楓と紅葉③
次回からはオンラインになります
竹内楓
食事を終えてお風呂に入った後、紅葉と一緒に与えられた私の部屋に居ます。既に裸になってベッドの中に入っています。
学園では寝巻きは支給されておらず、自分で学園の仕事をして買うしかありません。仕事自体もかなり厳しいのであまり手に入れらていません。
「……お姉ちゃん……」
「紅葉、大丈夫ですか?」
私に抱きついて震えている紅葉を撫でて安心させます。紅葉が不安そうにしているのは隣から聞こえてくる声です。奥様とアナスタシアちゃんの悲鳴のような喘ぎ声が聞こえてくるからです。
「だっ、だいじょうぶなのです」
「ごめんなさい。私にはどうする事も出来ないのです。ただ、先輩の目を私に向ける事ぐらいです」
「……ごめん、なさい、です……」
「気にしなくていいですよ。紅葉は辛い目にあったのですから」
「……ん……」
私の胸に顔を埋めてくる紅葉の頭を優しく撫でてあげます。紅葉はこの小さな身体で本当に酷い目にあっています。というのも、紅葉は電子戦に関しては天才といっていい子で既に一度は雇われていきました。雇った人が最悪で、紅葉を窓の無いパソコンルームに監禁したのです。それも首輪をつけて足の腱を切ってです。それに契約に入っていなかったのに紅葉のおっ、お尻を犯したりしていました。救い出した時には酷い事になっていました。紅葉が助けを求める為に色々として救助はできました。学園に戻ってきた紅葉は幸い、処女は奪われていませんでしたし、ナノマシン技術による治療をして貰いましたが……助けを求める手段として外部にも助けを求めた為に学園が処理するのは大変だったそうです。そのせいか、紅葉に対してその分も借金が増えていますし、既に後が無くなっています。むしろ生かされているのは紅葉に才能があるからですね。後は先輩が
「……ん……んんっ……お姉ちゃん……」
「もう、お休みなさい」
「はいです」
紅葉の耳を防いで隣から聞こえてくる声を防ぎ、私はそのまま眠るように努力します。それでも声が気になって浅い眠りしかできませんでした。
日が昇る頃、目覚めた私は隣で寝ている紅葉の頭を撫でてからベッドから抜け出して制服に着替えて武器を装着します。それから外に出ると隣の部屋から奥様が裸にワイシャツだけの姿で出てきました。手には着替えを持っています。
「おはようございます」
「あっ、おはようございます」
奥様の顔は赤く、股を閉じています。それでも、股の間からドロッとした液体が出ています。それを慌てて手で落ちる事で防いでいます。
「えっ、えっと……お風呂に入ってから朝食を作りますから、もう少しだけ待って貰えますか?」
「朝練をしていますから気にしないでください」
「わかりました。トレーニングルームが奥にありますから」
「ありがとうございます」
直ぐに脱衣所に入っていきました。私は家の奥に有るトレーニングルームへと向かいました。ここには様々なトレーニング器具が置かれていますが、広さも十分にあるので動き回れます。
「ふぅー」
深く息を吐いたあとスカートを捲ってベルトに刺したナイフを引き抜き、壁に向かって走ります。壁に近づいて飛び上がり、壁を蹴って身体を回転させながら天井を蹴って直ぐに移動します。繰り返し移動しながらナイフで空を斬っていきます。それが終わればナイフを戻して素手での型を確認しいきます。
数時間後、早朝の訓練が終わったので脱衣所に向かいます。向かっている途中、リビングの方からいい匂いが漂ってきます。その匂いに心惹かれながら脱衣所に入ります。そこで服を脱いで風呂場に移動し、汗を流します。
「ふぅ……え? っ!?」
シャワーを浴びているといきなり扉が開いて先輩がアナスタシアちゃんを抱きながら裸で入ってきました。私はそれに驚いて桶を掴んで先輩に投げてしまいました。
「あっ」
「うおっ!?」
「わわっ!?」
桶はアナスタシアちゃんに命中しそうになった所を先輩が身を呈して防いでくれました。
「楓お姉ちゃん……」
「す、すいません!」
