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『修理スキルしかない俺、壊れた伝説級装備を直したら最強になりました』  作者: AkiraNox


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2/2

追放、そして幼馴染との旅立ち

転生してから16年後。


北東部に位置するフィッシュ村。


そこは、雪に覆われた高い山々の近くにある、小さな村だった。村には木造の小さな家々や農場が数多く並んでいる。


村は活気に満ちていた。外では男女が楽しそうに会話を交わし、笑い声を響かせている。


農民たちは畑を耕し、作物を収穫し、種をまいていた。


その中に、一人の少年がいた。


年齢は16歳。


彼は農民たちに交じり、強い日差しの下で畑を耕していた。


やがて少年は手を止め、額の汗を拭った。そして、太陽を見上げ、眩しさを遮るように手をかざす。


「……夏か」


すると、近くにいた農民の一人が大きな声で呼びかけた。


「おーい、アキラ! もう家に帰っていいぞ! よく働いてくれたな!」


「はい、わかりました!」


少年はそう答えると、農作業を終えて帰路についた。


(俺の名前はアキラ。この名前は、あの神父がつけてくれたものだ……)


歩きながら、アキラは前世のことを思い返す。


(前世の俺は、32歳のただの会社員だった。


名前はサトル。


いろいろなことがあって、最終的には義理の妹を助けた結果、事故で命を落とした……)


アキラは空を見上げた。


(あの子は今、元気にしているだろうか……?)


そんなことを考えながら歩いているうちに、彼は村の中央にある小さな家へとたどり着いた。


「ただいま」


アキラは玄関へ向かい、扉を開ける。


「帰ったよ!」


すると、左側の扉から一人の女性が顔を出した。


「おかえりなさい、あなた」


「ただいま、母さん」


アキラは笑顔で答えた。


「今日はどうだった?」


「普通だったよ」


「そう。それならよかったわ……」


(彼女が俺の母さん、ハハリ。36歳だ。


どうやら、俺たちに血のつながりはないらしい。


俺がまだ赤ん坊だった頃、実の両親と一緒に馬車に乗っていたところ、ゴブリンの群れに襲われた。


父さんと母さんは殺され、俺だけが生き残った。


泣き続けていた俺を見つけてくれたのが、あの神父だった。


そして、神父の娘であるハハリが、幼い頃から俺を育ててくれたんだ)


「ほら、早くいらっしゃい。ご飯が冷めてしまうわよ」


「今行くよ!」


          ◇


それから一時間後。


コンコンコン。


家の扉がノックされた。


「はーい、今行くよ……」


アキラは玄関へ向かい、扉を開けた。


「どちらさま?」


そこに立っていたのは、肌が白く、紫色の瞳と髪を持つ美しい少女だった。髪には黒い部分も混じっている。


少女は笑顔で挨拶した。


「やっほー、アキラ!」


「ああ、やあ、ミーちゃん」


(彼女の名前はミズハ。俺の幼馴染だ。


俺たちは同い年で、幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。彼女はいつも俺についてきてくれた。


それだけじゃない。俺たちは乳兄妹でもある。


俺を引き取ったハハリは、当時、まだ結婚していなかった。


この村では、神父の娘である彼女は特別な立場にあり、結婚することも許されていない。


そのため、俺が母乳を必要としていた頃、ミズハの母親が代わりに授乳を申し出てくれたんだ)


