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戦い終わって・・・

おはようございます。第104話投稿させて頂きます。

評価ポイント・ブックマークありがとうございます。とても励みになります。

☆は別の人間の視点になります。

楽しんで頂けたら幸いです。


「良いから‼赤を優先して治療しろ‼何のためのトリアージだと思っている‼いくら新人だからといって勝手な行動をするな‼」

「魔王様、こちらの怪我人は治療が終わりました!別のレッドに行きます‼」

「薬が足りないぞ‼ありったけ持って来い‼」


 消毒薬のにおいと怒声が飛び交う中でゆっくりと意識が鮮明になっていき体中に痛みが走る。全く持って今日だけで二回も気を失うなんて情けない・・・

 ゆっくりと目を開けると強い光を見た所為か視覚がぼやけている。治るかな・・・?


「起きたかコハク?」

「目が覚めたかバカ娘」

「おはよう。オウル。フェル。いきなりだけど現状を教えて貰える?」


 私が目を開けたのが見えたのかオウルとフェルが怒っているような口調で話しかけて来る。あ~、やばいね。コレ完全にお説教(お兄ちゃん)モードだ・・・


「それよりお前の身体の確認だ。体の異常を片っ端から言え、嘘は吐くなよ」

「目がぼやけるのと多分、右手が動かない。あと体中が痛いぐらいかな」


 オウルの言葉に私は素直に答える。流石にこの状態で誤魔化しは出来ない。

 私の言葉を聞いたオウルとフェルは「はぁ~」っと溜息を吐いた後、紙にさっき言った事を書き込んでいる。


「第三の厄災の最後の悪足搔きが直撃した事を考えるならこれぐらいで済んでよかったというべきだろうか・・・」

「咄嗟に魔法でシールドを張ったからね・・・」

「重症には変わりねぇだろ」


 オウルとフェルは一通り呆れたような言葉を言うと紫色の液体の入った小瓶を目の前のテーブルに置く。言わずもがなのエリクサーイミテーションだ・・・


「文句は受け付けない。これを飲むまで俺達は被害状況もネージュの容態も一切教えない。勇者達やリル達、此処にいるスタッフにも箝口令を出しているから聞いても無駄だ。知りたい事が有るのなら文句を言わずに飲め」

「ちなみに眼を使うとしても無駄だぞ。お前の目にモノクルを掛けて更にその上を布で塞いで目の力を封じるからな」


 いや、そんなに脅さなくても素直に飲むよ・・・メイド長にしてもオウル達にしても信用が無くて辛い・・・仕方が無いけど・・・

 オウルとフェルの監視の中素直に小瓶を持って中身を飲み干す。しかし、ネージュの時ほど即効性が無い。


「体のダメージが大きすぎるんだ。体の回復に時間が掛かるんだろう。ネージュも今は寝ている。とりあえず、約束だからな、現状の話をしたらお前も今日は休め」


 そう言ってオウルは死傷者の数や負傷者の数、被害状況、復興予想期間などを話してくれる不幸中の幸いだったのは当初予想していた人数より死亡者が少なかった事と破壊された工場が有った街は事前に街の住人を全員避難させていたので街の人達には被害者が居なかった事だろう。


