↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/54

006●第1章なの?

装備は途中の武具屋さんでそろえた。

店主は、レイディ・ソレイユから聞いている、

お代は頂いている、どうぞって。

どこに行くかのメッセージも受け取った。

霧が立ち込める森を抜け、わたしたちはたどり着いた。

風の谷・・・そう呼ばれる場所は、静かで、どこか神聖な空気に包まれていた。


「ここ・・・風がずっと吹いてるね。」髪を押さえながら言う。

「うん。でも、なんか・・・風の音が、言葉みたいに聞こえる。」

さやちゃんが耳を澄ませる。

風は、まるで何かを語りかけてくるようだった。

谷の中央には、苔むした石碑が立っていた。

表面には、風化した文字が刻まれている。


風は記憶を運び

声を重ねて道を開く

ふたりの心がひとつになれば

精霊アキシュアンは目覚める


「これって・・・謎解き?ロールプレイング・ゲームみたい?!」

「うん。たぶん、ふたりで声を合わせるってことじゃない?」


石碑の前に立ち、ふたりで詩を読み上げる。

「風は記憶を運び、声を重ねて道を開く・・・」

詠唱が終わるやいなや、谷に吹く風が一方向に流れ始めた。草がなびき、木々がざわめく。

「風が・・・道を示してる!」

「行ってみよう!」


風の流れに導かれ、谷の奥へと進む。

だが、すぐに濃い霧が立ち込め、視界が利かない。

「見えないね。」わたしの言葉に、さやちゃんが応える。

「でも、聞こえるよ。風の音が、こっちって言ってる気がする。」


さやちゃんは耳を頼りに、わたしたちは手をつなぎ、進む。

地面の感触と風の流れを感じながら、慎重に歩を進める。


霧を抜けると、目の前に崖が現れた。

下がどうなっているのか、見えないぐらいの高さだ。

風が強く吹き荒れ、足場は不安定だった。


「ロープがある。これ、使えるかも。」

「渡れるかなあ?」

「先にやってみるよ、なっちゃん!」


わたしがロープを張り、さやちゃんがバランスを取りながら渡る。

風がふたりの声をかき消す中、目と手の合図だけが頼りだった。


「やったよ!次は、なっちゃんの番!こっちでロープ、引っ張ってるからね!」

う~ん、さやちゃん、いつも大胆。そんなにうまく行くかな、わたし?


「やったね、なっちゃん!」

「うん、さやちゃんのおかげ!」

なんとか無事に、わたり終えたぞ!


しばらく進む。また、雰囲気が変わったね。

うわぉう、なんだ、あれは?

透明な羽を持ち、風とともに舞う姿は、まるで空気そのものだった。

肩まで伸びる栗色の髪、青い異国風の衣服。

金色の草が揺れ、風が渦を巻くように集まった。


「わたしは風の精霊アキシュアン。ふたりの絆が風を導いた。よく、来ましたね。」


精霊がわたしたちに、何かを差し出してくる。

「風の結晶」って?

「これは、世界線を越えて冒険をする者に必要なの。いずれ、真の冒険が始まるでしょう。」


風が静かに止み、谷に陽光が差し込んだ。

あれっ、アキシュアン、消えちゃった。

「ねえ、なっちゃん。これって、始まりなのかな?」

「うん。きっと、わたしたちの物語の第1章だよ。」


手をつなぎ、谷を後にした。

風の結晶は、胸元で静かに輝いていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。