14:ユーモア
*フィクションです
それから数十分後。
少し寂れた商店街で饅頭を買い、車中で団子を食べている時、それは来た。
『私ももっと知りたいです。いつもどこから情報を辿ってるんですか?』
これが林枯が送信したコメント。それに。
『真実は絶えず我らの心の中に。(俺は独自のルートから辿っています。詳しくは言えないけれどダークウェブ。覚悟はするべきです)』
林枯はそれを、冷徹な鋭い目でしばらく見ていた。
「____子供じゃないけど、老けすぎてもない」
火流は思わず尋ねる。
「どうして分かるの?」
「ノリ的に。この返信の文面、何だかユーモアさがあるでしょう」
「ユーモア?」きょとんと首を傾げる。
「真実は絶えずって、なんか堅い口調の後に、カッコで普通の口調で答えてて、ギャップがあるでしょう」
「はぁ」今度は逆方向に頭を動かす。
「それが絶妙なユーモアさを____」
ボクは今、何を説明してんだ?
急に頭にカチンときて、林枯は「とにかく」と話を区切った。
「俺とか言ってるし、投稿者の自我が見えます」
「自我、か。それならさ、犯人、じゃなかった、投稿者さん。人に見られるのが嬉しいのかも」
「どうして?」
火流はさっきと打って変わって、顔を綻ばせて軽快に答える。
「どうしてこんなことするのか。普通に考えて、注目を浴びたいからじゃない?ほら、コメントに毎回返信をするのは、反応されるのが嬉しいから」
「反応が嬉しい……か」
反応。見ず知らずのひとたちからの反応。それなら。
「……もしかしたら、別にあるのかも。火流さんはアカウントを持っていますか?ぴっくあっぷに」
「え?俺のと、弟の……。あっ、弟のでやるのはダメだよ!まだ小学生なんだから」
「わかりました。火流さんのだけで結構なので貸していただきたいです。すぐに消すので、迷惑はかけません」
「……なら、いいよ。弟のも貸すよ」
火流は半ば当惑しながらも、スマホを渡してくれた。
火流のアカウントを開き、また何の感情もない表情で文字を打ち込んでいく。
『こんな事言ってるけど…。証拠あるの???ないなら知ったかぶりやめたら???』
「うぅ」と火流は眉を下げて唸った。
「チクチク言葉は、心が痛いよ」
(しょうがないだろ)
「林枯君。こんなコメント、普段はしちゃダメだよ」
(……。しないだろ)
そう思いながら、送信。
今度は数分で返ってきた。