「それで、隠し倉庫にしまっておいたポーションで工場の再開までは持ちそうなの?」

「うん・・・あぁ・・・その話はコハクが回復してからにしよう。今日はもう疲れただろ?ぶっちゃけると俺達も疲れた。ゆっくり眠れ」


 オウルは何故か歯切れ悪く話を中断すると私をベッドに横たわらせる。


「あっ‼そうだ‼湊瀬さんは?あの後大丈夫だった⁉」


 ゆっくりと横になり私は湊瀬さんの事を思い出して声を上げる。そう言えば彼女に飛竜の手綱を渡してしまったのだ。大丈夫だっただろうか・・・


「お前に手綱を渡された後、器用に飛竜を操っていたぞ・・・乗馬でもやっていたのかね?まぁ、今日は彼女も寝ているだろうし、明日にでも謝った方が良いだろうな」

「そうだね・・・そうするよ」


 私がそう言って布団を被るとオウルとフェルが病室から出て行く。

 どうやらお説教は明日になるらしい・・・とりあえず今日は眠ろう・・・

 そう思いながら私はゆっくりと目を閉じた。


「うぅ・・・」


 フェル達が居なくなって数時間後、唐突に体中に痛みが走り私はくぐもった悲鳴を上げる。

 ダメージが深すぎる所為か分からないが薬が体を治そうとする力で傷を負ったあっちこっちが痛み出し、ぼやけていた目も痛み出して涙が溢れて来る。

 正直、痛みで泣き出すなんて6歳の時だって無かった。そもそも泣いたのなんて8年前のニアさんの時以降無い。


「ぐぅ・・・うぅ・・・」


 結局、私は一晩中痛みに耐えていてその日は一睡もする事が出来なかった。

 翌日、昨日の話の続きとしてオウルとフェルに呼ばれ二人から聞かされた話の内容に私は思わず眩暈を起こしてしまった。


 ☆


「Broken down♪ Broken down♪」


 楽しく動揺を謳い手に持つ剣に付いた血を振り払い大量の肉片の中を歩き進める。

 それにしても最後まで命令に従って逃げ無いなんて律儀な人達だよねぇ。だから損するんだよ。


「My fair lady♪」


 童謡を歌い終わるころには私の前に重厚な扉が現れた。


「はいはーい♪お邪魔しますよっと♪」


 そんな軽口を叩きながら重い扉を開けるとお目当ての物が目に入る。


「あは♪みーっつっけた♪」


 大量のポーション類と何やら封印処置の施されている薬品を見て思わず声を弾ませてしまう。やれやれ5つ程隠し倉庫を潰してやっと当たりか~

 一人愚痴りながら一歩前に踏み出ると唐突に頭上から声が聞こえて来る。


「我らの名簿に該当者無し。去れ、去らぬなら貴公を敵とみなし排除する」


 ありゃ?警備用のゴーレムかこれは予想外だったや流暢に喋るお高い品みたいだし、やっぱりこの隠し倉庫が本命の倉庫みたいだ。


「あは♪話してないでとっとと来いよ♪このポンコツ♪」


 安い挑発をしてやるとゴーレムは腕を思いっきり振るって殴り掛かって来る。

 あは、強欲の国の兵や普通の人間だったらその程度で十分だっただろうね。


「ほい♪」


 そんな軽い掛け声と共に剣を振り抜きゴーレムの右腕を切り飛ばす。

 そのままゴーレムの脇を抜け立ち位置を入れ替え後ろ向きのゴーレムの背中に剣を突き立て核を破壊する。

 ゴーレムは焦った様子で上体捻り強引な姿勢で左腕手攻撃してくる。

 おやぁ?まだ動くって事はコイツの核は胴体だけじゃない無いって事かぁ・・・

 起動したって事は通知が白夜の魔王の所に云っているだろうからちゃっちゃとコイツを処理しないと面倒な連中が来ちゃうだろうなぁ・・・めんどくさい

 ゴーレムの攻撃を避け頭部に向かって剣を突き立て頭部に隠されていた核を破壊する。


「爆ぜろ♪」


 念の為、頭を爆破した所で漸くゴーレムが機能を停止しその場に崩れ落ちる。


「あは♪ざまぁ~♪人様の邪魔をするからそうなるんだよ♪ポンコツ♪」


 剣を仕舞い私はポーションを手当たり次第にアイテムボックス入れる。とりあえず今回の協力分の報酬は用意しておかないとねぇ~。

 一通り仕舞い込むと私は厳重に封印処置されている棚の前に行き中身を漁る。


「あは♪やっぱりやばい薬の宝庫だぁ♪」


 中を漁ると出るわ出るわ表に出せないような毒薬や増強剤、封印処置するぐらいならこんなの作らなければいいのにね♪

 一通り中を漁ると厳重に封印処置された棚の中に更に厳重に封印された箱を見つける。

 興味を持って中を開けてみるとおどろおどろしい赤色をした液体の入った5本の注射器型の金属製アンプルが入っている。


「狂化薬?」


 箱に書いている文字を読み上げて首を傾げてしまう。

 強化薬じゃなくて狂化薬?あぁ、ひょっとして原初の魔王達全員が持っている呪いに関する物かな?まぁ、良いや使い道が有りそうだし貰って行こう♪

 そう思いながらアイテムボックスに狂化薬を放り込み立ち上がる。


「さて♪じゃあ、ここには用事は無くなったし帰ろうかな♪」


 そう言って私は油をばら撒き、火を点けると来た時と同じ様に童謡を口ずさみながら白夜の国を立ち去った。



本日、1時ぐらいに閑話としてもう一話投稿させて頂きます。

ごゆるりとお待ち頂けたら幸いです。

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