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白夜の国・1

おはようございます。第93話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

今回は終始和登視点です。

楽しんで頂けたら幸いです。

 カルルカの街から転移魔法陣を使って白夜の国に到着する。

 てっきり首都辺りに転移すると思ったのだが何処かの小屋の中に転移した事に些か驚く。


「さっむ‼‼‼‼‼」


 先程までと違い周囲の温度が下がったことに驚く。小屋の隙間から外を確認すると辺り一面が真っ白な事に気が付いた。

 てか、本当に寒い‼ネージュに乗っている時並みに寒い‼

 他の皆に目を向けるとマカとリルはお互い体を寄せ合い暖を取っている。コハクを見ると・・・あっ‼‼ずりぃ‼‼いつの間にか一人だけいつもより少し厚手のコートを着込んでいる‼しかもフードにはファーまで付いている!


「いやいや、狡いって皆にも防寒具を渡してあるでしょ?瞬時に状況を判断できないとこの先、生きていけないよ?」


 ・・・それに気付けなかったのは俺のミスですけどナチュラルに心を読むのマジで止めてくれません?


「今回は心を見たわけじゃないよ。ただ、多分こう考えてるんだろうなと予想しただけだよ。ちなみに今のこれもね」


 ・・・マジ怖い・・・・

 そんな事を考えながら俺は、アイテムボックスからマカ達の分も防寒具を出し、皆でいそいそと上に着込んだ。


「なぁ、なんで白夜の国はこんなに吹雪いているんだ?」


 さっきまでは温かい気候だったのでいきなりこんな極寒の地に来てしまった事を疑問に思う黄昏の国だって俺が訪れた時には雪なんて降っていなかった要するに今は雪が降るような季節では無く。どちらかと言うと夏に近い季節のはずなのだ。


「魔族領の特性だよ。人間側は、魔族領は肥沃な大地が続いていると思っているみたいだけど魔族領は国によって気候が大きく変わるんだ。白夜の国はどちらかと言うと年中冬の国だと思って貰えればいいよ。四季が有るのは黄昏、暁、憤怒、色欲の四ヶ国ぐらいかな・・・他は色々と厳しい条件の国が多いんだよ。とりあえず、白夜の国の首都に行こうか?ここで立ち止まっていても凍え死ぬだけだしね。白夜の城なら温かくしてあると思うよ」


 全員が防寒具を着込んだのを確認し、コハクは小屋のドアを押し開け外に出る。

 一面、白い世界の中をこがらな黒い影が迷うことなく進んでいく。俺達は見失わない様に急いで後を追いかける。


「う~、さむ・・・・・」


 ・・・やっぱりコハクも寒いのか・・・

 そんな事を考えながら俺達は吹雪の中を街に向かって歩いた。


「おぉ・・・すごい・・・急に暖かくなった・・・」


 しばらく吹雪の中を歩いてようやく街の中に入るとさっきまで寒かったのが嘘の様に温かく過ごしやすい気候になる。あぁ、すっごい快適だ・・・


「過酷な環境の国は主要な街や王の居る首都には結界が張って有って快適に過ごせるようにしてあるからね。やっと人心地付けるよ・・・」


 成程、白夜の魔王に会いに行くのが明日の理由がわかった。雪の中を歩いて体は冷えるし、流石に疲れた。


「つかさ・・・街中に転移魔法陣をセットさせて貰えば良いんじゃないのか?」


 宿を探しながら俺は転移魔法陣の場所に関して疑問に思った事をコハクに聞いてみる。

 近ければ近い程あんな苦労を味わわないで済むのだから効率がいいのではないだろうか?


「あのねぇ・・・街中に設置して万が一、悪用されたら一溜まりも無いでしょ?ここは君の居た世界みたいに安全は保障されていないんだよ?だから設置させて貰う場合は街から少し離した場所に設置させて貰っているの・・・まぁ、転移装置の方はその手のルールを無視だからもっと厳重に管理しないといけなかったんだけどね・・・」


 多少、呆れたようなテンションで答えてくれたが最後の方はディオルド陛下の所に行った事と関係が有るのか聞こえるか聞こえないかギリギリの声量でコハクは言う。

 近くの宿屋で部屋を取り吹雪の中を歩いた事も有って俺達はその日は直ぐに眠りについた。


 翌日、疲れを取った俺達は白夜の城に向かった。今更だけどアポも無しにいきなり行っても大丈夫なのかな?追い返されない?てか、なぜコハクは黒コート(魔王モード)なの?


