姉貴、隣の車に乗る
放課後、杏仁豆腐メンバーがいつものファミマ前で駄弁っていた。
ユウの姉貴が黒塗りの高級車で現れたのを見て、タクミがつぶやく。
タクミ:「あれが……ユウ姉か。」
カズ:「相変わらずオーラやばいな。あれ、車より高そう。」
ダイキ:「ドアの開閉がもう“支配者”の音してるもんな。」
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姉貴はコンビニに入る。
くわえタバコは外で消して、スッと財布だけ持って。
無駄のない動作、背筋ピン。
黒のパンツスーツが風を切る。
そして──わずか数分後。
事件は起きた。
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コンビニから戻ってきた姉貴、
何の迷いもなく、駐車場の黒いセダンの助手席に乗り込む。
……が、助手席には知らないおばさんが座っていた。
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姉貴:「…………は?」
おばさん:「……え?」
沈黙。
駐車場の空気が一瞬で真空になる。
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姉貴:「……すみません、間違えました。」
(完全に無表情)
スッとドアを閉めて、隣の“本物の黒塗り”に移動。
何事もなかったように乗り込む。
助手席のユウが固まっていた。
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ユウ:「……今の何?」
姉貴(シートベルトを締めながら):「似たような車が悪い。」
ユウ:「いや、どう見ても他人の車だったけど?」
姉貴:「世の中、似た顔の男も多いしな。」
ユウ:「話ズレてんだよ!」
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翌日、ギャル神社にて──。
レイナ:「ちょ、他人の車乗るとかやばすぎ」
アイカ:「“人の人生に同乗”するタイプね。悟り。」
ミナミ:「……間違いは、意志が強いほど起こるものよ。」
安藤先生(昆布を噛みながら):「“間違えるほど迷いなく生きる”──いい女の条件ね。」
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ユウは頭を抱える。
「姉貴は……人生のアクセル踏みっぱなしなんだよ。」
その言葉に、ミナミ先輩が少し笑った。
ミナミ:「……ブレーキを知らない女。あなたの原風景ね。」
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夕暮れ。
車のドアが閉まる音が、どこか哲学的に響いた。
世界はまだ動いている。
姉貴のペースで。