慌てて謝ります。私の立場からして主人である先輩達に攻撃するなど許されないのですから。
「これは罰を与えないとね。連帯責任で紅葉ちゃんにも……むしろ、紅葉ちゃんの方に……」
「私が悪いのです! 罰はどうか私にお願いします! どうか紅葉だけは……」
「アナスタシア、其の辺にしておけ。別に気にしてないから構わない。ここは防音が施されているからこっちも気づかなかったからな」
「でも、楓お姉ちゃんはお兄ちゃんのモノだから問題ないでしょ?」
「それはそうだが……そうだな。じゃあ、罰として俺の身体を洗ってもらおうか」
「え? それぐらいでいいんですか?」
もっとひどい目に合わされると思っていたのですが、良かったです。
「甘すぎない?」
「楓は既に俺の女だから構わないさ」
「むぅ、お兄ちゃんがそういうなら……」
「楓もいいな?」
「は、はい! 頑張らせて貰います!」
学園で習ったように誠心誠意、身体を使って洗いましょう。先輩はアナスタシアちゃんを洗っていくので、後ろから私も洗っていきます。それが終わったら一緒に浴槽に入ります。
私は先輩の隣で肩を抱かれ、アナスタシアちゃんは火照った顔で先輩の膝の上にいます。
「あ、あの……」
「嫌か?」
「い、いえ……先輩のお好きになさってください」
「わかった。それじゃあキスしようか」
「あっ」
近づいてくる先輩の顔に私は目を瞑ります。
「っ!」
唇に先輩の唇の感触がした後、ぬめっとした舌が私の唇を割り開いてきました。口を開いて受け入れると口の中に入ってきて色々な所を舐めてきます。初めてで嫌な感触ですが、紅葉の為にも受け入れます。涙が勝手に出ますが、自分からも舌を合わせていきます。
しばらく口付けをしていると慣れてきましたが、息苦しくなってきます。それに先輩の手が肩から胸にいって揉んできました。自分で触るのとは全然違って不思議な感覚がします。隣からはアナスタシアちゃんのくぐもった声も聞こえてきます。
それから何度も息継ぎをしながらキスをしました。
『朝食が出来ましたからリビングに来てください』
「んっ!? ごくっ!」
「ふぁっ、んんっ!」
「ここまでだな」
スピーカーから聞こえてきた奥様の声にたっぷりと流し込まれた先輩の唾液を飲み込みます。
「楓は先に出て紅葉を起こしてきてくれ」
「わ、わかりました……」
火照った身体を動かして浴室から出て脱衣所で身体を拭いていきます。
「んんっ」
敏感にされた身体を我慢しながら服を着替えていると微かに空いた扉からアナスタシアちゃんの声が聞こえてきました。私は慌てて扉を閉めて出ていきます。本当に先輩はえっちぃ人です。
紅葉を起こしてから5人で食事を取り、奥様と一緒に食器を片付けてリビングに向かうと紅葉の謝る声が聞こえて来たので慌てて向かいます。
「大丈夫ですか!?」
「ぐすっ……ごめんなさい……ごめんなさい……」
「なんとかな」
見ると先輩に抱きしめられた紅葉が恐怖のあまり粗相をしてしまっていました。
「直ぐに片付けますから、楓さんは紅葉ちゃんをお願いします」
「はい」
私は先輩と紅葉の下へと向かいます。
「すまないな」
「荒療治。しばらくこのままで過ごす」
「それは……」
言っている事はわかります。少なくとも先輩とは触れ合いが出来るようにならないといけませんし。
「捨てられたくないなら頑張る」
「うぅ……」
「紅葉、もし嫌なら……」
「がっ、がんばりゅ……」
「だそうだ。しばらくこのままで居るから出掛ける準備をしておいてくれ」
「はい……」
先輩はソファーに座って紅葉を膝の上に乗せて抱きしめながら頭を撫でていきます。撫でられる度に震えています。私は直ぐに着替えの準備をして紅葉のもとに戻ります。
時刻が10時になり、紅葉と一緒にお風呂に入って紅葉を洗います。洗い終わったら着替えてリビングに向かいます。
「エヴァとアナスタシアは片付けを頼む」
「わかりました」
「えぇー」
「お土産を買ってきてやるよ」
「仕方ない。なら、アイスがいい」
「わかったよ。っと、来たな」
