025●まだ、奥の手あるの?
「お前たち、ほめてやろう!よく、ここまでたどり着いたものだ。だが、もう、終わりにしよう。」
しまったあ!俺たち4人は、360度、取り囲まれている。
小さな体育館ほどの大きさ。
キャットウォークにぐるりと立つ連中がマシンガンを構えている。
せっかくフェンタルンの証拠を押さえたんだけどな。
でも、いつものピンチのパターンだよな。
「俺は月齢13日だから、完全じゃないが、少々撃たれてもガマンできるぞ。身体機能はエイミーにだって負けないぞ。」
聞いたか、俺のこの決意!
「わたしは散開したら、キャットウォークにジャンプする。連中は互いが邪魔して横には広がれないし、対面方向からわたしを撃てば、自分の仲間に弾が当たるだけ。何とかするよ。」
エイミー、いいね!
「それでは、わたしはジンさんの盾になりながら、出口に向かいますね。」
ココア、ナイス判断だ。
「うーん、わたしは奥の手を出しますか。」
ちょっと、まったあ、ジン!まだ、奥の手ってあるのか?
「戦力の出し惜しみはするな、って言ったじゃないか!」
「いえ、出し惜しみはしていません。この状態になるまで、使う機会がなかっただけです。全然、出し惜しんでいません。絶対です。」
あんた、頑固だったんだよな。局長とも意地の張り合いしたもんな。
「なにをゴチャゴチャ言っている?!まあ、いい、お前らがあの世に行ってから、データは回収させてもらおう!」
と、いう言葉が終わるか終わらないかのうちに、
キャットウォークのメンバーが、次々と倒れていく!
ボスまで崩れ落ちたぞ。なんだあ?
「ジン、今回は何をやらかしたんだ?指弾術か?ここには、何にもないぞ。水もないから、水流弾ってのも無理。何を飛ばしたんだ?」
「空気です。空気弾。いつもうまくいくとは限らないんですが。いやあ、ついてる、運がよかったですね。体調がいいのかな?」
あんた、いつも絶好調じゃないか!
一度ぐらい、クシャミぐらいしたらどうなんだ?
指を弾く瞬間に、指先の皮膚組織が超音速で振動する。
これにより空気分子は瞬時に圧縮され、
指先から強力な球状の衝撃波が放出される。
尋常ではない速度で放たれた「空気の塊」は、
キャットウォークに立つ男たちの頭部や胸部に直撃し、彼らを失神させた。
あるいは、脳内の気圧が急激に変化した結果、
脳震盪を起こしたのかもしれなかった。
しかし、この技術の実体を正確に知るものは、この世界線にジンを除いて一人しか存在しなかった。
じゃあ、まあ、いいか。局長に連絡しよう。
ジン、今夜はあんたの部屋で、パアッとやらしてもらわんと、気が済まんぞ!




