↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『修理スキルしかない俺、壊れた伝説級装備を直したら最強になりました』  作者: AkiraNox


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/2

『二度目の人生の始まり』

日本、東京。


夜明け。太陽が昇ったばかりの頃。


近くにある小さなホテルの一室で、三十二歳の男が床の上で深い眠りについていた。


突然、携帯電話が鳴り響いた。時刻は午前六時。アラームの音だった。


男は寝返りを打って携帯電話を手に取ると、少しだけ目を開けて画面を見た。それから上半身を起こし、両手を高く伸ばして、大きく伸びをしながらあくびをした。


立ち上がった男は窓へ向かい、カーテンを開けた。


強い朝日が瞬く間に部屋を照らす。


男は慌てて目を閉じ、手で光を遮った。それからゆっくりと手を下ろし、窓の外に広がる街を眺めながら微笑んだ。


「朝日はいつも綺麗だな……」


数分後。


黒い鞄を持ち、仕事用の濃い青色のスーツを着た男が、街中を歩いていた。


人々の間を、笑顔で歩いていく。


男は心の中で語り始めた。


「俺の名前はサオル。三十二歳の独身男だ。現在は貿易会社で働いている」


サオルは会社に到着し、中へ入ると挨拶した。


「おはようございます」


すると、一人の青年が挨拶を返した。


「おっ、先輩! おはようございます! お元気ですか?」


青年は笑顔で尋ねた。


「おお、カネキ! お前がいつも通り一番乗りか」


「もちろんです! 俺は朝五時からここに来てますからね」


「相変わらず元気だな」


「こいつはカネキ。俺の後輩だ。いつも一番に出社している。毎回、自分が一番乗りだと思っていたんだがな……」


サオルは自分のデスクに座り、カネキも隣の席に腰を下ろした。


カネキ「そういえば先輩、少し前に先輩宛ての連絡がありましたよ」


「連絡? 俺にか?」


「はい。ある人から電話があって、仕事のことで先輩に会いたいと言っていました」


「それは意外だな。普段、客への連絡や広告の仕事は俺が担当しているんだ。向こうから会いたいと連絡してくるなんて思わなかった。こんなの初めてだ」


「それと……今日の昼に、先輩と二人きりで会いたいそうです」


「なるほどな。何も悪いことが起きなければいいが……。まあ、部長たちが来る前に仕事を始めよう」


「はい! 今日はやる気満々です!」


「その意気だ。俺についてこられるよう頑張れよ」


「望むところです!」


数時間後……。


サオルはカネキと一緒に街を歩いていた。


カネキ「やっと終わりましたね!」


「本当にな。疲れたよ。でも、まだ一日の始まりだ。仕事の打ち合わせはまだまだ残っている」


「それは大変ですね……。まあ、とにかく頑張ってください」


「は? なんで今日のお前は仕事をしないみたいな言い方なんだ?」


「だって、今日は仕事をしませんから」


サオルは驚いて叫んだ。


「何だと!?」


「今日は特別な日なので、部長に午後から休みをもらったんです」


「特別な日? どういうことだ?」


「今日は結婚記念日なんですよ」


「ああ、なるほど……。そういえば、前にもそんなことを言っていたな」


「若いのに奥さんがいるなんて、羨ましい限りだな」


サオルは冗談交じりにそう言った。


実際には、若いうちから結婚生活を送るのが大変なことだと分かっていたのだが。


そのとき、サオルは左手にカフェがあることに気づいた。


「ここが例の客との待ち合わせ場所だ」


「なるほど……」


カネキは笑顔で手を上げ、別れの挨拶をした。


「それじゃあ、さようなら、独身の先輩」


「おう、じゃあな……って、おい! 今、何て言った!?」


カネキは歩き去りながら答えた。


「さようなら!」


「待て!」


カネキはさらに遠ざかっていく。


「待てって言ってるだろ、この野郎! ……行っちまったか」


サオルは深く息を吸った。


「よし、落ち着け。明日また会えるんだ。絶対にぶっ殺してやる……」


もう一度、深呼吸する。


「それにしても、俺に会いたいって言っていたのは誰なんだろうな……」


サオルはカフェの入口へ向かい、中に入った。


店員が声をかける。


「いらっしゃいませ」


サオルは軽く会釈し、そのまま店内へ進んだ。


店内には大勢の客がいた。


「さて、どうやって相手を見つければいいんだ? そもそも、向こうは俺の顔を知っているのか? それに、相手は男なのか女なのか……何も聞いていないぞ」


すると、店の奥にあるテーブルから、誰かが素早く手を上げて大きな声で呼びかけた。


「こっち、こっち!」


サオルは驚いた。


「この声……女?」


サオルは一歩ずつ、ゆっくりと相手に近づいていった……。


しかし、目の前まで来て相手の姿を見た瞬間、目を見開いた。


……そこにいたのは、一人の女性だった。


だが、ただの女性ではなかった。


サオルは彼女を見つめ、口を開いた。


「スズミ……?」


スズミは立ち上がり、声をかけた。


「久しぶりね、サオル」


……


しばらくして、サオルとスズミはテーブルを挟んで向かい合い、互いの顔を見つめていた。


そこへ店員が近づいてきた。


「ご注文はお決まりですか?」


スズミ「コーヒーを一杯お願いします……」


店員は注文を書き留めた。


「コーヒーを一杯ですね。かしこまりました。お客様はいかがなさいますか?」


サオル「ああ、そうだな……。俺は水だけでいい」


「かしこまりました。すぐにお持ちいたします」


「ありがとうございます」


サオル「本当にスズミなのか?」


「……ええ、そうよ。突然押しかけてごめんなさい、サオル。でも、ずっとあなたにもう一度会いたかったの。それに、今までのことを謝りたくて……。昔みたいな関係に戻りたいの」


「ああ……そうか」


「スズミ……彼女は俺の妹だ。ただし、血はつながっていない。


俺が生まれて間もなく母さんは亡くなり、俺は父さんと二人で暮らしていた。


だが、父さんは最低な人間だった。毎日のように酒を飲み、ギャンブルに明け暮れていた。そして、腹を立てるたびに、特にギャンブルで全財産を失ったときなどは、何度も俺を殴った。