「はい」
紅葉の手を引きながら先輩の下へと向かうと、先輩は紅葉の片方の手を取りました。紅葉は私と手を握っているからか、ビクッと震えましたがなんとか耐えれるようになったみたいです。
「じゃあ、行くぞ」
「行ってきます」
「……」
「いってらっしゃい」
「気をつけてくださいね」
手を繋いだまま街へと出掛けていきました。
街の中を手を繋いで歩いていると昔にお父さん達と家族で出掛けていた頃の事が思い出されます。
「あっ」
紅葉の視線の先を見ると、お父さんやお母さんと一緒に入ったファンシーショップがありました。子供服から若い女性の服や可愛らしい小物も扱っているお店です。ショーケースには大きなうさぎのぬいぐるみがあります。
「どうした?」
「なっ、なんでもないのです……」
「あの店か。行くぞ」
「いいんですか?」
「構わないさ」
「ありがとうございます」
「ありが、とう」
先輩の先導でお店に入りました。中は可愛らしい商品が沢山あり、学園の購買部とは全然違います。
「二人で普段着と寝巻きに加えて必要な物を選んでくれ。そうだな……10セットくらいは買うといい」
「そんなにですか?」
「ああ。好きなのを選んでくれ。それとエヴァ達に合いそうなのもな。金は気にしなくていいから自由にな。後で迎えに来る」
「わかりました。行きましょう紅葉」
「こくこく」
下着も含めて選んでいきます。久しぶりに思うままに買い物が出来ます。二人で可愛らしい物を選んでいると時間がどんどん経っていきます。
しばらくすると先輩が大きな黒いうさぎのぬいぐるみを持っていました。どことなく、子供にプレゼントを買ってきたお父さんみたいな感じがします。
「紅葉、やる」
「あっ、ありがとうです!」
紅葉は嬉しそうにぬいぐるみを受け取ると、顔を埋めてスリスリしだしました。
「いいのですか?」
「ああ、構わない。それよりも紅葉はうさぎが好きみたいだな」
「はい。寝巻きも着ぐるみみたいのになりましたが……」
「大丈夫だ。そうだ。うさ耳のパーカーとかもいいんじゃないか?」
「そうですね」
黒いTシャツと赤いチェックのミニスカート。そこにうさぎの垂れ耳がついた黒いパーカーを着せます。靴下と靴も変えて可愛らしいものにすると、うさぎのぬいぐるみを抱いている可愛い紅葉が完成しました。
「これは着て帰ろう」
「そうですね」
「次は楓だな」
「私ですか?」
「そうだ」
それから私の服も二人で選びました。選んだのはYシャツにネクタイとミニスカートという動きやすい格好です。下着は見せても問題の無いものを追加で購入して履いておきます。安くない店で沢山の品物を買ったので金額が凄いことになっていましたが、先輩がブラックカードで支払ってしまいました。
「これで残りは食材か。っと、その前にこれを持っておけ」
「携帯端末ですか」
新品の携帯端末が入った箱を渡してくれまたした。
「?」
「一応、連絡を入れる為にもっておけ」
そういえば先輩に私達のコール番号を教えていませんでした。
「わかりました。それと伝える事があります……」
ブレイン・コンピュータなどの事を伝えると驚いていましたが、直ぐに素の表情に戻りました。
「まあ、高校生が持ってないのはおかしいからな。持っておけ」
「わかりました。ありがたく使わせて貰います」
「ああ」
「うさぎさんです!」
「良かったですね」
「紅葉のは動物のやつにしたが、楓もそれが良かったか?」
「やめてください。凄く恥ずかしいですから」
赤色のうさぎの携帯端末より、シンプルで機能を優先したこちらの方がいいです。
「そうか。それじゃあアイスと晩御飯の食材を買って帰るか。何がいい?」
「私達が決めていいんですか?」
「二人の歓迎会だからな」
「……カニさんがいいです……」
「だそうです」
「そうか。じゃあ、蟹鍋と焼き蟹でいいか。ミルクガニを買うとしよう。うし、手配完了。後はほかの食材だな」
ミルクガニは幻とか言われる蟹ですが、空輸で取り寄せですか。凄いです。




