いやいや、それ、アウトだからの件
今日もよろしくお願いします!
突然入って来ていきなり俺を抱いたのはレオリオだ。
「えっ?レオ?えっ?髪・・・・レオ、髪!」
「ん?似合うかな?」
体を離してマジマジ見る。
背中までのストレートな白金髪が短くなってる。
前世の俺の頭と一緒で髪を段々に切ってウェーブかけて耳はしっかり出して裾は襟足までだし、前は眉まででさりげなくかきあげている。まあいわゆるビジネスウルフヘア。これ、黒の大きめのメガネと合うんだよねぇ~!しかもムースとかジェルあるの?バッチリ決まってるけど?
何それ??反則!似合いすぎ!
「とっても格好いいよ・・うん、とっても似合ってるわ?素敵、レオ」
俺はうんうん頷いた。
「そう?やっぱり、シルフィーヌならそう言ってくれると思ったんだ。フフ・・・・寂しかったよ?シルフィーヌ!」
そう言うとレオリオは俺をギュウギュウに抱き締める。
「・・・・ちょっと待ってレオ?苦しいし、さっき吐いたから・・・・ごめんなさい。離して?」
「ああ、そうだった。大丈夫?・・・・じゃなさそうだね・・・」
あ、ゆっくり体を離してくれた。良かった。
「あの・・・・お帰りなさい。お疲れ様です」
「うん。ただいま。ちょっと横になろうか?」
俺の頬をゆっくり撫でる。
「いえ、まだ吐き気がするので・・・・レオ、真っ直ぐここに?」
「ああ、埃っぽいね?馬をとばして帰ってきたから。それより君のほうが顔、真っ青だよ?」
そう言うと今度は背中を撫でようと手を伸ばすレオリオから俺は逃げるように後ろに下がる。
「シルフィーヌ?」
「私、今日契約破棄に来てるんですけど・・・・」
俺はベットの端まで下がりレオリオと距離をとる。
「ああ、それはもうしなくていいから。今から君の父上と陛下には報告するよ。だから」
「・・帝国のお姫様を娶られるのですよね?」
痛い・・・胃がキリキリする・・
「断りに行ったんだよ。勝手に見合いに来いと言ったなかば命令だったからね?見事、振られてきたから。もう、終ったよ。だからシルフィーヌ、さあ、おいで」
レオリオが俺に手を差し出す。
「えっ・・・本当・・・・なの?レオ?契約破棄はしないの・・・・?」
「僕からは出来ないし、するわけないだろう?契約破棄は君にしか出来ないよ?それに今回の事はちゃんと帝国で皇帝にあってシルフィーヌが僕の妃だからお断りしますとハッキリ断ってきたから。ルカに聞いてくれてもいい」
帝国相手だよ?そんな簡単な事じゃないだろう?
「大丈夫なの・・・・レオ・・・・そんなこと・・」
「国同士の関係を心配してるんだね?今回は皇帝の妹君のわがままでね。もとより皇帝は我が国王族が一子世襲制だとわかっていたから妹君さえ諦めれば無理を言う気はなかったようだ。だからもう、嫌われたから」
「・・・・・・・・何したんですか・・・・?」
「言わない」
「レオ・・・・・・」
「やれやれ。そんな泣きそうな顔しないで?あのね?僕はシルフィーヌでなければ何も感じない。貴女には興味ないってハッキリ言ったんだ。それに僕の容姿が気に入ったそうだ。特にこの白金のサラサラ髪がいいと言ったから目の前で髪を切った」
はぁぁぁ!?・・・・・・・やりすぎだよ!それはさすがに・・・
「・・・・それで?それでなの?そんなに短く・・・・?」
「いや、君の父上に許してもらうために帝国に行く前に切る気だった。もっと短くしようとしたらルカに止められたよ。別に髪位で許してくれるのならいくらでも切るのに」
「レオ?レオ?おかしいわよ?何で私なんかにそんな・・・」
「何度言えばわかるんだい?シルフィーヌ。君が僕の全てだから。ああ、今、体が辛いのにすまないがこれから僕が君の父上と陛下に帝国の件と契約破棄の件、話を着けるから横に居て欲しい。僕は君だけだから」
「レオ?いいの?レオ・・・・本当にそれで」
レオリオが真剣に俺を見詰め大きく頷く。
マジかよ・・お前・・・
「ただし、君の父上が反対しようものなら」
「しようものなら?」
「君を連れてこの国出るけどいい?」
おいおい、本当にマジか、こいつ・・・
「・・・・駆け落ち・・・・するの・・?私と?」
「ああ、速攻で君を攫うよ。君が嫌がっても連れて行くから。覚悟して。だからおいでシルフィーヌ。僕を信じて。そして僕に着いて来て?」
レオリオが手を広げた。
俺はゴチャゴチャ考える頭とは裏腹に身体が迷わずレオリオの胸に飛び込んでいた。
「ズルい!レオ、ズルい。けど・・・覚悟しました。国は出ません。貴方とこの国を守るの。お父様を説得します」
「さすがシルフィーヌ。だから君が僕には必要なんだ。僕の愛しい人。愛してるよ」
「私も」
レオリオが俺をしっかり抱き締めた。