それから長い年月が過ぎた。


高校一年生のある日、父さんは一人の女性を連れてきて、再婚相手だと紹介した。


正直、そのときは何も感じなかった。父さんが何をしようと、俺にはどうでもよかったからだ。


その女性は離婚歴があり、俺と同じくらいの年齢の娘が一人いた。


それが……スズミだった。


最初の頃、義母は俺に優しく接してくれた。まるで本当の母親のように振る舞っていたが、俺には演技だと分かっていた。


スズミは俺を兄のように慕ってくれた。年齢もそれほど離れていなかったのに。


それから何年も過ぎた。


大学生になった頃、義母の態度が変わった。俺に対して、本当の感情を隠さなくなったのだ。


そこにあったのは、憎しみと嫌悪だった。


そしてある日、義母は何の理由もなく俺を殴った。


その後、父さんがやってきたので、俺は何があったのかを話した。


だが、父さんは俺の味方をするどころか、俺を殴り、家から追い出した。


それ以来、二人には一度も会っていない。


あれから、もう十年近くが経ったんだ……」


「こんな時期に会いに来てくれるとは思わなかったよ。というか、ずっと前に家を出ていっただろ?」


「ええ、私も自分がこうするとは思っていなかったわ。でも、あなたがどこで働いているのかを知って、すぐに連絡したの」


「そうだったのか。わざわざ会いたいと思ってくれてありがとう。嬉しいよ」


スズミは少し恥ずかしそうに頬を赤らめた。


「うん……」


「その後、俺たちは昔のことや、これまでにあった出来事についてたくさん話した。冗談を言い合い、楽しい時間を過ごした。


あれは、俺の人生で最も幸せなひとときだった」


二人は一緒に笑った……。


そして、しばらくして笑い声が止んだ。


サオル「ああ、そうだ。一つ聞きたいことがあるんだ」


「何?」スズミはコーヒーを飲みながら尋ねた。


「結婚したのか?」


スズミは飲んでいたコーヒーを勢いよく吹き出し、咳き込んだ。


「おい、大丈夫か、スズミ?」


「え、ええ、大丈夫よ。ちょっと驚いただけ……」


「驚いた? どうしてだ?」


スズミは頬を膨らませ、少し顔を赤くした。


「だって……そんなことを聞くなんて……」


彼女は小さな声で何かをつぶやいた。


「ん? 悪い、よく聞こえなかった」


「い、いいえ……。その……あなたの許可ももらわずに結婚するわけにはいかないでしょう?」


……


スズミはしばらく黙り込んだ後、自分が何を口にしたのかに気づいた。


顔全体が真っ赤になり、心の中で叫んだ。


「わ、私、何を言ってるの!?」


サオルは微笑んだ。


「なるほど。兄である俺に、結婚相手を認めてもらいたいってことか。嬉しいな」


「……何も分かっていない」


サオルは時計を見た。


「本当はもっと一緒にいたいんだけど、まだ仕事の打ち合わせがたくさん残っているんだ。そろそろ行かないと。悪いな、スズミ」


「い、いいえ、もちろんよ! 私こそ、あなたの時間を奪ってしまってごめんなさい」


「いや、本当に気にしなくていい。それじゃ、先に外で待っていてくれ。会計を済ませたら、すぐに追いかけるから」


スズミは何かを言いかけた……。


「それと、支払いは俺がするからな。文句は受け付けないぞ!」


「わ、分かったわ……」


しばらくして……。


カフェの外、横断歩道のそば。


スズミ「それじゃあ、サオル……またね」


「ああ、仕事が落ち着いたら、俺からも連絡するよ」


「ありがとう」


車両用の信号が赤に変わり、歩行者が横断歩道を渡れるようになった。


スズミ「私はこっちから帰るわ。それじゃあ、またね」


「ああ、またな、スズミ」


スズミは軽く頭を下げて、その場を離れた。


サオルは彼女の後ろ姿を見つめていた。


一歩、また一歩と、彼女が遠ざかっていく……。


