再び
木々は色づき始め路上は落ちた葉によって華やかなパズルのように飾られている。
サークルの活動一段落して落ち着いた日々を過ごしている。
色づく木々の間を歩いているとふと私に向けられた声が響いた。
「あ、!」
突然私にかけられた声は印象深い声であったが、どこか思い出せないものだった。
「柳田さん?であってるかな?」
大学生にもなると自分の属するコミュニティーの人間以下外から話しかけられることは少ない。聞きなじみのない声には少し困惑してしまうのは当然であった。
「え、あ、はい」
何とか絞り出した声は言葉とは言えずただ、のどを鳴らしているだけのものに近かった。
「お願いがあるんだけど、いいかな?」
あまりに突然だった。しかも男性からこんな風に頼み事を受けることは今までなかった。普通の人間ならここで相手を疑って悩むのだろうが、会話に緊張していっぱいいっぱいの私にはそんなことを考える余裕はなかった。
「いい、ですよ?」
「よかった!!!!」
彼は最上の笑顔を私に向けた。そんなに私じゃなければならないことであったのだろうか。そんなことを考えているともしかしたら金の無心かもしれないという考えや何か怪しいバイトでもさせられるのかもしれないと普通なら承諾する前に出てくるはずの不安がわいてきた。
「もしよかったら、一緒に映画、見に行ってくれない?」
とぎれとぎれになっている彼の言葉は彼が緊張していることの表れだった。私には人の顔が赤くなっているかとかはわからない。ただ、彼の様子は明らかに緊張と不安の混じった様子であった。
「いい、、ですよ」
承諾してしまった。自分でもその理由は分からなかった。なんでだろうか。私の秘密を知らないからであろうか。もし、知っていれば承諾しなかったのだろうか。なんでだろうか。わからない感情に名前を付けることはできないまま彼と連絡先を交換した。
連絡先を交換すると彼は駆け足で去っていった。映画を見に行くといったのに日程もなにも話さずに去って行ってしまったのだ。彼の後ろ姿はあの日見たものとは違い、なにか人間味を感じさせるものだった。
ふと不安がよぎった。
「私、男の人と出かけたことないや。」
なんだか、空君と彩ちゃんがうまく動いてくれません




