ep5 生徒会
一ヶ月も遅れてしまい申し訳ありません。
六限目の授業が終わり、放課後、僕は香宮野に呼び出され、生徒会室に来ていた。
昼ご飯の時間に聞いていたが、香宮野は、この学校の生徒会長で、塚上は副生徒会長だ。普通、最高学年がなりそうなものだが、この学校にそんな決まりはないらしい。
呼び出された僕の目の前には、生徒会長のプレートが掲げられた机越しに香宮野が堂々と座っている。
「突然ですが、生徒会に入ってください」
それが、この部屋に入って最初の一言だった。そんなめんどくさそうな事を簡単に引き受ける訳にはいかない。
しかし、僕の身分。いや、妹の身分さえも与えてくれたのは香宮野だ。だから、丁重にお断りしなければならない。突然で、パニックになる頭を抑えて、冷静に考える。逃げ道を探す。
「いや、もう決まっているんじゃないのか?四月のうちに生徒会のメンバーを決めたりとかしてないのか?」
「全然決まっていません。生徒会は会長と副会長さえ決まっていれば、あとは、自分が好きなように好きな時にメンバーを決められるんですが、まだ書記の二人を決めてないんです」
第一の抜け道もう生徒会は決まっている論は見事にダメだった。まぁ、なんとなく想像はついていたから仕方ない。次だ。
「僕より適任がいるんじゃないか?僕は、今日初めてここに来たんだぞ??仲が良い奴だっているんじゃないのか?」
第二の抜け道僕より適任は他にいる論、これはどうだ?
だが、あっさりとこう言われてしまう。
「今、私に友達はいませんよ。そもそも、仲が良いとかじゃなくて使えるか使えないかで判断してますし」
「まぁ、ぶっちゃっけ入ってもらうしかないんですけどね。そのためにあなたを入れたんですから」
香宮野は本気で僕を生徒会に引き入れようとしているみたいだ。本当にめんどくさそうなので、全く入りたくはないが、拒否権など僕には与えられていない。
奇しくも僕がこの学園に入ることになったあの校長室の時と同じ条件が整ってしまっているということだ。まぁ、正直厄介ごとはついて回るだろうと思っていたから、良いんだが。
塚上が言わなかったのはこういうことだろう。まぁ、寮代だと思えば安い買い物か、そう思う事にした。実際の仕事を見て決めるべきだったが、僕は自分自身に納得できる言い訳をして、この誘いを受けることにした。
「分かったよ。入ることにするよ」
香宮野はうんうんと頷き、塚上はこっちを見てすまなそうな顔をした。おそらく、塚上もこうなることを知っていて口止めされてたんだろうなと予想した。
この部屋には、一つのテーブルが生徒会長の机の前にあって、基本は今現在僕が座っているソファに座って会議を行うみたいだ。
テーブルにはここら辺一帯の地図がガラス越しに見えるようになっている。僕は周りを見渡しながら、この部屋の構造を把握していった。
大体何がどこにあるか把握した頃、香宮野が口を開いた。
「一つ言っておきたいのですが、私達、生徒会は普通の仕事をしません。経理とかその他諸々少し確認する程度で終わりです」
「え、じゃあ他に何をするんだよ」
「私達生徒会は、他の超能力者を探し出し彼らを保護します。それが私達の仕事です」
「保護?」
「はい。超能力者を見つけたら、彼らが能力を使うことを禁じ、私達の目の届く範囲に転校してもらっています」
「なるほど、でもどうやって探すんだ?僕のときもそうだっただけど」
「他校に、ですが超能力者を探知する能力者がいます。週に三回程、うちの学校に来てそこの地図に映る範囲の能力者を一人だけ見つけてくれています」
「つまり、その人が来た時にしか僕たちは仕事をしなくてもいいということか?」
「そうなります。ちなみに彼女が来るのは毎回、放課後とは限りません。なので、一日授業が受けられないこともあると思っておいてください」
「ただでさえあんまり賢くないっていうのに、テストとかどうするんだよ」
「私達生徒会は、特別に免除されますよ。テストを受けなくても一応単位はもらえるので進級できないっことはないようにしてます。だから安心して、生徒会の仕事一緒にやりましょうね」
僕は進級については安心したが、仕事は大変そうだと感じた。塚上の目がそう僕に語りかけてくるのだ。
死んだような目で香宮野を見る塚上を見て、心底嫌な気がしたが、まぁ文句ばかりも言ってられない。
僕は、目の前にある紙の束を整えながら、整理した資料を香宮野が使っている机に置こうとした時、バガッと言う音ともに扉が開く。
今日という一日は、生徒会に入っただけでは終わらなかったのだ。
お久しぶりです。里道アルトです。なかなか、予定が詰まっていて大変でした。今月からはまた、いつも通りやっていけると思います。離れず見てもらえると幸いです。




