散紅葉
「ねぇねぇアメッサンヌ〜お出かけしようよ〜」
午後。
カフェ・アーホルンでスカラーとアメッサがアクセサリーを作っていた。
店内には二人しかおらず好き勝手喋っている。
「手伝って欲しいと私を呼んだんだのは君だろ」
ゆさゆさとスカラーに揺さぶられたアメッサはぐわぐわとしたイントネーションで話し続けていた。
「あとその呼び方はなんなんだ?」
「私だけの特別な呼び方だけど? なんかお嬢様みたいでいいじゃん」
アメッサは部下ではないからと、半ば強引に自分に言い聞かせ、スカラーの無礼を許すことにした。
「おー雨だ!」
ポタポタと窓に当たる雨音にスカラーは気が付き嬉しそうに立ち上がった。
「おい! その格好で外に出たら汚れるだろう!」
玄関に駆けていくスカラーにアメッサは立ち上がり叫ぶ。
「私にとってこれは私服! それに、新しい傘にはこの姿がピッタリでしょ」
振り返ったスカラーはカフェの扉を開け、フリルの傘を開いた。
傘の内側には星空と羅針盤が描かれていて、スカラーはアメッサに手を伸ばしていた。
アメッサは店の看板をクローズに変えた。
雨で街路樹の葉が落ち、道を赤く染めていた。
スカラーは道の花や店を眺めながらるんるんと歩き始めた。
「楽しそうだな」
「大人って雨が嫌いだよねー、確かに憂鬱な気持ちにはなるけれど、雨は野菜やお花が育つのに……」
「良い方に考えられるのは美点だな」
「ふっふっふ」
スカラーは満足そうにぴょんぴょんと水溜まりを避けて歩いていく。
自由に歩き回るせいで傘を持つアメッサは気が気でなかった。