それから玉座の間でレオリオが皇帝からの書状と一緒にダグラス帝国第2皇女サロメ姫との婚姻は白紙となった事を報告。その事で国同士での諍い事となる案件は生じ無い事もしっかり約束されたものだった。さすがルカとお父様の補佐官のクルトが着いて行ってるだけある。しっかり固めてきた。
これには陛下も宰相としてのお父様も正直良くやったとレオリオとルカを誉めた。
そして契約破棄の件はなんとルカがお父様に今回のレオリオの対応を事細かく報告し、俺とレオリオが話している間に説得してくれていた。
ただ、アントワート家としての一族総意は契約は白紙とすると出ていたのでお父様は新たに条文を付け加えて結び直したのだ。
一、国に重大な損害、損失を与える事態が生じその事態にこの契約が大きくかかわる場合、両家の意向に関係なく契約を破棄出来る者のみがこの契約の破棄を判断する事が出来る。
要約します。
今回みたいにレオリオが帝国から勝手に見合いするから来い!ってこの国の王族だから言われたわけだよね?今回は上手く断れたけれどこの世界には我が国より上位に位置する国は他にも有るわけで俺にも王族として言われる事をお父様は想定したわけだ。そう、いわゆる人質ってやつだ。
だからそんな時は王家の判断でもアントワート家の都合でもなくて俺自信がいや!と言ってサッサと王族辞めればいい訳だ。
そうか・・・・アントワート家のみんなはその事を心配していたのか・・・・
その条文を付け加えてもお父様は渋い顔で目に見えて嫌々サインしていた。
お父様、いずれ俺は誰かに嫁ぐからさ?
絶対、バルトでもその顔だと思うし。そこ、割りきろうか?
青い顔で気分が優れない俺はお父様とルカにしっかり抱き抱えられていてレオリオも渋い顔だった。
今回の件で一番がっかりしていたのは誰でもない王妃様だった。
なんと俺の急性胃炎をつわりだと思ったみたいだ。
やっぱり、やっぱりね・・・?
俺が苦しそうなのに何か期待してたもんな・・・・
王妃様、シルフィーヌまだ11歳だからさ?そこ、よろしく。
だからハルマー先生には妊娠は絶対ないです!出来る行為はしていませんから!って吐く前にハッキリ、キッパリ言っといたのだ。
ちょっとハルマー先生も残念そうだったのは何故だ。
それを聞いたお父様はやっぱり白紙だと言い出してルカに止められ俺も必死でないから!絶対ないから!って宥めたけど俺を抱き締めて離してくれなくなったのでとりあえず帰る事にした。
「お兄様、ありがとう」
「ああ、どうにか収まって良かったよ。正直疲れたけどな?まぁ、お前が幸せで私の側にいれば私はそれでいいから」
三人で帰りの馬車に揺られ並んで座っている。
俺の隣で俺を抱き締めて離さないお父様は公務を投げ出し着いて来たのだ。
そしてニッコリ笑い俺の右手を握るルカの髪も短い。
そう、レオリオが振られた直後、怒ったサロメ姫に「貴方も私に何も感じないの?!」と迫られたらしく私にも決まった人がいますのでと髪をその場で切ったそうだ。
サロメ姫、ちょっと同情する。
俺ならお前らなんかどうも思ってないから!!ってどっちも蹴り飛ばすと思う。
「レクサス来てるわ。お兄様」
「ああ、父上から聞いたよ」
レクサスはすでにわが家公認だがハルマー先生が先に養子に迎えたいと手を挙げたので先にその事を進めている。
だが今年の秋にはレオリオ、ルカ、バルト、レクサスは学園での生活が始まるので入学式が始まる前にルカはレクサスに求婚するつもりらしい。
「その髪型とっても素敵!お兄様。きっと、レクサスも気に入るわ?」
「そうか?王子と急いで王都で流行りの髪切り屋で一番似合う髪型を頼んだんだよ。以外と王子はくせが出たからああだが私はちょっと中途半端だな?」
前髪を指でつまみ照れている。
毛先が肩まで短くなってスッキリ段を着けて梳いてるから軽くなったよ?
前髪も目元で梳いてルカの綺麗な青い瞳が爽やかに見えるよ?
珍しく容姿を気にしているルカがかわいい。
「いいえ、今迄で一番似合ってるわ。格好いいわ。お兄様!」
「一番格好いいのは私だ。シルフィーヌ」
お父様が面白くなさそうに俺を更に抱き寄せる。
まだ脹れてるの?お父様?
仕方ないから俺もお父様をぎゅっと抱き締める。
「うん。大好き!お父様!」
「ふん。王子にはやらんからな。妊娠なんてさせてみろ。殺してやる」
「父上、大人げないですよ」
ルカが呆れ顔だ。
「ふん」
本当に大人げないぞ・・・・お父様・・
今日一番お預けを食らったのはレオリオだ。
吐き気がするからと俺にただいまのキスを断られ、お父様に俺を連れ帰られ何も出来なかったので悶々としていた。
レオリオとルカが帝国で見合いを蹴った事は後に響いてきます。
読んで頂きありがとうございました。




