第四話 初デート?
カレンがやってきた翌朝、カレンとみんなは打ち解けようと様々な話をしてくれていた。
今のところは問題なくやっていけるような気がする。
時間になってそれぞれ準備があるので、後日歓迎会をしようということになって一度解散した。
カレンはリビングでニュースを見ながらコーヒーを飲み、新聞を読んでいる。
そうして、みんなを見送っていた。
「カレン、今日の予定についていいか?」
「ええ、和樹。私も聞きたいことが何点かあったから。」
俺とカレンは事務所で簡単な挨拶を交わしてはいたが、こう二人っきりで会話をするのは初めてだ。
「? なんだい?
最初にそちらの話から聞くよ。」
「まずは、あなたの職業について。この若さでこの周辺の家よりもグレードが高い家に住んでいるし、車庫にあった車もかなりの高級車よ。一体、ジョーの仕事以外は何をしているの?」
興味深そうに聞いてくる。
そりゃそうだ。
こんな家に住んでいたら、普通は何かしらの仕事でかなりの大成を成していると考えるのが普通だろう。
それにカレンは名門大学の学生だ。しかも経営の。気になるのだろう。
「ああ、何も。常見と啓介のビジネスの経営顧問みたいなことぐらいしかしていないよ。」
「ほんと?もともとお金持ちだったって感じも受けないし。どういうこと?」
「宝くじが当たって大金を手にしたんだ。それだけだよ。」
「ワォ。すごいわね。その強運を私に少し分けてくれないかしら?」
「いや、これで強運は使い果たしたと思う。なにせ、しばらくして妻に先立たれてしまってね。」
「・・・ごめんなさい。嫌なことを聞いてしまったようね。
ところどころに女性の写真が飾ってあったのはそういうことだったのね。」
「いや、気にしないでくれ。」
カレンはリビングにも飾ってあった亜咲の写真を見やる。
茉莉ちゃんが来てからは家のところどころに亜咲の写真が飾られている。
世界一周クルーズに行ったときに撮った写真を印刷してほぼすべての部屋に飾られていた。
しかも、ときたま新しい写真になっていたりする。
茉莉ちゃん曰く、亜咲ねえにも見守っていて欲しいし、やっぱり亜咲ねえだってこのお家に住みたかっただろうからということらしい。
「次の質問は、私は二階の一室に入らせてもらえることらしいけど家具とかはどうすればいいの?」
昨日、二階の部屋を女の子たちに紹介されて、驚いていたようだった。
何せ何にも置いていないからね。
俺も女の子が増えてきてからは二階には極力上がらない、上がっても多目的スペースまでにするようにしているので今二階の部屋がどんな風になっているかは把握していない。
それでも、多目的スペースにはTVやテーブル、クッションや棚などが増えてきているし、どれも女の子らしいものであったのは覚えている。
「それは、今から俺が話そうとしていたことの一つだよ。
今から買いに行こうと思う。もちろん家具代は俺持ちで構わないし、二階の多目的スペースに置きたいものがあったらみんなに行って了解を取ってくれれば置いてくれていい。」
「そう、ありがとう。お願いするわ。なら、ポールを置きたいのだけど構わないかしら?」
「問題ないけど、どこで買えるのかい?」
「大丈夫、ネットで注文しておいたから。あとで私の口座にでも代金を振り込んでおいて。」
「わかった。そのほかには?」
「特に今のところは。都度相談ってところね。」
そう言って俺たちはいつもの家具屋に行くことにする。
ミニバンに乗せるとカレンは驚いていた。
「日本の車ってなかなかアメリカと違って面白い物もあるわ。」
「確かに、あちらは大きいからね、何でもかんでも。
この車だって日本の環境でいかに小回りを利かせて、人と物を詰め込むかを考えているからね。」
「そうね。日本車はセダンとかコンパクト、もしくはアメリカサイズの専用車種が多かったわね。
黄色いナンバーの小さな車なんて危なっかしいわ。おもちゃみたいで。」
雑談をしながら家具屋についてからは、家具を物色する。
カレンはセンスの良いシンプルで良質な家具を選んでいた。
茉莉ちゃん、楓ちゃん、綾瀬君とはまた系統の違った趣だ。
しかし、綾瀬君以上に物を買わなかった。
買ったのはベッドに細長いデスクとチェア。ドレッサーに大型ラック、吸音素材でできた厚いクッションタイルだけだった。
「大丈夫かい?これだけで。」
「ええ、実家以外では必要なもの以外は持たない主義なの。大学の寮を出た時の荷物で今までやってきたし。必要な時に考えるわ。」
そうして、俺たちは昼前に家具屋を後にした。
今から家に帰ってからだと、今日は茉莉ちゃんがお昼にいない日なのでお昼ごはんを用意するのに時間が掛かる。
外食にしようと思い提案してみる。
「カレン。家に帰ってからだと昼が遅くなるからどこかで食べていかないか?」
「そうね。そうしましょう。」
「何か食べたいものがあったら、行ってくれ善処するよ。」
「なら、久しぶりの日本だからお寿司が食べたいわ。回転ずし。
それも、格安、機械握りじゃない方の。」
「わかった。少し遠いけど構わないかい?」
「ええ、久しぶりに本物の新鮮なお寿司が食べれるなら構わないわ。」
どうやら寿司が好きなようだ。あとで聞いてみよう。
俺がカレンを連れて行くのは日本海側からネタを運んできている回転ずしチェーンだ。
この店はもともと日本海側で展開しているチェーンらしく、このあたりの回転ずしチェーンとは一線を画す旨い店だと評判だ。
皆でこの間来た時なんて、綾瀬君は感動して無心で食べられなくなるまで食べていたほどだ。
テーブル席に着くと、カレンが慣れた手つきでお茶を入れて醤油皿を用意してくれる。
「慣れた手つきだね。あっちにはそんなにないと思うんだけど。」
「ええ、チェーンでもあんまりおいしくないわね。日本に帰ってきたときにおじいちゃんおばあちゃんたちとよく行っているのよ。」
「へえ、今もおじいちゃんおばあちゃんがご健在なんだ。」
「ええ、島根の漁師町に住んでいるわ。おじいちゃんは遠洋漁業の漁師だったの。
ママはおじいちゃんに子供のころから海外の話を聞いたり、英語を教えてもらっていてね。
その流れでアメリカに留学してパパと出会ったのよ。」
「そうなんだ。なんだかワールドワイドな感じがするよ。」
「私にしては普通だけど、他の人はそういう言うわね。」
「はは。日本にいたらそんなもんだよ。」
「でも和樹はそんな感じがあまりしないわ。奥さんの写真だって世界各地の写真だし。」
「世界一周クルーズに数か月間出かけていたからね。そのせいだよ。」
「私からしたら、そっちの方がよっぽどワールドワイドよ。」
カレンは肩をすくめて見せる。
そうだね。世界一周クルーズになんてそうそういかないもんね。
「そういえば、おじいちゃんたちに会いに行ったりしないのかい?
せっかく日本に帰ってきたんだし。」
「もちろん、どこかのまとまった休みか時間が空いた時に帰らせてもらうわ。
おじいちゃんたちも楽しみにしてくれているから。」
俺たちはいろんな話をしながら寿司に舌鼓を打って、打ち解けていった。
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