表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/87

第36話 徐福の進言

(しん)王政(おうせい)は、(じょ)(ふく)の話に耳を傾けた。

「我が(しん)(こく)の海を隔てた東の果てに()(こく)という島があります。その国の真ん中に蓬莱山(ほうらいさん)(富士山)という高き山がそびえ、そこに住む仙人は不老不死の妙薬を煎じると聞きます。皇帝が所望であれば手に入れてまいります」

(えい)(せい)は不老不死の妙薬に興味はあったが、それ以上に東の果ての国に興味をそそられた。

そこは、もしかしたらエデンの園かもしれないと思ったからだ。

「徐福よ、倭国について、もう少し詳しく教えよ」

「倭国には四季があり水も豊富です。にもかかわらず水田の知識が乏しく、いまだ陸稲(おかぼ)で米を作っています。彼らの住居は竪穴式であり、主食は栗とどんぐり、それを土器で煮て食べています。彼らはまとまって集落を形成していますが、集落に城壁はなく、助け合って暮らしているため争いはありません。かといって文明が遅れているかといえば、そうでもありません。彼らは六本の大きな柱を建て、定位置からその柱を通る太陽を勾玉(まがたま)に開けた穴で地面に映して観察し、春分、秋分、夏至、冬至を正確に知ることができています」

水が豊富で争いがない。まさにエデンの園ではないか。嬴政は確信した。

「徐福よ、だいたい分かったが、最後に聞きたい。倭国の民は何を信じ、何を信仰しているのだ」

出雲(いずも)という地方で、八百万(やおよろず)の神々、霊魂、黄泉(よみ)の国などを信仰する勢力と蓬莱山の東に大きな平原(関東平野)があり、倭国で最も東に位置する所。つまり、この世で最も早く日が昇る所に日高(ひだか)()(こく)があり、そこで太陽信仰が盛んです。いま、倭国はこの2つの勢力で二分していますが、日高見国が、勢いを強めています」

嬴政は胸の高まりを抑えることができなかった。

呂不韋(りょふい)からユダヤの伝説を何度も聞かされた。

数百年の間、探し続けたエデンの園が伝説の通り、東の果てにあるかもしれない。

「徐福よ、これから予が申すこと、他言はならぬ。レビ一族がこのまま秦の国を統治できるとは限らない。この地で一族を消滅さしてはならないのだ。倭国が我々を受け入れてくれるかわからぬが、倭国へレビ一族の童、男女5百人を連れてゆき一族を増やすのだ。そして、五穀の種を持ち、水田の耕作や鉄の農具あるいは剣を作る技術を持つもの5百人と兵2千人で倭国へまいれ。よいか、決して滅ぼしてはならぬ、争いを好まぬ民族ゆえ、滅ぼそうと思えば簡単に滅ぼせよう。だが、それでは意味がないのだ。我々が彼らと共存共栄できる道を探ってまいれ」

「かしこまりました。この徐福、身命を賭して使命を全ういたします」

「それから予に何かあった場合は、長男の扶蘇(ふそ)と連絡をとれ。時折、予を諫めるが20人の息子の中で一番頼りになる」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