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第三話 茉莉とデート~避暑地でいちゃいちゃ~

 カレンと車を買いに行って帰宅して、みんなに車を買った話をした。


「和にい!そんな大事なことを、相談もなく決めたら!」

「そう、決めたらダメ。」

「う~ん。二人とも、決めるのは大木さんなんだから目くじらを立てないの。

 そうじゃないけど。やっぱり一言ぐらいは欲しかったかなぁ?」

「・・・。スイマセン・・・。以後、気を付けます。」


 大目玉だった。

 カレンは我、関せずの体だ。


「で、カレンはいいとして、お姉ちゃん。なんで、そんなに怒っていないの?」

「え・・・?そんなことないよ?」

「お金に厳しいお姉ちゃんだったら、烈火のごとく怒り出して和にーちゃんの胸倉をつかみに行っていると思う。」

「そんなこと、しない、よ・・・多分?」


 そこまで、するんかい、茉莉ちゃん・・・。


「むむっ!いのりちゃんレーダー的に三人でいた時に何らかの取引があったのではないかって思うんだけど。」

「うん、怪しい。お姉ちゃん。カレン。」


 二人が、茉莉ちゃんとカレンに視線を向ける。

 困った顔の茉莉ちゃん、カレンは顔色を変えずに二人に言う。


「茉莉は和樹とわがまま一日デートで今回の手打ちにしたの。だからあなたたちも和樹と好きなようにわがままを言う一日デートすればいいわ。」

「むむっ、いのりちゃんもこれを出されたら、手打ちにしちゃうかも・・・。」

「うまい買収工作。でも買われる。」


 何だかんだで話がまとまったようで、俺は一息つく。

 カレンは何食わぬ顔をしていたが、茉莉ちゃんはいきなり戦犯に加えられて縮こまっていた。


「で、和にーちゃん、順番は?」

「そうそう、予定を決めないとね、茉莉ちゃんも。」

「・・・うん。」


 そう言って三人で俺に聞いてくる。


「まあ、茉莉ちゃんが一番で、それから二人の予定が合うほうからじゃダメかな?」

「私は構わない。何ならテスト前の休みがいい。いい息抜き。」

「余裕の発言!!いのりちゃんも言ってみたい!!」


 いや、テスト前日は勉強してよ。

 ということで、後日二人には、予定の空いた日を教えてもらうことにした。


 で、茉莉ちゃんとのデートの日がやってきた。

 茉莉ちゃんは、ここから数時間の所のある有名な避暑地に行きたいと言ったので、早朝から二人でSUVに乗って出発した。


「和にい、私、高速を走るの二回目だから、危なくなったら教えてね。」

「大丈夫だよ。合流もスムーズだったし、車線変更もうまくできているよ。

 後はきちんと休憩しながら交代で運転しよう。」


 そう言いながら、俺は茉莉ちゃんが前日に用意してくれていたおにぎりを食べる。

 いろんな具材が入っていて食べる楽しみがあったおいしい。


「おいしいよ。茉莉ちゃん。」

「よかった。頑張った甲斐があった。

 ・・・あ~ん。」


 そんなことを話していると、茉莉ちゃんは運転をしながら口を開けてくる。

 食べさせてほしいということらしい。


「・・・。あ~ん。」

「・・・。ほら、あ~ん。」

「うん、おいしいっ!

