お義兄様視点 目の前で義妹をまた拐われたので、怒り狂った俺と古代竜はナンジンの都を壊滅させました
バイインを完膚なまでに破壊した時は、既に古代竜に拐われたエリはどこにも見えなかった。
周りの民に聞き回ったところ、一人の商人が古代竜はナンジンの山奥にいると教えてくれた。
ナンジンまで結構距離はある。
俺はそれを聞いて必死にエリを追いかけ出した。
チエナの騎士等に邪魔されるのが嫌で俺は山沿いの間道を走った。
時に現れるチエナ兵を蹴散らし、食料はバイインで見つけた銭を元に途中で買い求めて、なんとか先を急いだ。
レッドに走らせたら山道も平野の道もそんなに変わらなかった。
途中の山の中で仮眠した。
夢の中で、俺はエリと一緒にいた。
「お義兄様。この問題が良くわからないの?」
小さい頃の夢だ。
エリはよく、俺に聞いてきた。
それも、俺の苦手な礼儀作法とか数学だった。
貴族の歴史とかは嫌ほど頭に叩き込まれたので、らくらく答えられたが、礼儀作法や、数学は本来は他のやつに任せたかった。
しかし、澄んだエリの瞳で見つめられて聞かれると、知らないともいえず、俺は必死に勉強したのだ。
母上や俺の教師たちはそんな俺を生暖かい瞳で見てきたが、俺は無視した。
エリの担当の礼儀作法の教師や数学の教師は俺の家庭教師と結託して、わざとエリに難しい宿題を出して、俺を勉強させているのではないかと疑わしい面もあったが……
「お義兄様、この問題が判るなんて凄い!」
と言って俺を褒めてくれるエリの声聞きたさに、俺は懸命に勉強したのだ。
俺はそのエリの俺を褒める声に飛び起きた。
そうだ。早く。エリを助けないと。
エリは古代竜に連れ去られたのだ。
今頃は怯えているかもしれない。
そうか餌にされてしまったのだろうか?
俺は慌ててレッドを起こして動き出した。
まあ、俺の特訓を耐えきったエリがそう簡単にやられるとは思えなかったが……
そう、普通は皇族の男に課される特訓を、女にもかかわらず、エリは受けたのだ。
最もエリはどこにでも、俺に付いてきていたので、その流れで受けたに過ぎない。
でも、普通は女が耐えられるような内容ではないのだ。
さすが剣聖の娘と言えようか。
弟のローレンツやマルクスですら逃げようとした訓練なのだ。
普通のか弱い女が耐えられるわけはないのに……エリは必死に食らいついてきた。
まあ、それだけ根性があるのだ。
考えたら子供の頃の火竜討伐は怒り狂ったエリの前に火竜が逃げていったという報告まであった。
そんなエリがそう簡単にやられるわけはない。
俺はそう思い込もうとした。
でも、エリは涙もろいところもあるのだ。
母上が亡くなった時にシスの前では必死に我慢していたが、その後一人でベッドの中で泣いていたのだ。
「大人になったのに、涙が止まらなくて」
「良いんだよ。エリ、泣きたい時に泣けば」
「お義兄様」
エリは思いっきり俺に抱きついて泣き出したのだ。
「お義兄様。今日は昔みたいに一緒に寝てくれない?」
エリが俺に頼んできたのだ。
そう言えば俺はエリが小さい時は、特にシスが生まれたばかりの頃は母上がシスにかかりっきりだった事もあって、さみしくしていたエリと良く一緒に寝てやった事を思い出した。
「他の奴には内緒だぞ」
俺はそう言うとエリのベッドに入ってエリに添い寝してやったのだ。
エリは俺の胸で泣くだけ泣くといつの間にか寝ていた。
俺はそっとそのエリの涙の跡をハンカチで拭いてやった。
「エリ、俺はどんな事があってもお前の面倒は見るからな」
俺はその時に決意したのだ。
なのにこれは何たる事だ。
俺がいながらチエナの奴らに拐われるとは。
「レッド、急ぐぞ!」
「ヒヒーーーーン」
俺の声にレッドは更に魔力を纏ってスピードアップしたのだ。
そんな俺等がナンジンに近づいたときだ。
前から大量の人が必死に逃げてきているのに、出会った。
「どうしたのだ?」
俺がレッドから飛び降りて、逃げていく男を強引に立ち止まらせて聞くと、
「竜だ。女の子を背中に乗せた竜が暴れているんだ」
そう叫ぶと男は後ろを振り返りもせずにかけていった。
「エリだ。エリに違いない」
俺は喜色を浮かべて慌ててレッドに飛び乗ると駆け出した。
エリがどうやって古代竜を手なづけたか知らないが、そんな事ができるのはエリくらいしかいないはずだ。
ナンジンの城門は大きく破壊されていた。
俺はそのまま、駆け抜けた。
「ギャオーーーーー」
遠くで古代竜の咆哮が聞こえた。
俺はそちらに全力で駆け込んだ。
しかし、俺が行った時にはエリはズバンに捕まって転移させられそうになっていた。
「エリ!」
俺はエリに呼びかけた。
「お義兄様!」
エリがこちらを向こうとして、そのままズバンに連れ去られたのだ。
「エリ!」
何たる事だ。また、エリを眼の前で拐われてしまった。
「くっそう!」
もう許さない。
俺は捕まって暴れている古代竜を魔力の紐で縛っている魔術師達に雷撃を浴びせていた。
「「「ギャーーーーー」」」
魔術師達は一撃で黒焦げになっていた。
古代竜は自分をふん縛っている魔力の綱が切れて、怒り狂って暴れ出した。
火炎をありとあらゆるところに吐き出したのだ。
怒り狂っていた俺も火竜に倣って爆裂魔術を四方八方に放出したのだ。
大都市、ナンジンが灰燼と化すのにそれほど時間はかからなかった。
ここまで読んで頂いてありがとうございます。
現在山にこもっていまして不定期更新になると思います
ご了承を。
この話の第一巻
『王子に婚約破棄されたので、義理の兄が激怒してこの国を滅ぼすと叫び出したんだけど 卒業パーティーは恐竜皇子と恐れられるお義兄様と一緒に』
https://www.cmoa.jp/title/1101429725/
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