言った。
「ところで晃君、学校は?」
「あ、今日から冬休みっス」
「そうか。
じゃあ、芽衣ちゃんに恩返しでもするのかい?」
恩返し・・・か。
「そーっスね」
俺に何ができるのかはわからない。
それでも。
芽衣の近くにいられるのなら。




