011●何を飛ばす?
しまった!まずい・・・。
水辺に追い込まれた。腰まで水に浸かる。
葦が視界を遮る。逃げ場はない。
ジン、あんたは相変わらず、慌てないな。
俺たちを何隻ものボートで追って来る。
銃器も使うって、連中、随分じゃないか。
「うーん、やられましたね。手がかりから倉庫の位置を突き止めた、と思ったんですが。」
ジンがいつもの静かな口調で言う。
いや、俺もそう思ったぞ。
逃げられる前に現場を押さえようと、先行したら、このザマだ。
エイミーとココアが応援に来るまで、まだ時間がかかるよな。
この足場じゃ、俺の自慢の脚力も生かせん。
ジンの指弾術も弾くモノ、ってないぞ。
足元から泥を掬っても、さすがに飛ばせないだろうな。
また、ボートが近づいてくる。
赤外線スコープがついているのか?
あぶない!銃弾が耳元をかすめる。
「ジン、俺がなんとか食い止める。あんた、泳ぎは得意か?潜って、少しでも逃げろ!」
「アキラさんだって、月齢が若いじゃないですか。撃たれたら、ただでは済まないでしょう?」
そりゃあ、そうだが、あんたが撃たれるより生存確率は高いぞ。
「これはピンチですね。奥の手をださなきゃ。」
奥の手?何かあるのか?
あっ、身に着けているペンとかを、指弾の弾にするのか?違うな?
ジンが左手に水を掬う。右手の指先で水を弾いた?!
水玉が空気を裂いて飛び、ボートのエンジン部に命中。
爆発音とともに、衝撃波が広がった。
「あんなこと、できるんなら、早くやってくれよ・・・。あれも指弾術か?」
ジンが笑ってこたえる。
「ええ、指弾術の応用です。水流弾。いつもうまくいくとは限らないんですが。いやあ、ついてる、運がよかったですね。体調がいいのかな?」
ボートはみんなバラバラ、連中は全員、気絶している。
おっ、エイミーとココアがやって来た!
やれやれ。
これから、戦力の出し惜しみは、やめてくれよ、ジン。




