その13 曖昧ミー舞い
『なに話します?』
『なにか話題ないの?』
『うーん、君の話が聞きたいな』
『また自己紹介しましょうか?』
『うん』
『佐々木七星、七星って書いて実はなおって読みます。ゲームが好きで勉強と努力が嫌い。甘いものが苦手でコーヒーを愛してます。座右の銘は長噺すらも華々しく。特技は軽口を叩くこと、苦手なことは暗記科目とアニメを見ること。姉と兄と弟がいます。好きな映画はフルメタル・ジャケットとメン・イン・ブラック、嫌いな映画は分かりやすいハッピーエンドの作品。好きな曲はホウェンアイカムアラウンドとレッキングボール、嫌いな曲は中身のないラブソング。犬派でチワワが好き。好きな動物はペンギン。寿司に行ったら貝をひたすら食べてます。好きな肉はハツとミノと砂肝。初恋は小2の時、告白されたら好きになりました。付き合った人数は3人だけです。死ぬまでにスカイダイビングとオークションをやってみたいです。プロテスタントって響きがカッコイイからキリスト教を信仰するか迷ってます。好きなドレッシングはチーズ系統です。こんなもんすかね』
『え、君ってモテるの?』
『失礼ですね』
『あ、ごめん』
『気にしてませんよー』
・・・ふーん。
『えっと私は山重蘭斗。蘭斗ってかいてラントって読むよ。体を動かすのが好きで、哀れられるのと慮られるのが嫌い。ピザとパスタとアイスクリームが好きで、ピーマンとナスとエノキが嫌い。好きな曲は会心の一撃といいんですか。嫌いな曲はないかな。好きな映画はベイマックスとカーズ。嫌いな映画はジグソウ。好きな漫画はスラダン。嫌いな漫画は無闇矢鱈に人が傷つく作品。死ぬまでにしたいことは世界旅行とチーズフォンデュとタコパ。恋人と友達はいない。初恋もまだ』
『あれ?俺って友達じゃあないんですか?えーショックだなぁ』
『え?』
『俺山重さんの友達になれるように頑張りますよ!なに直して欲しいです?』
私はびっくりして涙が出そうになった。そっか、佐々木って友達なんだ。私、友達が1人いるんだ。私っ、私独りじゃないんだ。
『あれ?寝ちゃったのかな。おやすみなさい、また明日!』
モタモタしてたらラインが終わっちゃった。あーあ。私はカーテンを開け、網戸も開ける。声が出るなら叫びたい気分だ。佐々木、佐々木っ、佐々木!
ふう。網戸を閉め、もう1度ラインのやり取りを見返す。友達。うん。友達。
私はスマホを抱えるように丸くなる。待ち受けを佐々木とのツーショットにしてみる。・・・ふふっ、いい顔。スマホが薄暗くなり、スリープモードになる。ニヤけた私の顔がスマホに映る。
おやすみ、佐々木。また明日。




