393 配属先は
次の日になり俺は教官に呼び出され、そして俺は今、何故か騎士団総長の部屋の前へとやってきた。
帝国騎士団のトップが相手とは緊張するな……
俺は覚悟を決めると、扉をノックすることにした。
コンコン……
「入れ。」
部屋の中から入室許可の返事が有ったので、部屋の中へ入ることにした。
「失礼します。」
部屋の中は執務室っぽい感じの部屋だった。正面の机で仕事をしている人が騎士団総長なのだろう。
「来たか。」
その人が机での作業を止めると、俺のことをジロリと見た。
「確かシュウと言ったな。」
「はい。」
「お前には特別任務を言い渡す。とある要人を守護する近衛兵となってもらう。」
「はいぃ!? ……っと、申し訳ありません。質問宜しいでしょうか。」
「何だ。」
「何故、新人の私が近衛兵なんて重要なポジションに着くのでしょうか。」
「理由は幾つかあるが、1番の理由は年齢が近いからだ。」
「はぁ。」
確かに周りが大人ばっかりだと、俺と年齢が近い子供だとしたら居心地が悪いのも納得だ。だけど、それだけが理由なら他に信用できる人を付けた方が良いのでは?
「2つ目は、その要人が帝国中の街や村を巡回することになるのだが、それほど多くの護衛を付けることが出来ない。
そこで、ゴーレムによる運用が出来、さらに攻撃魔法も使えて防御にも優れたお前が適任となったのだ。」
マジか……やりすぎたか?
「それにな、3ヶ月の訓練の様子を確認した結果、他国のスパイでも、何かを暗躍するような輩でもないことも確認出来たしな。」
「そうだとしても!」
「後は、これは俺の勘なのだが、貴様はまだ何かを色々と隠しているのだろう? 騎士団での秘匿は重罪だ。なんだったら犯罪者として指名手配してやろうか?」
総長はニヤニヤしながらそう言った。もしかして総長って腹黒か?
「そ、そんなことは決して無いです。何だったら鑑定を受けても良いです。」
「そう言えば言って無かったが、入団試験に合格した時点で合格者全員に鑑定を行っている。気が付かなかったのか?」
「えっ!?」
……そう言えば、入団試験に合格して手続きをする建物に入った時に違和感は有ったんだよな。
セキュリティ的な何かだとは思っていたから気にしていなかったが、あれがそうだったのか。
「思い当たったみたいだな。だが、その鑑定結果からすると、どうしても辻褄が合わないことに気が付いてな。恐らくと言うか確実に隠蔽持ちだろ。違うか?」
バレテーラ。
「そ、そ、そ、そんなこと無いです。あ、あれが俺のステータスです。」
「ほぅ? なら言ってやろうか? まず実際の動きと、ステータスの数値が違いすぎる。予想だがレベル30は超えているのでは無いか?」
「うっ!」
「後は、鉄の矢から武器を作り出していたな。それに関するスキルは持って無かったよな?」
「げっ!」
「さらに、荷物を持った状態での走り込み。あの動きは、まるで羽が生えているみたいだったな。」
「はぅ!」
「他にも魔法を使って武器を破壊したな。」
「・・・・」
「そして、一番の違和感が、あれだけ盾を使いこなしているのに、盾術を持っていないことだな。」
普段盾を使って無かったのに、試験の時に見た目重視で盾を作ったのがアダとなったのか。ずっと偽装ステータスを更新していなかった弊害が……
「……参りました。これで俺は犯罪者ですか?」
その時は転移魔法で王国の片田舎にでも逃げるとしますか。
「まぁ待て、今の時点で申請と鑑定結果に相違は無い。気が付いたのも俺だけだろう。
貴様が近衛兵となって、キチンと仕事をするのなら、見逃してやっても構わないが、どうだ?」
「分かりましたよ、やれば良いんでしょ、やれば!」
下手したら孤児院やアランさん達に迷惑が掛かるかもしれないため、出来ることなら犯罪者になりたくは無い。
見逃してくれるのであれば、受ける以外の選択肢は無いだろうな。
「なるほど、それがお前の素か。覚えておこう。」
「もう良いですよ。諦めました。」
「それで、正式なステータスは見せてもらえるのだろうか?」
「黙秘します。」
「そうか。残念だ。」
流石にステータスは見せられないものがゴロゴロと書かれているからな。
総長も無理強いして見せろとは言わないみたいなので、助かったぜ。
「それで受けるのは良いのですが、誰の護衛に着くのでしょうか。」
「それについては会ってからだ。明日が楽しみだな。」
総長は、そう言ってニヤリと笑うのだった。楽しんでやがるな! くそっ!!




