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抗う心の件

今日はめずらしく短いです。

よろしくお願いします!

なんだ・・・・やっぱり・・・・

なんだ・・・・俺・・・・

悪役令嬢じゃないか・・・・

なんだ結局・・・・

婚約破棄されるんだ。ハハ、馬鹿みたいだ・・・・馬鹿だ・・・


なんか、涙も出ないや・・・・

何でかな?


「シルフィーヌ、聞こえているか?」

馬車の中で並んで横に座るお父様が肩を抱く。

今日は今から王宮に契約破棄を陛下に伝えに出向くのだ。

「ええ、お父様」

「ちゃんと聞いてなかっただろう?」

「ええ・・・・お父様・・・・いえ」

「お前・・・・そんなに王子がいいのか?」


え?何?

「いえ、大丈夫・・・・かな・・・・私・・・・?」


何?何言ってるの?


「シルフィーヌ・・・・」

お父様が俺を胸に抱き寄せ頭に頬を寄せる。

「私はお前を失いたくない。わかってくれ。シルフィーヌ」


失ったのは・・・・俺・・レオリオだよ・・・・?


「ええ、お父様」

「シルフィーヌ?」


もう、他の人の物・・・・もう、触れることは出来ない・・


「大丈夫、よ・・・・ん、大丈夫」


何だろ・・・・何だろ・・・・何だろ・・・・ダメだ・・ダメだ・・ダメだ!!


俺はお父様から体を離し太ももに両肘を着けて髪を掴み頭を抱え込む。


不様に叫び出しそうな自分を必死で押さえ込む。


「シルフィーヌ・・・・」


「・・・・」

ダメだ!切り替えろ!切り替えろ!切り替えろ!俺!


「だ、大丈夫です・・わ。少し・・・・時間を・・」


何が? 


「大丈夫ですから・・・・分かって・・・・」


何が・・大丈夫なの?俺?何、分かってるの?気分悪くなってきた・・何か、気分が・・・・凄く・・

気持ち悪いよ・・・・






あ、れ?

ここ?

ここ・・・・?


「気がついたかしら?シルフィーヌ?」


王妃様?


「気分はどう?」

「・・・・・・・・・ここ?」

「王宮の貴女の部屋よ?シルフィーヌ」

王妃様が優しく笑い俺の額に手を当て顔を覗き込む。

「あ・・・もう・・私の部屋では・・・・帝国のお姫様がいらっしゃるの・・・・に・・・・うっ!」


ダメだ。昨日から食べた物を全部吐いて来たのにまだ吐き気が酷い。


「まぁ!!ハルマーを呼んで!!早く!!」

「大丈夫。大丈夫ですから。お父様を呼んで頂きましたらすぐに帰ります、王妃様。ああ、そうだ。陛下に、お会いしなければ・・・・」

「シルフィーヌ?いいから先にハルマーに見てもらいましょうね?」


気持ち悪い・・・・ダメだ、無様に吐きそうだ。

あ、これ、前世で仕事前によくなったやつだよな・・急性胃炎ってやつだわ・・・

ああ、久しぶり・・・・


「・・・・王妃様、申し訳ありません。ご心配をお掛け致しました。ただの軽いお腹痛ですから。薬で楽になりますから・・」


「シルフィーヌ様!」

あ、ハルマー先生・・・・びっくりした!ノック無し?


「ごきげ・・・・うっ!」


うわ、ヤバい・・・・


「陛下、申し訳ありませんが」

ハルマー先生?

「ええ、ハルマー、よろしくね?シルフィーヌ、ちょっと席を外すわね?すぐ戻るから」


・・・・・・・・ 


「・・・・あの・・・・うっ!」

「ああ、一度吐くと楽になりますから無理なさらず」

侍女が水を満たしたコップと受け皿を差し出す。もう一人は失礼致しますと背中をさする・・・・


止めてくれ・・・・・ここで吐くなんてごめんだ・・・・

帝国の姫の部屋になるのだろ?・・・・ダメだよ・・・・


「いえ、移動を・・・・先生。ここでなんて・・・・嫌」

侍女から体を離しベットから出ようとした。

「シルフィーヌ様!いけません」

「ただの胃痛ですから・・・・お父様の部屋に移動します」

「王妃様が許しません」

「・・・・先生、お願い。ここは無理です。カレブを・・・・」

「・・・・カレブ殿を呼んで来なさい。早く!」

侍女が走って行く。

その後ろ姿を吐き気に耐えて見送ったら血の気が引いてベットに倒れ込んだ。



「あ・・・・」


「お嬢様」

心配そうなカレブの顔が目の前にある。カレブが俺を抱いて移動してくれてるんだ・・・良かった・・・

「カレ・・・・」

「話さないで。もう、医務室ですから」

俺は頷いた。ダメだ、吐くな・・・・


うわ!胃液しか出ない~!酷いな・・でも吐くと楽になったよ。

良かった、血とか吐いてないし・・・・



「ごめん・・・・カレブ・・・楽になったよ」

背中をさすってくれるカレブに感謝だ。

「お嬢様、ハルマー先生を呼んで来ますね?」

「ん・・・・いや、ちょっと・・一人にして欲しいの。あ、胃のお薬を下さいって伝えるだけでいいから」

「お嬢様・・・・わかりました。しばらくしてからまた来ますので」

「ん。いつもありがとうね。カレブ」




ああ、何の罰ゲー・・・・

バカバカしい・・・胃炎って・・・!

でもちょっと楽になったかな・・・・


俺は医務室で一人ベットに起き上がって考えた。


レオリオ、まだ帰ってないみたいだな・・・・

会いたいな・・・・会いたいな・・・・会いたいよ!凄く!

何でこんな時居てくれないんだよ!レオリオのバカ野郎!


泣くもんか!バカバカしい!


結局、離婚じゃないか!


・・・つぅ!!痛いわ!痛いよ!クソッ!胃に穴空きそうだよ!!


ああ!!

ダメだ!考えてもムダだムダ!!薬飲んで帰ろう!

お父様には悪いがレオリオと話合ってから俺が決めるし!

周りになんか振り回されるもんか!!帝国なんか知るか!レオリオに聞いてからだ!バカにすんな!こっちはあいつともう4年も付き合ってるんだからな!あいつは俺を死ぬ程好きなんだからな!あんなストーカーなヤンデレ野郎、普通のお姫様無理なんだからな!あんなイヤらしい野郎、箱入り娘になんか絶対、絶対!絶対!相手出来ないんだから! 

そうだよ!『王の印』無ければ子供も創るの難しんだからな!

そうだよ!分かってるか!レオリオ!

責任取れよ!俺にあんな事やこんな事、親にも言えない事しやがって!!責任取るって、責任取って結婚するって言っただろ?!

何だよ?帝国の姫って?いつ知り合ったんだよ?

俺よりいいのかよ?!俺より・・・・

何で帝国まで会いに行くんだよ!!

ああ!もう!胃が痛いよ!

早く帰って来いよ!

早く!

・・・・

・・・・・・・・

・・・・・・・・・

もう、何でもいいから・・・・早く帰ってきてよ・・

顔が見たいよ・・・・顔見たい・・・・レオ・・

そして、

そして早く俺を抱き締めろよ・・・・

レオ・・・・




突然ドアがバタン!と開いたと思ったら

俺は抱き締められてた。


「お待たせ、シルフィーヌ!!」



へ?




読んで頂きありがとうございます。

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