色彩のない世界
私の世界に色はない。
生まれたときから色というものがわからなかった。詳しくは聞いてもわからなかったのだが、脳のどこかに異常がありそのせいで色が全く見えないらしい。
今年の春、血の滲むような努力が実りずっと第一志望だった大学に入学することができた。楽しみにしていたサークルにも入って最高のキャンパスライフを送っている。
「ねぇ、彩ちゃんって色がわかんないの?」
「だめだよ、そんなこと聞いちゃ」
同じサークルの友人が私が人生で何度も聞いた言葉を私に投げかけた。もう何度も聞かれてきたので、慣れてしまったのだが、幼いころはこの言葉が私の地雷になっていたことを思い出した。
「ううん、大丈夫。そうだよ、私色がわかんないの。」
いつものように相手が気を使わないように作った笑顔で答えを返す。
「そうなんだ。なにか大変なこととかない?手伝うよ!」
いつも決まってこうなる。まるで私が障碍者のように扱われる。というのも、色覚異常は障碍者の分類にならないのだ。当然、色が見える人たちより生活で困ることは多い。私は色が全く分からないのだからなおさら多い。だが日常生活で大きな支障をきたさないとして障碍者の分類にはなっていないのだ。
「特にないよ。大丈夫。」
少し冷たかっただろうか。ただ、本当に困っていることはないのだ。大方のことは自分でできるし、色が見えなかったとしてもどういった色がどういう雰囲気かは何となく知っている。
「ごめんね。また明日ね。」
彼女らは気まずくなったのか一言だけ残して足早に去って行ってしまった。
私も特に今日やらなければいけないことはなかったので家にまっすぐ帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




