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012●ラットパーク実験

局に無事到着だ。

連中は明らかな傷害未遂と銃刀法違反で所轄に任せてきた。

中には、既に少量だが、フェンタルンを接種しているヤツもいたようだ。

幼い頃から恵まれない生活で、

仕事も知り合いもなかった、だからやってしまった、って。

それは言い訳だな。

同じ境遇でも、まっとうに頑張っている人たちはゴマンといるぞ。

やれやれ、ずぶ濡れの狼ってサマにならん。

着替えを済ませてロッカールームを出ると、

先に席に着いていたジンが、ポツッと呟く。

「ラットパーク実験って、知っていますか?」


ラットパーク実験とは、心理学者ジャズ・アレクサンダーらによって行われた研究である。

この実験では、ネズミを二つの異なる環境に置き、それぞれの薬物摂取傾向を比較した。


一方の環境では、ネズミは狭く孤独なケージに閉じ込められ、モルヒネ水と普通の水が与えられた。

この環境下のネズミは、モルヒネ水を大量に摂取する傾向を示した。

もう一方の環境では、広くて遊具があり、

他のネズミと交流できる「ラットパーク」と呼ばれる空間が用意された。

この環境下のネズミは、モルヒネ水をほとんど摂取しなかった。


この結果は、薬物依存が単なる化学的作用によるものではなく、

環境や社会的つながりの影響を受けることを示唆している。

孤独やストレスが依存を助長し、

逆に充実した社会的環境が依存を予防する可能性があるという考え方である。


ただし、この実験には限界も存在する。

現代の依存症研究では、遺伝的要因、心理的トラウマ、社会経済的状況など、

より複雑な要因が考慮されており、ラットパーク実験はその一側面を示すだけのものである。

          (Ming-May press 「人はなぜ薬物を欲しがるのか」)

    

「済みません、何か余計なことを言いました。フェンタルンの捜査を続けましょう。できることをやらなければ。」


ジン、なんかまた、考え込むなよ。

ひとりで抱え込むと辛いぞ。

俺たちもいるんだからな。


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