表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春ギャラクティカ  作者: 灰色ぎつね
81/189

風、カツラ、そして女帝

放課後の駅前。

夕焼けがビルの窓に溶け、風がビュウと抜けていく。

杏仁豆腐メンバーは、帰り道に偶然ユウとその姉を見かけていた。



タクミ:「おい見ろよ、あれユウの姉貴じゃね?」

カズ:「噂の“裏番長”か……」

ダイキ:「顔ちっさ!脚なっが!!」


──その瞬間、風が吹いた。


シュバッ!!


何か黒いものが宙を舞い、カズの頬をかすめて地面に転がる。

一瞬でわかる。

それは、男の人のカツラだった。



タクミ:「……落ちたぞ。」

カズ:「落ちたな。」

ダイキ:「……風、つえーな今日。」


そんな中、ユウの姉だけが動いた。

一歩、前へ。

高ヒールの音が「コッ」と響き、彼女はしゃがんでカツラを拾い上げる。


風の中でも髪一筋乱さず、まるで映画のワンシーンみたいに。



ユウ:「……姉貴、やめとけって。見なかったことにしようぜ。」


だが姉貴は静かに首を振る。

口にくわえたタバコから、灰がふわりと舞った。


そして、当のカツラ主(中年サラリーマン)に近づく。


姉貴:「……落ちましたよ。」


その声音は、慈悲でも憐れみでもない。

ただ、**“当然の礼儀”**として差し出す女の声だった。



受け取った男は、わずかに震えながらカツラを被り直した。

何事もなかったように信号が青に変わる。

風は止み、空は金色に染まっていた。



タクミ:「……今の、なんだったんだ?」

カズ:「修羅場でも見た気がする。」

ダイキ:「心が……浄化されたかも。」


ユウだけが呆然と呟く。

「……あの人、昔から動じないんだ。

 俺が泣こうが喚こうが、カツラが飛ぼうが、世界は平然と回る。」



その夜。

ギャル神社にて、レイナが叫んだ。


レイナ:「なにそれ!伝説じゃん!!」

アイカ:「“落ちカツラ無心返却”……もはや武道の域。」

ミナミ(淡く笑って):「……風に動じぬ者は、恋にも動じぬ。覚えておきなさい。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