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ストレスの発散方法

おはようございます。

第106話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

また、誤字脱字報告ありがとうございました。とても助かりました。

今回、短めですが楽しんで頂けたら幸いです。


『初めに言っておくぞ。これはコハクの所為じゃない。隠し倉庫を守護していた者達は皆殉職した・・・ヴィレドとマティスも戦死した・・・。隠し倉庫の中のポーションやエーテル薬、封印処置されていた薬も行方が知れなくなってしまった。挙句の果てに倉庫には火が放たれて何が持ち出されたのか詳しくは分からなくなった。現在、調査している』


 第三の厄災との戦いから2日後、狗神君とのリハビリ兼朝の稽古中に先日、オウルから聞かされた言葉が脳裏を過ぎる。

 オウルは気にしなくて良いと言っていたが私が倉庫に兵を配備して貰った所為で無駄に犠牲を出してしまった・・・

 とりあえず少しでも工場が再起動できるまでの繫ぎになるように私の溜め込んでいたポーションを半分(私はすべて渡す予定だったがオウルに半分で良いと言われた)渡したけどとても埋め合わせできない・・・


「この‼」


 昨日の事を思い出していると狗神君の声と共に振るわれた剣を右に持つ剣で受けようとして微妙に鈍い右腕の動きに思わず顔を顰める。

 結局、エリクサーイミテーションを使っても私の右腕は以前の様に動かなくなってしまった。オウルの話によると目や他の重症箇所の治癒が優先されたのだろうとの事だった。

 まぁ、ネージュの体にはあの戦闘の後遺症が無かったことが不幸中の幸いだろう。

 ちなみに湊瀬さんには昨日オウル達と話した後に謝り許してもらったし、ネージュともちゃんと話し合って仲直りもした。


「おはようございます。狗神先輩、おはよう。コハクちゃん」


 狗神君の木剣を弾いた所で少し離れた所から湊瀬さんが声を掛けて来る。


「おはよう。湊瀬さん」

「おはよう。みな・・・「うん?」夢菜さん」


 挨拶を返す際にうっかりと名字で呼ぼうとするととってもいい笑顔で訂正を求められて慌てて言い直す。

 湊瀬さん・・・夢菜さんからは昨日の謝罪で許す代わりに名前で呼ぶように条件を出されたのだ。それで良いのならとその条件を飲んだのだがまぁ、まだ慣れないわなぁ・・・

 ちなみに狗神君はなぜか微妙な心境のようだ。

 今回の狗神君との稽古で分かった事はオカミノカミに付けているスキルの変更が必要だという事だった。今まではカグツチもオカミノカミも鋭さ、切れ味、頑丈さ、重さを重視したスキルを専用の宝玉によって追加で剣に付与していたが右手で振るうオカミノカミは重さを軽くするスキル構成に変える必要があるみたいだ。まぁ、今まで見たいに右手を使えないし、

 しょうがないね・・・

 そこからは夢菜さんを交えて三人で稽古を少ししてから皆で朝食を食べに行った。

 朝食の席に行くと他の勇者の人達やフェル達が席についている。心なしか乾君がまだ眠そうに目を瞑っていて頭がふらふらしている。今からこれからの予定を話すのに大丈夫かな?


「おっし、みんな揃ったし飯にしようぜ~」


 そんなフェルの呑気な声を合図に私達は朝食を食べ始める。


「それで?俺達も人間の領土だとしか聞いていないが何処の国なんだ?」


 一通り朝食を終えると乾君も目が覚めたようでそれを確認したフェルが今後の予定を確認して来る。

 私はその言葉を聞き、何とも言えない顔で答える。

 まぁ、言っても何の問題も無いのだけれど私の問題なんだよね・・・


「あ~、うん、じゃあ、人間の国について話そうか、まず次に行くのは魔法国家イリア、此処が第四の出現場所だね。次が憤怒とルファルデ法国に第五、第六が同時出現、ガイダル帝国に第七、第八は不明、第九がクラシアだね。だから次の行き先は魔法国家だよ。予定は今日国に戻って休んでから明日イリアに飛んで使いたくないけど伝手を使って国王に会う感じかな」


 私が次の行き先を告げるとリルが私に嬉しそうに口を開く。


「じゃあ、コハクちゃんは里帰りするんだね‼」

「あ~、うん、そうなんだよねぇ~」

「なんか歯切れが悪いな?帰りたくないのか」

「うん?まぁ、そういう訳じゃないよ~」


 リルとオウルの言葉に私は歯切れ悪く答える。だって、ねぇ?いきなり行方不明になっていきなり戻って来るってなんか気まずくない?皆に滅茶苦茶迷惑掛けているわけだし・・・

 そんな会話をしながら私達は朝食を摂り、白夜の国を出る準備に移った。


「あ、そうだ。オウルさん、ヴィレドさんとマティスさんに挨拶したいんですけど何処に居ますかね?」

「あ、私も挨拶したいです」


 その言葉に私もオウルもフェルも一瞬固まってしまう。

 ヴィレドさんやマティスさん達が亡くなった事は彼等の精神面を考えて今はまだ伏せて有る。流石に身近になった人が殺されたと聞いたら冷静ではいられないだろうという配慮だ。

 正直、私だって親しい人達が殺されたら正気ではいられない。


「あ~、その、なんだ・・・彼等は今ちょっとした任務に付いていてここに居ないんだ。・・・すまんな」

「そうなんですか・・・残念です」

「じゃあ、ヴィレドさんやマティスさんによろしくお願いします」


 オウルの言葉を聞き、夢菜さんと山辺君は残念そうな顔でそう言うとその場を去った。私達は何とも言えない顔でその後姿を見送った。

 その後は特に何もなく私達は無事に黄昏の城に戻る事が出来た。

 余談だが私の体の状態はオウルから連絡が入っていたらしいので戻った直後に前回みたいに取り押さえられる事は無かった。

 さて、無事に城に戻り翌日の準備を済ませ私は厨房に籠って大量のお菓子の試作品を作っていた。

 ストレスが溜まったり、嫌な事が有ると出る今の人生からの癖だ。多分、今回は両方・・・

 溜息を吐いてお菓子を作っているとドアが控えめにノックされて扉が開き、扉の向こうから匂いに誘われたのか狗神君が顔を出した。


次回は、故郷に帰ります。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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