そのとき、突然、誰かが叫んだ。


「危ない!」


サオルが振り返ると、一台のトラックが猛スピードで走ってきていた。


止まる気配はない。


運転手は意識を失っているようだった。


そして、そのトラックはまっすぐスズミに向かっていた……。


もう、すぐそこまで迫っている。


サオルは目を見開き、恐怖に駆られて叫んだ。


「スズミ!!」


彼は全速力で走り出した。


スズミも振り返り、トラックに気づいた瞬間、恐怖で顔をこわばらせた。


サオルは彼女に駆け寄り、ついに目の前までたどり着いた。


足がもつれ、転びそうになったサオルは、とっさに手を伸ばした……。


そして、彼女をトラックから遠ざけるように突き飛ばした。


スズミを突き飛ばしたその瞬間、トラックがサオルに激突した。


彼の体は大きく弾き飛ばされ、地面に叩きつけられた。


……


サオルは地面に横たわっていた。


全身から血が流れ、口からも血がこぼれている。


彼は心の中でつぶやいた。


「……何が起きたんだ?」


スズミが彼のそばに駆け寄り、泣き叫んでいた。


「サオル!!」


周囲には大勢の人々が集まっていた。


「確か……トラックに轢かれたんだよな……。スズミが無事でよかった。まだ泣いているのか……。くそっ、もう何も見えないし、何も聞こえない……」


救急車が到着し、けたたましいサイレンの音が響き渡った。


スズミはずっと叫び続けていた。


「くそ……俺、死ぬのか?


できれば、もう一度人生をやり直したいな……。


もし次の人生があるなら、まず最初に童貞を卒業して、可愛い彼女を作ってやる……」


そのとき、突然、サオルの目の前に何かが現れた。


まるで画面のようなものだった。


そこには、こう表示されていた。


『もう一度やり直しますか?』


Yes or No?


「何だこれ……? 俺、今ゲームの中にいるのか? 幻覚まで見え始めた……。それでも……」


「俺は『Yes』を選ぶ」


サオルは目を閉じた……。


そして、すべてが真っ暗になった。


……


サオルは、どこかの場所で横になったまま目を開けた。


「……何が起きた? あれ……俺、生きているのか? それに、この天井は何だ? どうして木でできているんだ? 俺、病院にいるんじゃないのか?」


そのとき、誰かの声が聞こえた。


年老いた男の声だった。


「おや、この子が目を覚ましたぞ……」


「……何だ、この声?」


声の主である男が近づき、サオルの前に立った。


老人は神父のような服装をしていた。


サオル「……神父? 何でこんなところにいるんだ?」


その後ろから、若い女性がやってきた。


「あら、本当ね!」


彼女は急いで近づき、サオルを抱き上げようと両手を伸ばした。


サオル「何をするんだ!? 手を離せ! 俺は子供じゃないぞ! それに、何でこんなにデカいんだ!?」


「はいはい、いい子ね。ママのところにおいで」


彼女はサオルを抱き上げた。


「な、何だと!? どうして俺を持ち上げられるんだ!?」


抱き上げられたまま、サオルは後ろを振り返った。


そして、目を見開いた。


神父「なんと可愛らしい子だ! 大きくなれば、きっと強い力を持つようになるだろう」


サオルは正面を向いた。


そこには鏡があった。


「……え? まさか、俺は……?」


鏡に映っていたのは、幼い子供の姿だった。


「……子供?」


ある日、平凡な独身会社員サオルの人生は、突然の事故によって終わりを迎えるはずだった。

しかし、目を覚ました彼を待っていたのは、想像もしなかった光景だった。

これは、サオルの新たな人生の物語である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。