 二人っきりで和にいに食べさせてもらうなんて格別だよ!」


 自分で作ったんだよ茉莉ちゃん。

 そうして、運転を交代しながら目的の場所にたどり着いた。

 今日は平日のため、人が少ない。

 茉莉ちゃんはカレンに代返をしてもらっているらしい。

 これを茉莉ちゃんから聞いた楓ちゃんはブーたれていた。


「大学生、ズルい・・・。」


 俺達はまず植物園にきた。

 茉莉ちゃんが、ここに咲いている季節の花々が見たいと言っていた。

 俺達は入園して散策する。


「和にい、お花綺麗だね。」

「ああ、ここは高山植物が多いらしくて、楽しいな。お花屋さんでも見ないような花がいっぱいある。」

「だね。高校の時に華道部だったけど、知らない花がいっぱいあるね。」


 茉莉ちゃんが華道部ってのは初めて聞いたけど、イメージ通りだったな。

 俺と亜咲は高校の時は、それどころじゃなかったからな。

 なんだかうらやましい。


「へえ、華道部だったんだ。今度活けてみてよ。」

「う~ん。気が向いたらね。

 和にいと亜咲ねえは高校とかで部活はしなかったの?」

「俺と亜咲はそれどころじゃなかったからな。亜咲は後遺症で、亜咲のおじさんはガンで入退院を繰り返していたし、俺もその付き添いが多くてね。」

「・・・。ごめん。」

「そう悪いもんじゃなかったぞ?入院患者向けのレクリエーションでいろんなことを体験させてもらっていたし。」

「そっか、大学は?」

「みんなで、亜咲を助ける名目で介助サークルを作って、いろんなことにチャレンジしていたよ。」

「そうなんだ。なんだか皆らしいね。」

「だな。」


 そうしていると、池に着いて貸しボートがあるので乗ってみることにした。


「・・・。あのね。和にい。」

「どうしたんだい?茉莉ちゃん。」


 なんだか、茉莉ちゃんがボートに乗ってから俯いている。

 船酔いとかかな?


「あのね・・・。私、すごくうれしい。」

「え?」

「なんだか、物語に出てくるヒロインのようで、今にも天に召されそう。」

「そうなの・・・?」

「うん、子供の頃から夢だったんだ、和にいと二人っきりで一日すごして、和にいを独占するって。

 しかも、二人っきりで誰もいないお池でボートになんて出来すぎて、夢みたい。」

「ああ、確かにいつもみんな一緒だったもんね。」

「うん。」


 確かに思い出してみると、二人っきりで出かけたのは長い付き合いだけど初めてかもしれない。


「だから、いっぱい楽しもっ!一生の思い出にするから!!」

「いや、一生なんて、大げさな・・・。

 また、二人でお出かけしよう。」

「うん。お願い。

 へへっ。なんだか亜咲ねえに悪いな。」

「そんなことないぞ?亜咲も喜んでくれていると思う。」

「そっか。そう思うようにするよ。

 これからもエスコートお願い、和にい!」


 それから俺たちは植物園を離れ、観光客向けの町に行った。

 お昼ごはんにお蕎麦を食べた。

 その後にスイーツを食べたいっていう茉莉ちゃんが選んだお店に入った。

 店員さんが俺たちを新婚の夫婦か恋人だと思ったのか、何故か二人で一緒に食べるタイプのスイーツを出してきてくれた。

 茉莉ちゃんは顔を赤くしながら、嬉しそうに写真を撮ったりしていた。

 店員さんも写真を撮ってくれるというので、茉莉ちゃんが是非!って言うので撮ってもらった。

 しかし、ポーズが俺と茉莉ちゃんが交互に食べさせあうのだ。俺は茉莉ちゃんに促されるままに写真に納まったが、茉莉ちゃんは顔を真っ赤にして最大の恥ずかし笑顔であ~んって言って食べて、俺にも食べさせてくれた。

 写真を確認した茉莉ちゃんはスマホを抱きしめて、えへへとしばらく悦に入っていた。

 スイーツがそんなに美味しかったのかな?

 まあ、よく綾瀬君とスイーツを買ってきて二人で顔を蕩けさせているしな。


 そうして俺達はみんなの夕方まで観光がてらお土産を物色して夕食にブランド牛のステーキを予約していたレストランで食べてから、深夜に帰宅した。

 茉莉ちゃんは今日一日上機嫌で、しばらくはスマホを見てにやけていた。

 よっぽど楽しかったんだね。

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