第十一話 鳴子さんと愉快な仲間たち
3020年、猫に支配されている世界で「野良の子猫」を拾ってしまった主人公。
頼った先は占い師の「鳴子」さん。
鳴無鳴子さんは、その迫力で占いに説得力を持たせていた。
なんていうんだろう、占いなんて当たるか当たらないかわからない。
でも、鳴子さんはいつだって前向きな言葉で励ましてくれて、最後にこういうんだ。
「この明るい未来は最後は『お前の努力』でつかみ取って行くんだよ! 大丈夫だ、お前にはその力があるんだから」
そう、それが賭け事の勝ち馬予想であっても……。
当てる気はないけれど、励ます気持ちだけは人一倍伝わる、それが鳴子さんなんだよ。
ちなみに、勝ち馬が外れたらこういうんだけどね。
「賭け事になんかあたしの能力を使うわけがないじゃないか! ラッキーは自分でつかみ取らなきゃダメなんだよ、精進おし!」
みんななんだか鳴子さんに叱られたくて、どんないい加減な占いでも相談ごとを持ち込むんだ。
でもあとから知ったんだけど、彼女はほんとうに『初期開拓団』の超能力者の子孫だそうだけどね。
だからといって超能力があるとは限らないよね。
彼女の家は第四ポート駅の初期開拓団の街にあるんだけど、そこはそんなに治安がよくないことで知られている。
ところで、君はジーナを最初にみてくれたモグリの医者は覚えているかい……?
彼の名前は、鳴無仁というんだ。……え? なぜ名字が一緒かって?
まあ、開拓団の名字は鳴無が多いんだけれど、この場合は君のカンは正しい。
あのモグリの医者は、鳴子さんの甥っ子なのさ。鳴子さんの夫は若いころに亡くなったらしいんだけど、鳴子さんは夫が亡くなっても、よく甥っ子をあずかっていたんだそうだ。
だから僕のような厄介ごとも無理やり押し付けられたんだね。
開拓団の街はとても古くて、治安も悪い。警察はどうしているかって……?
何もしないさ。人間が猫に歯向かわない限り、警察はなにもしない、それがセンターの方針だ。
開拓団地域には違法ネコカイン(だいたいはセンターから配給されたものを人間が売ったものだけど、ここでもやっぱり警察は何もしない。まあ、管理してるのがそもそも猫だしね)がたくさんあって、依存症者も多い。
違法なものには混ぜ物も多いし、依存症にはいろいろな症状が出るんだけど、基本的にはネコカイン依存症には治療費が出ないから、モグリの医者が主にみることになるんだそうだ。
まあ、のちのち僕と仁さんは友人になるんだけれど、最初は伯母さんにあたまの上がらない甥っ子というイメージだった。
そして、もう一人、まだここに登場していないのが鳴無遥さんだ。鳴無遥さんは……。鳴子さんの双子のお姉さんだ。
いちばん分かりやすく彼女を表現するなら、人の三倍はパワフルな鳴子さんを三割増しで豪快にした人だ。機械のエンジニアで、その人がいなかったら、ジーナはいつまでたっても翻訳機が手に入れられなかっただろう。
でも、ジーナが僕の次になついていたのが遥さんなんだけどね!
鳴子さんの占いはけっこうその後のカギになる。






