江ノ島上陸……?
砂浜を走る。背景は夕日と赤い海。最高だろ。
「あのー……大変申し訳ないんだけど」
大輝が言葉通り、申し訳なさそうな顔で言ってきた。今、俺達は江ノ電に乗っている。
「どうした?」
「時間ないっす……」
「……」
しまった、と思ったね。どうやら、はしゃぎすぎて時間がなくなってしまったらしい。
「えーと……じゃあどこまで?」
「藤沢駅まで」
まさかの、最終地点まで行くハメになるとは……。
「藤沢駅になにが……?」
「実は、ホテルが山の上に……」
ホテルが山の上。でも、バスがあるらしい。それを逃すと30分程登山だ。それは逃すとまずいな。
俺達は江ノ島を通り過ぎて、藤沢駅まで行った。江ノ島は見るだけでもテンションが上がった。ので、よしとしよう。
「ここから〜……東海道線で小田原駅で乗り換え」
「小田原で乗り換え……?」
つまり、小田原は明日らしい。
「小田原と言えば、あの城だよね!」
「へー。大輝でもわかるんだ」
「そりゃそうよ! 戦国無双で出てきたからね!」
あのアクションゲーム。昔よく一緒にやったのを思い出す。
電車に揺られながら、窓の景色を見る。大都会から都会に移る間の景色は田んぼばかりだ。俺の記憶だとね。
大輝は、なぜかハイテンションだった。そんなに明日の小田原が楽しみなのだろうか。
小田原駅に着くと、小田原城のことばかり書かれている。ポスターだったり、横断幕だったりね。
「えーと……箱根登山線に乗り換えて、箱根湯本駅ね」
「わかった」
嘘だ。何一つとしてわかっていない。ただ、大輝の後ろについていくだけだ。
大輝がいると安心する。大阪にいた時はなにも思ってなかったのに。
そして、電車に乗り込む。ちょっとだけ、山道だ。そりゃそうか。ホテルが山の上にあるんだから。
「といっても、なんでそこにしたんだ?」
「ん? 雰囲気がいいの!」
大輝らしい。雰囲気さえ楽しむことができればこっちのもんか。
「……ん」
気づいたら、俺は大輝の肩で寝ていたらしい。あんまりよくわかってないが、大輝が言うにはそうらしい。
くそー。なにが「かわいかった」だよ。こっちの気持ちにもなれよ……。
俺達は駅から降り、大輝が時刻表を見る。
「……あ」
「え? どうした……?」
俺は嫌な予感がした。すごく。大輝の「あ」ほど、フラグなものはない。
「ごっめーん! 1時間後に行っちゃったー!」
「……大輝」
俺は殺気を込めて、大輝を睨んだ。




