表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一矢無双  作者: ドンロク
1/8

第一話 最強のアーチャー

「だから言ったんだよ!前衛入ってからにしようって!」

「うるせぇな!あんなのいるなんて思わねぇだろ!」

二人の男が、言い争いをしながら走って…いや、逃げている。B級モンスター〔ブラックベア〕、戦闘能力は龍モンスター等に比べれば大したことはないが、魔法が効かない体質を持つ。身なりからして、あの二人はどちらも魔法使い。攻撃することができず、ただただ逃げているのだろう。最終的に逃げきれず、骨まで喰われる所まで、この森ではよくある事だ。だが、あいつらは運が良い。ここなら、俺の矢が届く。

《アサシン・ショット》

-ドスン- 

突然、大きな音が辺りに響いた。

「なんだ…今の音」

「おい、見ろよマカ!」

ジルに言われて後ろを見ると、あの熊野郎が倒れている。額に矢が刺さった状態で。誰かが助けてくれたのか…?

「大丈夫だったか?」

突然の声に驚いて振り向いたが、誰もいない。

「あぁ、すまんすまん」

その言葉が聞こえた直後、木の上から誰かが飛び降りてきた。毛皮でできた服にボサボサの茶髪、街の下層の連中でも、もう少しマシな身なりをしている。まさか、こんな所に住んでいるのか…?

「そうだよ。ここに住んでる」

考えていた事にピンポイントで返事をされ、面食らった。

「あ、あんたが助けてくれたのか?」

「あぁ。大変そうだったからな」

命の恩人に対し、大分失礼な事を思ってしまった…。

「別に気にしねぇよ。そんくらい」

また考えていた事を見透かされた。

「あんた、心読めたりすんのか?」

「全然。ただ、顔見れば大体は分かる。あんた、動物たちより分かりやすいしな」

「な、なるほど…」

「てかよぉ」

ジルの声に反応して振り向くと、ジルは熊野郎の革を剥ぎ取っていた。依頼は薬草だけだったが、あの革を土産に持っていけば、パーティーの評価はより上がるだろう。ジル、案外そういうの考えてくれるんだよな。

「その服、どうやって作るんだ?」

ジルに期待した自分が恥ずかしくなってきた。そうだ、こいつはこういう奴だった。

「知らん。以前山賊から獲った」

答えるのかよ…、しかもクソ物騒だし。

「あ、後さ」

ジルの奴、どうせ今度はオススメの熊料理でも聞くんだろうな。

「あんた、すごい腕前だな。矢が正確に眉間にぶっ刺さってる」

すまん、ジル。

「まあね」

「なにか特訓でもしてるのか?」

「別に。ここで生きるために、動物とかモンスターとか狩ってたら、いつの間にか身に付いた」

この森に住み、自給自足の生活をしているなんて、偶然出会っただけだったら、きっと信じなかっただろう。けど、体に所々見える傷痕、街の人々とかけ離れた服装、何より、あの弓の腕前。それら一つ一つが、彼の言葉に大きな説得力を持たせていた。

「すごいな、あんた」

ジルの言う通り、彼はすごい。けど、すごいからこそ、疑問が生まれてくる。

「なんで、街に行かないんだ?」

少し考えた後、彼が口を開いた。

「パーティー組んでるなら知ってるだろ?剣士、魔法使い、僧侶、色々いる中で、アーチャーの需要は断トツ最下位。前衛としては脆すぎて剣士以下、後衛としては火力不足で魔法使い以下、まあ、当然の成り行きだな」

確かに、アーチャーを募集しているパーティーも、アーチャーを採用しているパーティーも、見たことがない。

「で、何が言いたいかっていうと、俺はパーティーに入れてもらえない。つまり、金を稼げない。だから、ここで生活するしかなかったんだよ」

境遇としては、下層の人々に似ていたんだな。きっと、色々な苦労をしてきたのだろう。

「というわけでさ」

「ん?」

「俺をパーティーに入れてくれ」

思わず、ジルと顔を見合わせる。

「ちょ、ちょっと考えさせてくれ」

そう言って、俺はジルと後ずさりして、彼に背を向けて話し始めた。

「どうする、ジル?」

「俺は、入れてもいいと思うな。強いし」

「けど、あの身なりだぞ。ただでさえトーソがいなくなってサポーターが減ってんのに、これ以上減ったらそもそもパーティーが無くなっちまう」

「見た目は後からどうにでもなるだろ」

「んー…、まあ見た目はいいとしても、やっぱ今から雇うなら前衛を…」

ガサガサ

横の草むらから音がして振り向くと、そこには矢の刺さった小さな熊が倒れていた。

「前衛ならいらねぇよ」

彼の方を見ると、弓を引き終えた体勢になっていた。

まさか、今の一瞬で射貫いたのか…?音がしてから、その方向を俺たちが見るまでの一瞬で…。

「誰よりも早く、俺がぶち抜いてやるからな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