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勇者創世記  作者: 白夜いくと
第二章
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夢の中の出来事2

 バーンは、また暗闇の中にいます。今度はレティ、アズトール、フィーネ、ガストンの存在も確認できました。みんなが混乱している中、バーンは闇を切り裂くように大剣を力いっぱい振るいます。すると、バーンが夢で見た一人のおじいさんが姿を現しました。


「そんななまくらな剣ではアドューラからは抜け出せんぞ。そうしているうちに、今も作者まおうはこの世界を広げ続けている。そしてお前たちの選択次第で、この膨らみすぎた世界はやがて縮小していき、作者まおうによって削除されることになるだろう。今のままではお前たちの旅は全て無駄になる」


 顔こそは見えないものの、携えられた分厚い本とベージュのローブを見て、おじいさんの正体がイストワールだとわかったバーンは、『イミタシア』を使ってなにがしたいのかを問います。彼は、無垢な聖書『アニマハール』と、作者まおうの心の闇を記した聖書『イミタシア』、この対になる二つのどちらかを完全に消し去って、【ラストゲート】という場所へと誘おうとしているのでした。


「ラストゲートってなんなの?」


 フィーネがガストンの頭を撫でながら、イストワールに尋ねます。それは、まことの魔王がいすわる場所。そして、アドューラから抜け出した世界なのだと彼は言いました。つまり、『アニマハール』か『イミタシア』、どちらかが消滅しない限り、ラストゲートへは行けないということです。


「穢れた書物で、私の愛する動物たちを凶暴化させた事になんの罪悪感もないようですね。それではここで、『イミタシア』を消し去って見せます。そしてまことの魔王を倒して、私たちは元の世界に帰らせていただきますよ」


 アズトールが言うと、イストワールは、


「ここはお前たちの夢の中。私は消そうと思えばいつでも『アニマハール』を消すことができる。それを忘れるな。そしてまことの魔王は、お前たちの装備では到底倒せまい――月が目を閉じ、涙が流れるとき、女神は汝らに加護を与えるであろう――私の役目は、これを伝えることともう一つ……それは後にわかるだろう。今は知らなくていい」


 レティは、そっと回り込んで、イストワールのフードを脱がせようとしましたが、その瞬間、彼は姿を消してしまいました。


 気がつけば、フィウスがバーンの鼻をつねっています。支度ができているアシュリーが、「よく寝ていましたね。なにかモノを盗まれていませんか?」と、フィウスのほうを向いて言いました。一応確認してみると、村長から貰った1,500ペレムがなくなっていました。フィウスに問い詰めると、「帝都ジャミールへ行く手間賃だ。俺はティマス海まで送ってやると言っただけだしな」といって、皮の袋を見せてきます。それを見ていたアシュリーは、杖でフィウスの背中を小突きます。


「お、もうすぐ帝都ジャミールに着くぞ」


 話を逸らすように、フィウスはバーンたちに告げます。大陸にどっしりと構えているそれは、どこか威厳を感じさせました。とりあえずスバルは、帝都ジャミールの港に泊めておくことにします。周囲には、アシュリーのような黒いローブを被った魔術師たちが多くいました。

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