394 王様
次の日になり、今日は配属先を教えて貰う日なのだが、いったい俺は何処に配属されるのだろうな。
とりあえず昨日に引き続き、総長の部屋へとやってきた。
コンコン。
「入れ。」
「失礼します。」
許可が下りたので、扉を開けて中へと入ると、総長が立ったまま俺を待っていた。
「シュウ団員、只今到着致しました。」
「待っていたぞ。」
相手は総長で上司だ。社会人の礼儀としても、キチンとあいさつはしないとね。ずいぶんと早い就職だったけどな(遠い目)
昨日のことはどうなのかって? あれは突拍子のことなのでノーカンだ。
「では、行くぞ。」
「はい。」
総長が部屋を出て行ったので付いて行く。総長は、騎士団の建物を出ると、城の方へ向かって歩いているんだが……
「あ、あの、何処に向かっているのでしょうか。」
「見て分からないか?」
「……お城でしょうか?」
「城以外の何物でも無いな。」
「・・・・」
どうやら俺の配属先は偉い人らしい。確か同年齢とか言ってたことから、ひょっとして相手は王子殿下とかか? さすがに王女殿下なら女性が護衛になるだろうしな。
正直言って面倒くさそうだし、断りたい。多分無理なんだろうけどね。
「はぁ……」
俺は今後の対応を想像し、こっそりとため息をつくのだった。
「ここだ。」
到着した場所は、豪華な装飾がされている大扉で、その扉の両側にはフル装備の騎士が立っていることから、多分と言うか、間違いなく王座の間だろう。
「例の新人を連れてきた。」
「畏まりました。このままお通り下さい。」
総長が扉番の護衛に声を掛けると、扉を開けてくれた。そして総長は、部屋の中に向けてスタスタと歩いて行ってしまった。
えっ? 作法とか一切知らないんですけど? 下手したら打ち首とかになるんじゃ……
「何をしている。早く来い。」
「あ、は、はい!」
仕方が無い。総長の行動を真似することにしよう。
総長は王様の前方10m程の場所まで行くと、片膝をついて畏まったので、俺もそれに合わせて片膝をついて頭を下げた。
「面を上げよ。」
「はっ。」
「は、はっ。」
王様に言われたので顔を上げると、1段高い場所に王座が有り、そこに王様らしき偉そうな人が座っていた。
「王命により、参上いたしました。」
「うむ。では、そちらが例の新人と言う訳か。名は何と申す。」
「は、はい。シュウと申します。」
「そうか。」
その時、首のあたりで何かチリチリと嫌な感じがしたため、何となく状況把握を展開してみた。
すると、後方で何か隠れている人物がいることを発見したのだった。もしかしたら王様の影と呼ばれる隠密だろうか。それとも他国か反対派閥の暗殺者だろうか。これって、言った方が良いのだろうか。
そんなことを考えていたら、例の人物が王様に向けて何かを投げてきた。
「危ない!」
俺は魔力盾を展開し、その投げた物を防ぐ!
ボスッ!
その物体は、俺の魔力盾で防ぐことが出来たのだが、何か想像していた音と違かった。
「あれ?」
どう見ても殺傷力が有りそうな武器には見えなかったんだが……
「なるほど、条件は満たしているようだな。」
「はっ。」
「えっと?」
「混乱しているようだな。カスタード総長よ、説明してやると良い。」
「はっ。」
俺が混乱していると、王様が総長にそう言ったのだが、総長ってカスタードって名前なの? 何か美味しそうな名前なんですけど!?
俺が違う意味で、より混乱中になったところで、総長が話しかけてきた。
「今回、シュウに対して試験をさせてもらった。案の定、何の問題も無かったみたいだな。」
「えっ? 試験?」
「姿が見えない敵への感知と、死角から要人への攻撃に対する防御を見させてもらった。」
「そんな! 危ないじゃないですか。」
「もちろん殺傷性が皆無な武器を使っているので、危険はない。」
そう言って先ほど弾き飛ばした武器を手に取ると、ぐにゃっと曲げたのだった。どうやら見た目だけの武器だったみたいだ。
「カスタード総長よ、試験の結果は合格と見ても良いか?」
「はっ。問題無いかと。」
その言葉でふと我に返った。そう言えば総長の名前はカスタードだったんだっけ。何となく気になったので、鑑定をしてみることにした。
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名前 :カスタード=プリン
年齢 :42
種族 :人族
状態 :普通
LV :25
HP :1130/1130
MP :293/293
STR:133
VIT:68
AGI:66
INT:15
DEX:67
LUK:12
スキル:魔力感知、魔力操作、火魔法、剣術、盾術、指揮
称号 :帝国騎士団 総長、プリン侯爵家次男
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「!?」
思わず吹き出しそうになったのを、必死に我慢できた俺は偉いと思う。この世界に来て初めてネタ的な名前の人を見たぜ。多分この世界的には、この名前も変じゃないんだろうけどな。それにしても、今までプリンを作って広めて無かったことに感謝だな。本当に良かった……
いや、もしかしたらこの人の祖先がプリンを広めているのかもしれないな。転生者だったりして……
ま、まぁ、名前のことは置いておくとして、それにしてもさすがは総長だよな。基本ステータスは全体的に高いし、HPも4桁を超えていたしな。
「どうした?」
どうやら俺が笑いを我慢していたり、ステータスにびっくりしたりと百面相をしていたみたいで、声を掛けてきた。
「な、何でも有りません。ですが、合格とは? 決まっていたのでは無かったのですか?」
「確かに戦闘に関しては問題無かったが、要人警護が主になるので、何か有った時の、とっさの防御ももちろん必要だったからだ。
悪いとは思ったが、最終確認として試験をさせてもらったんだ。」
「なるほど。」
「ではシュウよ、王が命ずる。」
様子を見てていた帝王が、声を掛けてきたので再び片膝をついて畏まった。
「聖女を守る騎士となり、帝国内における巡礼中の護衛を命ずる。」
「有りたたく拝命いたしま……えっ?」
今、何て言った? 聖女って聞こえた気がしたんだが?
「シュウ!」
「も、申し訳ありません。有難く拝命いたしました。」
「うむ。」
総長に注意されたので、慌てて返事をしたのだった。
「では、聖女を此処へ。」
「はっ!」
王様がそう言うと、扉が開かれて、1人の女性……いや女の子だな。が王座の間へと入ってきたのだった。




