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夢幻回廊
「御免ねぇ…思いっきり笑い飛ばしちゃって」
たっぷり5分間は笑い続けた後、ようやく笑いの矛を収めた瞳だったが、未だに俺のいでたちを横目で見てはくすくすと笑い続けていた。
「いいさ、君が楽しんでくれれば、それが俺の本望だよ」
爽やかに笑みを浮かべ、きらりと白い歯を光らせ薄く微笑む。
古の漫画ファンなら、己は面堂終太郎かっ!? あるいは三鷹瞬かっ!? と叫んだであろう。
ちょっとゆっくりした所に入ろうよ……などと瞳に話しかけつつ、内心で呟く。
――ふっふっふ…笑っていられるのも今の内だ……
俺は邪眼の能力を最大限に発揮すべく、言葉巧みに瞳を誘導して鏡屋敷へと踏み込んだ。
夢幻の如く視界を埋め尽くす光の盾――その一枚一枚が俺と瞳を映し出す。
鏡に映った千万の邪眼が互いに干渉し合って、俺の欲望を無限に増幅する。
――今度こそ君は俺の虜だ――
さあ、覚悟してもらおうか……




