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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
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ヒューネイドとの会話

「バーン、お前は過去に作者まおうに削除されたのだ。そしてまたお前は作者まおうの創りだした虚構の世界、アドューラに閉じ込められている。イストワールは無限に広がり続けるこの世界の中で、お前が「勇者」として覚醒するために作者まおうに生み出された存在。これから先、様々な困難にあうだろう。それを乗り越え、お前が「勇者」として目覚めたとき、まことの魔王のいる世界へ帰らねばならない。つまり旅の終わりはお前が目覚めない限り訪れないということだ」


 バーンたちは混乱しています。バーンを除き、彼らは魔王に負けて「封印」されていた、と思っていたからです。しかし、魔王の話となると、誰も何も応えられない様子。そこで彼らは、バーンの夢の話を思い出しました。


 (私は私の役目を知っている。お前はお前の役目をまだ知らない)


 バーンの役目とは一体何なのでしょう。「勇者」として目覚めること、と一言でいってもバーンは作者まおうの意図がわかりません。なぜ自分を生み出しておきながら、その存在を消してしまったのか。また、そんなことができる作者まおうに恐怖をいだきます。


「アズトール、レティ、フィーネ、ガストン……お前たちも同じだ。作者まおうに記憶を改ざんされているが、お前たちも同じくこのアドューラの住人ではない。よって、お前たちもバーンを支え、ともに強くならなければ、永遠にこの世界を旅することになる」


 フィーネが、イストワールの持っているという、聖書『イミタシア』について聞き出しました。ヒューネイドは、その存在を知っているようで、「あの書物は作者まおうの心の闇をつづった物だ。それを使ってわたしのような動物を穢れさせ、お前たちをある場所へと導いている」と答えます。


「まとめるよ。ここはアドューラ。作者まおうまことの魔王は別物で、バーン君の覚醒によってまことの魔王のいる世界へと帰ることができる。そのために作者まおうが生み出したのがイストワール。『イミタシア』は作者まおうの心の闇で満たされてるから、聖なる動物は穢れていく。そしてそれは、あるところへ導くため……ということでいいかな?」


 レティは、絨毯の上で胡坐をかいてヒューネイドに言いました。「そうだ」というと、ヒューネイドは、『アニマハール』の中に入っていきました。虹色の残像が空に残ります。アズトールが、「もっと聞きたいことがあったのに……」と、『アニマハール』を眺めながら惜しむように呟きました。


「事情はよくわかりませんが、私を帝都ジャミールへと送り届けるという約束。覚えていてくれていますか」


 アシュリーがバーンに問いかけます。そこにはフィウスもいました。


「本当に帰るのかチビ。あんなところ、戻ったってもう居場所はないと思うがな」


「……あなたに私と話せとは言っていません」


 フィウスとアシュリーの会話を聞いて、バーンは苦笑いします。しかし、約束は果たさなければ。きっと帝都ジャミールでもなにか起こる。彼はそんな気がしました。自分が「勇者」として目覚めなければ、この旅は終わらないのですから。バーンはこのままフィウスに帝都ジャミールへ向かうように言います。


「……わかった。あそこは無慈悲で利己的なやつばかりだ。実験台にされないように気をつけろよ」


「あなたにそれを言う権利はありません」


 アズトールが、「まぁまぁ」と二人をなだめました。帝都ジャミールに着くには一晩かかるようです。バーンたちは疲れた身体を休めるために、居住区に戻って眠ることにしました。

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