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終世の復讐者  作者: 桐花・覇
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22話 神への報復 終わり

次復讐モノを書く機会があればもっとヘイト発散出来るような内容にしたい。

「た、大変だ、みんな!邪神が目覚めた!このままだと暴れ出すぞ!」

「なんだって!?」

「早く始末しなきゃ………!」

「分かった、すぐに向かう!戦闘特化の権能を持つ神は私について来なさい!」

「はっ!」



 神世。

 神が、その眷属が、命を全うした現世の者が住まう地。そこを管理する神々は我こそが最上位の存在だと信じて疑っていなかった。


 実際、そう言えるだけの力が彼らにはあった。天変地異を自在に引き起こし、時に恵みを与え、奇跡を起こし、時にその大いなる力で現世を震撼させた。

 そんな神にも苦手なものはある。


 例えば、魔族。一人一人が現世の者とは思えないほどに強く、何より何があっても自分達に従わないあの傲慢さ。魔王にいたっては神すらも対抗できないほどの力を持つ。勿論、最高神なら簡単にほろぼせるだろうが。

 その魔王は死した後に稀に邪神となる事がある。邪神となれば神世を滅ぼす、その一心のみを抱いて動き続ける。ただでさえ強い魔王が自分たちと同じ領域に至ったとあればそれはそれは苦戦する。実際、これまでの邪神との戦いで幾重もの死者を出して来た。


 当然、今回も、神々の犠牲は免れないだろう。

 彼らは皆、自分がいかに生き延びる事ができるかばかりを考えていた。本当に邪神を打ち滅ぼし、神世を守ろうと考えているものは、数えても片手で足りる程度だろう。


「……………見えました、あそこです!」

「まさか…死者の町の目の前だなんて……!?これじゃあ人間達が邪神に殺されて大変なことになるわ!至急、征伐を開始する!」

「はっ!」


 邪神の前に立ちはだかり、全員で攻撃の構えを取る。力が溜められ、邪神の前に差し出された右手に収束する。これを放てば、流石にタダでは済まないだろう。

 邪神もそれを感じ取ったのか、死者の町から神々の方向に意識を向き変え、同時に体の向きを変えようとする。禍々しい顔が向けられ、神が尻込みする。


「あっ………!不味いわ、町が潰されちゃう!」

「早く打て!取り返しがつかなくなるぞ!」


 邪神が体を向き直す時、その巨大な足が死者の町を踏みつぶそうとする。

 しかし、邪神の足が町を潰すことはなかった。()()()()()()、足を滑らせ崩れ落ちたのである。


「な、なんだ………!?一体、何が起こっているというんだ!?」

「な、なんにせよチャンスよ!今のうちに、ありったけの力を出しきりなさい!」


「グオォォォォォォォ!!!!!!」

「効いてるぞ!今だ!一気に畳み掛けろ!」

「ちょ、ちょっと待ってください!アイツ、起き上がって来てませんか!?」

「本当だ!不味いぞ!」

「グゥオワァァァァァァァァ!!!!!!ァァァァァァァァ!!!!!????」


 神々の攻撃に激怒し、忿怒の咆哮を上げた直後、邪神は続け様に悲鳴を上げ始めた。よく見ると、邪神の下半身、町を踏みつぶそうとしていた足が跡形もなく根元から消失している。

 こんな事、いくら神とはいえ出来るはずがない。だが、この出来事は事実。なら、一体誰がこれをやったというのだ?


 その答えは、すぐに示された。


「ゴ………アァァァ…………」

「邪魔だ」


 一言の呟きとともに、邪神の足元から剣の一閃が放たれる。魔力によって超強化された一撃は、いとも簡単に邪神の身体を構成していた黒い靄を霧散させ、消滅させた。

 そこに居たのは、


「チャンスは与えた。だが、お前は、お前達はそれを無下にした。もう、慈悲をかける必要など、無い。最高神、その配下含め尽く此処で、皆殺しにしてやろう。」


 デューク=アグレシオン。神を滅ぼすため、もう一度神世に姿を現した。

 邪神をいとも簡単に消滅させた新たな脅威の前に、ついに逃げ出す者も現れた。しかし、


「がっ……あああ………?」

「もう、一人として逃がさん。これ以降、生きていけるなどと間違っても思うな。」


 投げられた短剣『地獄ノ太刀』が投げた神の頭を軽く貫き、その命を一瞬にして奪い去った。


「さて、と」

「ふざけんな!」

「人間如きが粋がってんじゃねぇぞ!身の程を知りやがれ!」


 かつて最高神がデュークに叩き伏せられたことも忘れ、神が襲いかかる。しかし、デュークは冷静だった。

 右腰に下げられた『根源ノ太刀』から一振りの剣が吐き出される。円状の鍔に細く長めの刀身。これは『黄昏ノ太刀』だ。

 吐き出された『黄昏ノ太刀』を左手で掴み、襲いかかって来た二柱を斬り殺す。返り血を浴びて長白髪の一部が紅く染まる。しかし、それを気にした様子もなくデュークは話を続けた。