「ミーちゃん、こんな時間にどうしたんだ? いつもなら、こんな時間に来たりしないだろ?」


「あっ、そうだった! すっかり忘れるところだったよ。もう時間なの。神父様が教会で待ってるよ」


「えっ!? そ、そうなのか? もうそんな時間?」


「うん、そうだよ」


ミズハはアキラの手をつかんだ。


「ほら、行こう!」


「わ、わかったよ」


          ◇


村のはずれ。


そこには教会があった。


「ここが教会だよ」


ミズハに手を引かれながら、アキラは教会へと入っていった。


正面へと続く通路があり、その左右には数多くの椅子が並べられている。


そして、教会の正面には巨大な石像がそびえ立っていた。


頭の左右には、兜から突き出すように羽根飾りが伸びている。


長く荒々しい髭と口髭をたくわえた人物の像だった。


その目からは血のようなものが流れ落ちている。


像は一人の赤ん坊を抱えていた。赤ん坊の胸には矢が突き刺さっており、そこから流れ出る血を、人物は赤ん坊の下に添えた手で受け止めていた。


その石像の前、教会の最奥には、66歳の神父が立っていた。


その隣には、40歳ほどの女性がいる。


二人が教会に入ると、ミズハはアキラの手を離した。


「頑張ってね、アキラ!」


「ありがとう、ミーちゃん」


アキラは神父のもとへ歩いていった。


一歩ずつ。


そして、神父の目の前までたどり着くと、しばらく彼を見つめたあと、片膝をついた。


両手を組み、目を閉じる。


その間に、ミズハは先ほどの女性の隣へ移動した。


女性は微笑みながら、ミズハに話しかけた。


「あらあら。アキラの手を握っていたのね。ずいぶん大胆じゃない、ミズハ?」


「も、もう! お母さん、変なこと言わないで!」


ミズハは顔を真っ赤にした。


「ふふふっ」


女性はからかうように笑った。


彼女はミズハの母親だった。


一方、神父はアキラを見つめながら口を開いた。


「さて、アキラ。いよいよ、お前のスキルを確認する時が来た」


「はい、神父様」


(この世界に生きる者は、誰もがスキルを持っている。


だが、そのスキルが明らかになるのは、成人を迎える16歳になってからだ。


それまでは、体内のマナが不安定に変動し続けている。


しかし、16歳になるとマナが安定し、自分のスキルが判明するのだ)


神父は一冊の分厚い本を取り出した。


幾多ものページが収められたその本の表紙には、こう記されていた。


『聖典』


神父が本を高く掲げると、聖典は青白い光を放ち始めた。


「――スキルを顕現せよ。アキラ、16歳」


その言葉を合図に、本がひとりでに開いた。


ページが次々とめくられていく。


そして、あるページで止まった。


そこには、複数の名前が記されていた。


43番。


名前:アキラ。


年齢:16歳。


スキル:――。


その文字を目にした瞬間、神父の目が大きく見開かれた。


「こ、これは……! そんな、あり得ない! どうしてこんなことが……!?」


神父は信じられないといった様子で、記された文字を読み上げた。


「……修繕師?」


「……え?」


アキラもまた、驚きに目を見開いた。


「修繕師……? まさか、よりによって俺が……」


(この世界には、冒険者の職業として七つのクラスが存在する。


重装騎士、剣士、魔術師、治癒師、騎士、戦士、そして修繕師。


それぞれのクラスには、固有のスキルがある。


だが、修繕師にできることは、武器や防具を修理することだけだ。


戦闘能力はほとんどなく、戦うことを生業とする者たちからは嫌われている。


冒険者たちだけじゃない。村の人々も、神父も、俺に大きな期待を寄せていた。


それなのに……)


「こ、こんなはずでは……!」


神父は声を震わせた。


「まさか……16年間、ずっとこの日を待ち望んでいたというのに……! よりによって、お前がこんなクラスだとは!」


「お、落ち着いてください、神父様」


「黙れ!! この状況で落ち着いていられるわけがないだろう!!」


神父は激昂した。


「……ですが、修繕師でも村の人々の役には立てるはずです。武器や防具を直して、お金を稼ぐことだって……」


アキラは緊張した面持ちで、なんとか言葉を続けた。


しかし、神父の表情から怒りが消えた。


その顔は、凍りついたように冷たかった。


「お前……まさか、この村にこれからも住み続けられると思っているのか?」


「……え?」


アキラの表情が強張る。


「ま、待ってください! まさか、俺を村から追い出すつもりですか!? でも、俺は――」


「黙れ! もう二度と、その顔を私の前に見せるな! さっさと出ていけ!」


神父は頭を押さえながら、その場を去っていった。


「……信じられん」


アキラはその場に立ち尽くした。


目を大きく見開き、体を震わせながら、ミズハとその母親のほうへ視線を向ける。


しかし、二人は……。


目をそらしていた。


まるで、アキラなどそこにいないかのように。


アキラは顔を上げた。


泣き出しそうになりながらも、必死にこらえる。


そして、ゆっくりとうつむいた。


目から、涙がこぼれ落ちた。


(……裏切り、か?)


