第十一話 みんな家族
これで第三章本編は完結です。
アップし始めてから半月で第三章までの累計10000PVを達成していました。
ありがとうございます!!
カレンを病院に送り届けてしばらくしてから手術は無事に終わったと俺たちにメッセージが入ってきた。
カレン「手術は無事終わったわ」
いのりちゃん「よかったじゃん!おめでとう!!」
楓「よかった」
まつり「安心したよ」
和樹「ひとまず安心した」
カレン「しばらく腕が不自由だけど、なんとかね。」
まつり「痛みとか大丈夫?」
カレン「今は麻酔が効いてるわ」
カレン「今のうちにメッセージを入れているの」
楓「無理しない」
カレン「ええ」
いのりちゃん「ちゃんとご飯食べて、いっぱい寝て治すんだよ」
カレン「腕の手術だから食欲は大丈夫。痛みは薬で何とかなるでしょ。」
和樹「そう言っているなら、大丈夫そうだ」
カレン「あたりまえよ。これからが大変なんだから。」
カレン「負けられない」
和樹「その意気で頼む。」
楓「でも、無理は禁物」
まつり「不自由なことがあったらなんでも言ってね」
いのりちゃん「そうそう」
いのりちゃん「食べたいものとか、食べにくい物とかあったら言ってくれたら何とかするからね。」
カレン「ありがとう。」
カレン「頼りにさせてもらうわ」
カレン「そろそろ、おじいちゃんおばあちゃんが来たから、またね。」
そんなやり取りを俺たちはリビングに集まって全員がスマホに釘づけになって行っていた。
全員がスマホの画面を見ながら無言でやり取りをする異様な光景だ。
「いやー。よかったよかった。わたし手術なんてしたことないけど、やっぱり切っているから痛いよね。」
「同感。縫い付けてあるって言っても裂けている。考えただけで身震い。」
「あはは、私傷口なんて見たら卒倒しちゃうかな・・・。」
「ま、あれだけ元気だったんだ。ひとまずは良しとしようか。」
そう言ってみんなでコーヒーやカフェオレを飲みながら一息つく。
俺が家に帰って来てからカレンの手術が始まる時間になるとみんなソワソワしだして自然とリビングに集まっていた。
「これから何日か入院して、おじいちゃんおばあちゃんと旅館でゆっくりするって言っていたし、久しぶりにこのメンバーだな。」
「うん、カレンさんが来てひと月位だけど何だかんだ馴染んでたと思う。」
「お姉ちゃん、それを言ったら私達も全員そう。」
「うん、いのりちゃんずーっとここに住んでいた気がする時があるよ?とっても居心地がいいから。」
「だね。私もそう。だからそういう風に言っちゃったのかな?」
「ああ、いいんじゃないか?それが一番だよ。心安らかに落ち着ける場所が家なんだから。
今までもこれからもね。」
「うん。」
「わたしもずーっと居つきたくなっちゃうよ。」
「構わないよ。綾瀬君だって居たいと思っているなら、居たいだけいてくれて。」
「そんなこと言われたらずーっと居ついちゃうゾ?」
「いのりんがいないとヤダ。おいしいごはんが食べたい。」
「あはは、私も。今の生活がずっと続いてくれたらなって思う。」
「それでいいんだ。みんな落ち着くところがないんだからずっとここがみんなの家で。帰る場所であってほしいよ。もちろんカレンも帰るところはあるだろうけど、日本にいる時はここが家であってほしいさ。
俺も最近、一人で暮らすってことが考えられなくなってきたよ。
最近までこの家でみんながやって来て、いろんなことがあって良いこと悪いこと全部ひっくるめて素晴らしい日々だと思う。」
「和にい・・・。」
「・・・うん。」
「そうだね。大木さん。」
なんだかみんなが湿った目をして俺を見ている。最近カレンもそうだがみんな俺のことをそういう目で見ている気がする。
なんだか、湿っぽい話しかできていないのかな?俺。
久しぶりの4人での生活が過ぎていった。
しばらくしてカレンも抜糸が済んで退院した。付き添いだったおじいちゃんおばあちゃんと立花さんの経営する旅館に逗留して、おじいちゃんおばあちゃん孝行をしながらリハビリに励んでいた。
そうして、旅館からおじいちゃんおばあちゃんを空港に見送ったカレンを迎えに行く日がやってきた。
空港の駐車場に車を停め、カレンに電話を掛ける。
「ハイ、和樹。」
「ああ、今着いた。どのあたりにいる?」
「今は屋上の展望デッキにいるわ。」
「なら、そっちに行くよ。」
「ええ。待っているわ。」
俺は展望デッキに向かうと、ベンチに座っているカレンを見つけた。
「よう。待たせたな。」
「いえ、来てもらったんだから、気にしないで。」
俺はカレンに来る途中に買ってきたペットボトルの紅茶を渡す。
「ありがと。和樹。」
「で、どうだった?」
「たくさん甘えさせてもらったわ。ほんと和樹の言ったとおりだったわ。
手術してから、毎日アメリカの両親とおじいちゃんおばあちゃんと家族でTV電話しておしゃべりしたわ。
本当に子供の頃、長期休暇で一緒に過ごした時以来ね。
おじいちゃんが遠洋漁業の漁師だったって言っていたでしょ。長期休暇に合わせてアメリカで漁終わりに船を降りて、日本からおばあちゃんがやって来てロスでみんなで過ごしていたり、おじいちゃんが日本にいる時は私が日本に行っていた時以来かしら。」
カレンは飛び立っていく飛行機を見つめている。
「よかったじゃないか。俺なんてみんな死んじまってるから。そう言ったことを大切にして欲しいからね。」
「ええ、おかげさまで。なんだかとっても子供に戻った気がしたわ。
だから、リハビリがしんどい時や傷口が痛むときにおばあちゃんによく泣きついて、おじいちゃんに連れ戻されていたわ。
でも、二人ともとっても嬉しそうだった。私もね。」
「あたり前だろ。カレンが頑張っている、踏ん張り時なんだ。しかも久しぶりに長い間過ごせるんだから。」
「ふふっ。なんだか和樹が本当の家族に思えてくる時があるわ。もちろん茉莉や楓、いのりもね。」
「それでいいんだと思う。俺はさ、もう天涯孤独な身だ。だから今のこの関係性を大切にしたいし、失くしたくないと思っている。
だから、カレンもこの家が気に入ってくれてそう思ってくれたらうれしいよ。」
「・・・ええ。そうね。ここが私の日本の家だって思っているわ。何だかんだで自分の全てを、晒しだせる・・・、吐き出せる場所よ。もうすでに。」
そういってカレンが微笑んで俺を見てくる。
今までで一番の笑顔だと思った。
ちょっと気恥ずかしくなって俺は顔をそむける。
「? ・・・ふふっ。」
「なんだよ?」
「ううん。何でもない。ちょっとあの子たちより進んだかなって、思って自惚れていただけ。」
「?」
「いいの。わからなくて。わかるんだったら、こんな風にはならないわよ。バカ・・・。」
そういって、カレンは顔を赤くして立ち上がり出口へ向かう。
「さあ、帰りましょう。我が家へ。
あ、今日はルイジでお帰りのパーティーだったわね。
じゃあ、みんなで一緒に家族の家に帰りましょう。」
「ああ、みんなで帰ろう。」
そう言って俺も歩き出す。
亜咲、俺は今新しい家族が出来て、満ち足りた生活を送れていると思う。
これからも見守っていてくれ・・・。
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