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第14話 女神様の言うとおり

「シャルディ!」


 よろけながらもアルケーは騎士達の長を呼ぶ。

 裸の彼は水の冷たさに震えながら彼女の方を向いた。


「今だけでいいからハルトをジュリに会わせて」

「はぁ!? 何を言っている!? そんな事出来る筈がないだろう!」


 突然の言葉にシャルディは震えながら返す。

 少なくともアルケーはハルトの罪について従順そうな態度を取っていたので、いきなりこんな事を言ってくるとは予想外だった。


「ジュリが気落ちして弱ってるのよ。彼女の為にも今だけ2人を一緒に居させてあげて」


 だがシャルディは首を縦には振らない。いや震えてはいるのだが。


「馬鹿な事を言うな。例えそれがジュリエッタ様の望みでも、奴は公爵令嬢を連れ去った犯罪者だ。釈放などするものか」

「やっぱり。貴方2人が愛し合って駆落ちしたのを分かってるんじゃない」


 アルケーの指摘にシャルディはしまったと顔をしかめる。

 彼の主張はジュリはハルトに操られており、そこに愛は無いと言うものだ。だから「ジュリエッタ様の望み」なんて言葉が出てくる訳がない。


「頭が冷えて思考が麻痺したのかしら? 誘拐の容疑が晴れたのならハルトを釈放しなさい」

「だとしてもジュリエッタ様を連れ去ったのは事実であり、公爵様はお怒りなのだ。我々は国に仕える騎士としてジュリエッタ様とハルトを王都へ連れ帰る」

「そのジュリが死んじゃうかもしれないのよ!」


 頑固者な騎士に対しアルケーは怒鳴る。

 人間のルールに干渉しないという方針は変わっていない。だが人の命が掛かっていて何もしない程、この女神は放任主義ではないのだ。


(こうなったら力尽くにでも……)


 そう思い異空間からアーリーライフルを召喚しようとした時、三郎が横から割り込んで来た。


「なあシャルニィよ」

「シャルディだ」

「昔なあ、夫婦(めおと)となる筈だった冠者殿(かじゃどの)を実の父の命によって殺された姫様が居たんだ。姫様は酷く落ち込み10余年と嘆き悲しまれた末に亡くなられた。お前さんもお役目があるのは分かるが、今はジュリの身を第一に考えたらどうだ? 大丈夫だ。ハルトは逃げねえよ」

「そうは言ってもだな」

「因みに!」


 三郎はダメ押しとばかりに強調して大仰に言った。


「冠者殿を斬った御家人は、姫が臥せったのはお前のせいだー! つって首を刎ねられた。連れ帰ったジュリに元気が無かったら、お前さん達も首を刎ねられるかもしれねえぞ~?」


 三郎は首チョンパのジェスチャーをして他の騎士達も脅す。その妙にリアルな表情に皆顔を引きつらせた。


「僕達を脅すつもりか?」

「刎ねられた首を見た事あるか? 苦しみなく斬られた首ってのは笑ってる様に見えるんだぜ?」

「何の話だ!?」

「首の話さ。お前さん等は苦しまずに死ねるかな〜? あれ下手くそがやると生きたまま何度も斬られる事になるんだよな〜」


 まるで()()()()()()()()()()()様な話し方が一層騎士達の恐怖を煽った。


「た、隊長……。確かに御令嬢に何かあったら俺達の責任になります。ここは……」


 脅しが効いたのか騎士達が不安そうな目を向ける。

 シャルディはまだ何か言いたそうだったが、彼等の不安に押されて渋々として口を開いた。


「……見張りは着けさせてもらうぞ」


 頑固者の騎士も遂に折れた。


「じゃあ早速ハルトの所まで案内してもらおうかしら。笑亜と三郎も一緒に来て」


 案内された所で反撃にあってたまるかと従者の2人を侍らせる。


「ちょっと待ってくれ」


 だがその片割れである三郎の待ったが入った。


「褌、乾かして来て良いか?」


 水垢離で濡れた褌が気持ち悪いのだろう。何だか股をもじもじさせながら頼むと三郎は訴えた。

 アルケーは即答する。


「ノーフンで行け!」

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ノーフン!!
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