          ◇


その夜。


アキラは荷物を詰めた鞄を背負い、村の出口へ向かって歩いていた。


(予想どおりだ。


誰か一人が知っただけで、あっという間に村中へ広まった。


その結果、村の人間は誰も俺に近づかなくなった。


話しかけてくれる人もいない。


何年一緒に暮らしてきたとしても、結局はこうなるのか。


……異世界から来た人間なんて、どこへ行ってもこんなものなのかもしれないな)


やがて、アキラは村の端へとたどり着いた。


そこから先には、もう家はなかった。


「……もう、ここにいる必要はないか」


その隣には、ハハリが立っていた。


彼女の顔には、心配そうな表情が浮かんでいる。


「本当に行ってしまうの?」


「うん……ごめん、母さん」


ハハリは静かに首を横に振った。


「謝らなくていいのよ。ただ……どうか無事でいてね」


「……うん。行ってくるよ」


「ええ。道中、気をつけるのよ。わかった?」


「わかった」


アキラはそう答え、歩き出した。


ハハリは、その後ろ姿を心配そうに見送っていた。


(……さようなら?)


          ◇


村を見下ろす山の上。


アキラは最後にもう一度、村を振り返った。


「……」


そして、ゆっくりと歩き始めた。


一歩ずつ。


足元を見つめながら、アキラは心の中でつぶやいた。


(……これで、異世界での幸せな生活も終わりか)


そう思いながら顔を上げた、その時だった。


「……ミズハ?」


そこには、ミズハの姿があった。


アキラは驚きに目を見開いた。


「な、何をしてるんだ!? どうしてここに!?」


「どうしてって……あんた、バカなの?」


ミズハは呆れたように言った。


「もちろん、あんたについていくために決まってるでしょ!」


「そ、そうだよな……って、ええっ!? ど、どういうことだ!?」


「何よ? まさか、私があんたを置いていくとでも思ったの?」


「い、いや……」


アキラは困ったように頬をかいた。


「……正直、そう思ってた」


「はあ!? どうしてよ!」


「それは……」


アキラは視線をそらした。


「……わからない」


「もう! 最低!」


ミズハは頬を膨らませた。


「スキルが何だっていうのよ! そんな理由で幼馴染を見捨てるわけないでしょ! そもそも、どうしてみんながあのスキルを嫌っているのか、私にはさっぱりわからないんだから!」


アキラは目を見開いた。


(……そうだ。


今、目の前にいるのは、俺の幼馴染だ。


美人で、明るくて、誰とでもすぐに仲良くなれる女の子。


この世界で、俺にとって唯一の友達……。


どうして、そんな大切なことを忘れていたんだろう)


ミズハは頬を膨らませたまま、小さくつぶやいた。


「……それに、好きな人を置いていくわけないじゃない。まったく、信じられない……」


「ん? 何か言ったか?」


「な、何でもない!」


ミズハは慌てて顔を赤くし、両手をぶんぶんと振った。


「ほ、本当に何でもないから!」


「そ、そうか……?」


「と、とにかく!」


ミズハは笑顔を浮かべると、アキラの手をつかんだ。


「行こう!」


「ま、待て! いきなり引っ張るなよ!」


ミズハは楽しそうに笑った。


アキラもまた、つられるように笑った。


(……友情)

本作をお読みいただき、ありがとうございます。


今回の話は執筆を急いだため、展開の速さや物語への描写、キャラクターの紹介、情景描写、会話などにおいて、配慮が足りない部分があるかもしれません。


物語を十分に練り上げることができず、駆け足な展開になってしまったことをお詫び申し上げます。


それでも読んでくださった皆様に、心より感謝いたします。

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