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第十二話 火星のグルメ

 鳴無遥おとなし はるかさんは、古い機械もあつかえる珍しいメカニックで、センターからも仕事を引き受けるほどの腕前だった。

 若いころからシールドのない火星の荒野を、アンティークのバイクで飛ばす趣味もあったらしい。それで、彼女は


「あたしは若いころから宇宙線をあびまくっているからね、顔もしわくちゃだし、きっと長生きはしないよ」

 

とよく言ってるんだけど、その割には健康に気を使っていて、料理をするのが大の得意だった。

 ある日の彼女の食卓はこんな感じだ。


 iPSパテ

(毒抜き)ソテツ団子

 土のスープ

 ネズミのから揚げ


 火星の食事に興味があるかい……?

 21世紀の地球の食事とはまったく違うんだろうな……。


 iPSパテは21世紀にはもう発明されているのかな……。

 ずいぶん古い作り方だけど、いまだに人気があるよ。火星の地下には大きな工場があって、いろんな種類の肉が培養されている。

 ポーク&ビーフの混合パテが一番よくうれてるかな。

 チキン&フロッグはすごく人気が高くて、値段もそれなりにする。

 昔は肉を手に入れるのに、動物を殺していたんだって? 23世紀には大型哺乳類はだいたい死んでしまったから、いま僕たちが知っているのは『かつて動物だったものの肉』さ。


 あとは、ソテツの実の団子だ。これは、『初期開拓団』の人たちがソテツをたくさん植えたことで始まった。

 地球ではほとんど食べないらしいけれど、火星では昔からよく食べられていた。

 荒れ地でもよく育つし、それに、なぜか火星で発見された微生物がソテツの実の毒を完全に分解することができると分かったんだ。地球にはいなかったのにね。

 だから、ソテツ団子は火星独自の食事といわれるよ。


 土のスープは、土の中に細菌のいない火星らしい食事だよね。ミネラルの豊富な土を、ジャガイモのポタージュに溶かし込んだものさ。特別おいしいものでもないけれど、遥さんは、ミネラル不足になりがちだった開拓団を助けたスープだって僕に何度も言っていたよ。

 だから、開拓団の街ではまだよく食べられるんだそうだ。


 そして、ネズミのから揚げだ。……ネズミを揚げたものかって?

 いいや、違うよ。大きなマッシュルームをネズミの形に型抜きして、パスタで尻尾を付けるのさ。

 これは猫に忠誠を占めす料理として、『宇宙猫同盟』の惑星ではどこでも出てくる軽食だ。


 まあ、これが代表的な火星のグルメさ。


 それで……そうだ、すっかり話が迷子になってしまったね。

 ジーナの翻訳機の話だ。


 ともかく、遥さんはセンターに出入りすることができたから、普通の人が出入りできないジャンクヤードにも入ることができた。

 ジャンクヤードが何かっていうと、センターで使われる機械類がこわれたときに、それをスクラップにするまで置いておく場所さ。


 ジーナのために遥さんはジャンクヤードで翻訳機を見つけてくれた。もちろん持ち出せない。

 遥さんが手に入れたのは技術的な部分だけさ。





その地域、その地域のグルメはほんとに見ていて飽きないですよね~!

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