「こんにちは、オウルに会いに来たんだけど今大丈夫ですか?」


 コハクは軽い感じで城の警備をしている兵士に話しかける。そんなので通れるわけな———


「あ、黄昏の魔王様、お久しぶりです。お話は伺っております。多分、今は研究室にいらっしゃるかと思われます。どうぞ、お通りください」


 ———通れるんかい‼おい‼警備仕事しろ‼安全が保障されていない云々の話はどうした⁉

 まぁ、コハクは白夜の魔王と仲が良いみたいだから顔パスで良いのか・・・?


「コハクちゃん、お城の警備が緩くない?」


 リルが先程の遣り取りを見て俺と同じ事を思ったのか少し困惑気味にコハクに問う。


「あぁ・・・うん、私とフェル・・・暁の魔王は意見交換をする事が多いから暁、白夜、黄昏は顔馴染みなんだよね・・・まぁ、私はこの格好じゃないと分かってもらえないけど・・・」


 最後はちょっぴり不満そうな声音で顔パス?の理由を説明してくれる。

 そんな話をしながら俺達は城の廊下を歩く。しばらく歩くとコハクが扉の前で足を止める。


「あぁ、ここだここ」


 えぇ・・・ここ本当に大丈夫?なんか分厚い金属の扉だし、keep outって文字で書かれた黄色のテープが大量に貼って有るんだけど・・・


「はい、皆これ着けてここに入っている間は絶対に取ったら駄目だからね」


 そう言いながら人数分のガスマスクを差し出してきたコハクは既にその顔にガスマスクを装着済みである。当然、ネージュも専用のマスクを着けている。

 いやいやいや‼ここ白夜の魔王の研究室だよね⁉何でガスマスクが必要なの⁉


「皆、着けたね?じゃあ、開けるよ」

 全員がガスマスクを装着したことを確認する金属の扉を開ける。扉を開けると中からもやもやとした白い煙が漏れ出してきた。


「・・・やっぱり、またやばい薬が漏れ出ていたか・・・オウル‼居るんでしょ?出て来て‼」


 不吉な一言を放った後コハクは部屋の奥に向けて声を掛ける。

 奥に声を掛けているが全く反応が無い。こんな所で呼ぶんじゃなくて中に入って声を掛けた方が良いんじゃないかな?

 そう思い前に進もうとするとコハクに袖を掴まれ止められる。


「狗神君、死にたくないのなら中に入らない方が良いよ。しょうがないから私が引っ張り出してくるから皆どんな音がしても絶対にマスクを外さないでここで待っていてね」


 そう言うとコハクは意を決したように一つ大きく息を吸うとネージュをリルに預け、部屋の中へと歩を進める。

 少しすると中からガシャンっという音や何かを発射するような音、ガスが噴出するような音など様々な音が鳴り響く・・・おいおいおい‼これコハク大丈夫なのか⁉

 そんな不安に為る様な音がしばらく続き煙の中から人影が話をしながら迫って来た。


「全く・・・折角の罠・・・特に魔王すらも痺れさせる麻痺ガスを防毒マスクなどで防ぐとは風情が無いぞ。コハク」

「そんな風情入らないよ。だから前から呼び鈴付けろって言っているでしょ‼」

「お前が魔王に為ったばかりの頃は面白いぐらいに引っ掛かったのになぁ~、あの初々しいお前をもう一度求む」

「断る。ふざけてないでさっさと勇者の所に案内して」


 そんな会話をしながら煙の中から些か汚れた格好になったコハクが頭にシロフクロウを乗せて出て来る。

 あれ?白夜の魔王は?さっき喋ってたよね?


「皆、お待たせ」

「えっと・・・コハク、白夜の魔王は?」

「私の頭の上に乗っているこれだよ。オウルは普段あまり人型にはならないんだよ」


 そう言いながらコハクは頭の上の梟を指差す。梟は右の翼を大きく上げ挨拶をして来る。


「ども、俺の名前はオウル・F・テテリヌス、気軽にオウルと呼んでくれ」


 梟の見た目のまま挨拶する白夜の魔王を見ながら俺はそう言えば獣人って獣の姿になれたんだよなぁっと考えていた。


次回はコハクの視点に戻ります。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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