打ち上げ戦線 ― 焼肉と句読点と無敵のヒール音 ―
フェスの余韻がまだ熱をもっていた夜。
杏仁豆腐、四柱、そしてヒナタ。
総勢9名の青春バカども、駅前の焼肉屋に集結。
鉄板の上で肉が踊る。青春も踊る。
レイナ「青春の味、焼肉〜っ!」
ダイキ「オレの青春は、脂と煙のフルコース!」
カズ「煙まで吸い込むな。酸素の使い方間違ってる。」
タクミ「酸欠でバカが進化してる。」
ヒナタ「ねぇねぇ、あれが“無敵のヒール音”ってやつ!?」
ミナミ「……どれの話。」
ヒナタ「ほら、さっき!ユウの彼女のあの、コツコツって音!あれ神だった!!」
レイナ「ちょ、神に音つけんな!」
アイカ「“神”より“音”を先に崇拝するタイプね。」
ヒナタは立ち上がり、全員を見渡す。
ヒールの女神が四人。
ミナミ、レイナ、アイカ、マナティ。
ヒナタ「ヒール四天王、揃い踏みじゃん!?」
カズ「バンドじゃなくて宗教できるな。」
ダイキ「ヒール神社……音鳴らすだけで参拝完了。」
ヒナタ「で、結局どのヒールがユウの彼女なの!?」
ユウ「え、そういう聞き方すんの?」
ヒナタ「無敵っぷりで選ぶなら──あなた!ビシッ!」
ミナミ(ルイボスティーを掲げて)「……正解。」
全員「出たぁぁぁーーー!!」
ジュッ!肉が焦げる。熱気が爆発。
マナティ(ジャスミンティーの氷をくるくる回しながら)
「ねぇ、ヒナタ。昔のユウってどんなだった?」
ヒナタ「え、あー……変わってないよ?ドラムの皮よりバカ厚いタイプ。」
カズ「バカに“厚み”あんのかよ。」
タクミ「まぁ、熱量で保温してる感じだな。」
ダイキ「省エネゼロ。常時フルスロットル。」
レイナ「うっわ、青春濃度が煙で上がってく……」
マナティ「ふふ、酸素よりバカが多い空気、嫌いじゃない。」
ヒナタ「もうさ、私も杏仁豆腐入るっ!」
ユウ「いや、それは──」
ダイキ「ウチ、“杏・仁・豆・腐”で四文字だから!」
カズ「お前入ったら字余り。」
ヒナタ「えー!じゃあどうすんの!」
ダイキ「……“杏仁豆腐。”でよくね?」
全員「句読点!?!?」
ヒナタ「ちょ、私“。”!?雑っ!!文終わってんじゃん!!」
ユウ「それが青春の終止符。」
レイナ「ふふ、でもさ、“。”があると締まるんだよね。」
アイカ「無敵の句読点。」
ミナミ「……ふふ、まぁ、悪くない。」
炭の弾ける音が、笑いに混ざる。
肉の煙の向こう、ヒナタが叫んだ。
「杏仁豆腐。再結成!!」
ダイキ「お前が解散させたみたいに言うな!!」
全員の笑い声が焼肉屋の天井を突き抜けた。
──煙と笑いとヒール音。
青春は、まだ焦げても美味しい。




