今日もあなたを
あれからすっかり日課になってしまったキスで夫を送り出す。
「行ってらっしゃい」
「行ってきます」
しばし見つめ合って。
「愛している」
目を細めた夫にもう一度キスされて。
そうして見送った後は、掃除や洗濯をしたりして過ごす。
昼間、稀に夫からメッセージが届く。
出先で綺麗な花が咲いていた
変な顔の猫を見かけた
写真付きで。
後は
接待でいい店に行った。
今度一緒に行こう
と、地名とお店の名前が送られてくる。
こうしておけば忘れないからと。
そして実際にもう、何軒か連れていってもらった。
オシャレをして夫とデート。
そんなのも、私たちの普通になりつつある。
あの日以来。
夫に初めて「愛している」と言われた日以来、夫の態度はガラリと変わった。とても嬉しい方向に。
今ではもう、夫の愛を疑っていない。
言葉でも態度でも、毎日のように伝えてくれるから。
夫は私を愛しているし、私が夫の為にしていることを喜んでくれている。
そう信じられるのはとても幸せなことだ。
それとあれ以降、夫の新たな面を色々知った。
結構情けないところがあること。
それを隠そうとする見えっ張りなところ。
そして意外と甘えたがりなところ。
そんなところも全部、仕方がない人だと、でも少し可愛いと思ってしまっている自分に気づいて驚いて。
なんだかようやく、ちゃんとした夫婦になれたような気がして嬉しくて。
この子が生まれたら、また違った一面を見せてくれるのだろうかと、それもちょっと今から楽しみで。
私は今日も、夫の帰りを家で待つ。
以前とは違って、今日もきちんと帰ってくる夫の為に、夕飯を作って出迎える。
お腹に宿る、愛する夫の子と一緒に。
-完-