「神妙にしてさえいれば、一撃で終らせてやるが?」

「ふっ………ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!!!!」

「誰が大人しくなんてするかよ!?やってみやがれ!返り討ちにしてや「ほう、そうかそうか」


 反論する者、無言で、しかし怒りを込めて攻撃しようとする者、それらを全て、一太刀で薙ぎ払う。神が散っていく。

 今やられたのは皆、神の中でも腕の立つ者達だった、それがやられたとあって、他の神は狼狽えだす。


「もう………終わり………」

「俺たち………死ぬのか………?」

「アストロさまぁ………!なんとかしてくださいぃ………!!!」

「………分かったわ。」


 アストロが武装を放棄し、デュークの前に出る。膝をつき、首を差し出し、デュークに自身の生殺与奪権を握らせる。


「………私は、あなたのどんな報復も甘んじて受け入れます。しかし、彼らは、部下達はどうか、どうか、見逃してもらえないでしょうか………!?」

「………」

「彼らの不徳は、私の未熟によるものです………!どうか、此処は私の命だけで終らせてはもらえないでしょうか……………!!?」

「………なら」

「なん、でしょうか」


 アストロの前に『黄昏ノ太刀』を置く。地面に倒れた剣がカランッと、音を立てる。それをアストロが拾い上げる。


「命で償う、と言うなら、その気が真実であるというところを見せてみろ。別に、私はお前さえ死にさえすれば、それで………」

「うおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!」


 その言葉を聞いた途端、今まで何一つ喋らず、戦いもしなかった神がアストロに襲いかかった。


「こいつさえ、こいつさえ死ねば!」

「私、死にたくないわ!だからアストロ様、死んで!」

「今までさんざん舐めた口聞いてくれやがって!死ね!死ね!さっさと死んじまえ!」

「お前一人死ぬだけで全員死なずに済むのよ、さっさとくたばりなさいよ!」

「なんっ、でっ、みんっ、なっ、どうっ、しっ、て」


 それはそれはもう、酷い有様だった。剣を手に持ったまま、抗う術なくやられ続ける。神々はアストロが自害する前に、自分達の手で殺そうとしていた。

 しかし、放つ力からは全力が感じられない。これは、確実に甚振っている。


「まさか、こうも神望が無かったとはな。流石に、これは哀れに思ってしまうな。」


 巻き添えを避け退避し、そう呟く。


「………これはもう、許す許さんの問題ではないな。屑が。お前達に生きる資格は無い。」


 デュークは『根源ノ太刀』を抜いた。それを地面に刺す。すると、世界が黒く染まっていった。まるで絵画を黒の絵の具で塗り潰すように。


「え………な、なに!?」

「なんだよ、これ………なにがおこってんだよ!?」

「え…!?か、体が、消えて………!?」

「何でだよ!アイツを殺したら見逃してくれるんじゃなかったのかよ!?何でこんな目に遭わなくちゃいけないんだよ!?」


 各々が勝手に喚き続ける。しかし、それを聴くものはどこにもいない。ただ、ガキのように誰にも見られることなく無様を晒し、消滅していった。



「…………随分と虫の息だな。私もまさかこんなことになるとは思っていなかったぞ。」


 重症だった。髪は焼け、頭皮を晒し、皮膚は焼け爛れケロイドとなり、衝撃波が全身の骨を砕き、手足が不自然に折れ曲がってしまっている。もう手を下さずとも、放って置くだけで勝手に死ぬだろう。


「…………しかし、そういうわけにもいかん。こんなことになったのは私の失言が原因だ。トドメくらいさしてやる。」

「……………」


 デュークの言葉を聞いて、息も絶え絶えだったアストロが掠れた声で何かを小さく呟いた。

 その直後、デュークの振るった刃がアストロの喉元を一閃する。確かな手腕のもと、一瞬でアストロの命を奪った。


「あ…………り…が………と……」


 最後に、そう言い残して。


「最後の最後だったが、反省も後悔もできたようだな。せめて次は、真っ当に生きろ。私からそう、願っておこう。」


 アストロの犯した罪は消えない。しかし、彼女は次こそは間違えないだろう。最期の一瞬ではあったが、彼女は罪を認め、償う気を見せたのだから。

 こうして、最高神アストロの一生は、幕を閉じた。


あと2〜3話くらいでこの作品も完結します。

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― 新着の感想 ―
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