第1話 魔王召喚
ここは、どこだ?ボクはコンビニにいたはずじゃ・・・
「お初にお目にかかります。魔王様。」
「魔王?」
「突然で困惑されておられるようですね。まずは自己紹介を。私はフラン・ジェスティアーノ、先代魔王様より魔王軍最高幹部である四天王の1人に任命されておりました。どうぞフランとお呼びください。今回の魔王召喚の儀の責任者でもあります。」
「何のことだかさっぱりなんだけど・・・。それに魔王召喚?勇者じゃなくて?」
「はい。魔王様を召喚する儀式です。」
「そんなこと言われてもそんな現実味のないことすぐに受け入れられないよ。」
「現実味のない?状況の整理もかねてお名前をうかがってもよろしいでしょうか?」
「ボクは九ひより。日本の女子高生なんだけど・・・」
「イチジク様、私どもは異界に関する知識を有しておりません。なのでニホンやジョシコウセイというものがどのような場所、どのような役職なのかがわかりません。お許しください。」
「本当に日本を知らないの?」
「はい。申し訳ございません。」
アニメは好きだし、よく異世界を舞台にしたものだってあるけど、本当に異世界に来ちゃったのかな?でも、魔王として召喚って・・・それにボク、運動神経だって最悪に悪いし、魔法なんて使えないだろうし
「本当に異世界なんだ。ボクのことはヒヨリって呼んで。ボクの国では君たちでいうところのファミリーネームかな?それが先に来るんだ。」
「そうだったのですか。ヒヨリ様。かしこまりました。」
「で、ボクが魔王って話だけど、信じられないんだよね。そもそもボクのいた世界には魔王どころか魔物すらいなかったから。」
遠巻きにゴブリンとかオーガみたいな見た目のがいっぱい控えてるみたいだし、魔物がいるってことだよね。このフランさんって人も角としっぽがあって悪魔みたいだし。
「私どももどのような世界から召喚されるかということは存じておらず、そのような世界から突然召喚してしまい申し訳ございません。」
「いや、異世界に召喚されるっていうことには憧れがあったからそれはいいんだけど、本当にボク魔王なの?」
実際異世界を舞台にしたアニメは好きだし、こういう憧れはあったんだけど、魔王としてとはね。
「はい。厳密にはこの儀式は魔王の素質を持つ方を異界より召喚するというものでございます。」
「魔王の素質?」
「はい。具体的には、驚異的な身体能力や、世界を滅ぼしうるほどの魔法の才、他を寄せ付けないほど強力なスキルなどのことです。」
「って言われても、魔法なんて使ったことないし、身体能力だってすごく悪いし、スキルだってよくわからないよ。」
「元の世界には魔法もスキルも存在していなかったのですか?」
「うん。」
「困りましたね。魔法は私が教えることが出来ますが、スキルは生まれつき所持しているものですし、それを自覚するのは5歳ごろ、失礼ですがご年齢は?」
「16歳だよ。」
「そうですか。他者のスキルに関して知る方法なんてございませんし、経過を見てどのようなスキルなのか探るしかなさそうですね。とりあえず本日より私がヒヨリ様のお世話を担当させていただきます。」
「分かったよ。でも、とりあえずこの世界がどんな世界でなんでわざわざ魔王を召喚したのとかとか聞きたいことがいっぱいあるから聞いてもいい?」
「もちろんでございます。ですが、立ち話というのも配下として失礼な話、こちらへどうぞ。」
豪華な客室?みたいなところに通されていろんな話を聞けた。
まずここは先代魔王が統治していた魔物や魔族のための国、魔物国メリオン。先代魔王は老衰で亡くなり、一時的に統治者がいなくなったところに他国が連合軍で攻め込んできているみたい。フランさんが言うには魔物側から人間に手出しをすることはないし、人間の国に居る野良の魔物はメリオンの住人、つまり魔物にも牙を剥くから世界的にここの住人とは別物として扱われてるんだけど、魔族だから悪だって言い張る勇者の言葉で各国が総力を挙げて動き出して、猶予がないからってボクが召喚されたみたい。
「なんとなくだけど、この世界についてはわかったよ。ってことは扇動してる勇者をどうにかできれば戦争は終わりそう?」
「わたくしもそう睨んでおります。勇者の持つスキルは民衆に大きな影響を与えるものでして。一種の洗脳のような効果を与えることが出来るようなのです。」
「それで各国の上層部にメリオンに攻め込むよう誘導したって感じかな?」
「おそらくは。」
「なるほどね。ボクに魔法の才があるかもわからないし、スキルが強かったとしてもどんなスキルを持ってるかすらわからないけど。そのどっちもが役に立たなくてもほかの部分で役に立てるかも。ボク、魔王やってみるよ。」
「そういっていただけて幸福の極みでございます。」
「そんなにボクを持ち上げなくていいって。もっと気楽に接してくれたっていいのに。」
「貴方は魔王様なのですからそうもいきません。」
「そういうものなんだ。」
「えぇ。本日は時間も遅いですしおやすみになってください。魔王様のお部屋にご案内します。」
「うん、お願い。」
ということで案内された部屋はきらびやかな装飾が施された豪華なベッドルーム。なんか逆に落ち着かないかもだけど、魔王になるって決めたんだし、受け入れないとね。
でも、魔王が人間なのって大丈夫なのかな?
それにしても部屋にシャワールームまでついてるし、意外と文明が進んだ世界なのかな?ベッドもふかふかだし。とりあえずシャワーだけ浴びて寝ようかな。
シャワールームもきれいだね。これ、大理石かな?すっごくきれい。ちょっと滑りそうで怖いけど。鏡も・・・・・
「なにこれ・・・」
鏡に映る自分の姿は自宅の鏡で見慣れた自分の姿、なんだけど頭に角が生えてる?だからフランさんとか後ろに控えてた魔物たちは私が人間なことに何も言わなかったんだ。
こんな姿じゃどっちにしても人間としては生きていけないね。ずっとフードかぶってないとバレちゃうし。でも、フランさんみたいにしっぽがあるわけじゃないんだね。
とはいえなんか変な感じ。まぁ、異世界に召喚されるなんて非現実的なことが起こってるんだし、何が起こっても動揺しないように頑張らないとね。
シャワーを浴びてベッドに潜り込んで眠りにつこうとする。
いつもならベッドに入るとどれだけ眠くなかろうと眠気に誘われるタイプなんだけど、今日は妙に眠くない。ってか寝れる気がしないかも。これも角が生えたことと何か関係があるのかな?確かに異世界ものだと眠らない種族だっているけど、だいたいアンデッドとかスライムみたいな生きてるか怪しいような雰囲気の奴が相場じゃないの?
まぁ、横になってるだけでも体は休まるし、夜のうちにいろいろ先のことを考えておこうかな。




