020・偶然の逃避-The escape of chance-
前回までの神話…
世界のことを腐りきった世界だと思う高校生。
通称シン。
彼は突如超能力のような力、神力に目覚めた。
そしてゼウス主催のゲームに無理矢理参加させられることになった。
他のプレーヤーが続々と前に進む中、シン達はこのゲームをクリアすることが出来るのか?
「こんな弱い奴のために大技出すなんて…情けねぇーよ、俺…」
「そんなことを言うな。
こいつが”アイツ”なのかもしれないと感じたら、殺したほうがましだろう?」
「だからといって、殺すのはどうかと思うんだが?」
「それなら、俺たちじゃなくても、―――でもよかったろ?」
「俺は戦いたくてウズウズしてんのぉ!」
白衣の奴らは
俺を完全無視しているようだ。
それにしても、最後の言葉が聞き取れなかった。
なんなんならよかったのか…
そんなことより、俺に向かって刻一刻とかなりの大きさの剣が俺を貫こうとしている。
だんだん落ちるスピードが上がってきている。
「やっぱここじゃ慣れてないから、落ちてくるのにも時間がかかるよなぁ〜」
「そんなことは気にせんでいいだろう。
今こいつを殺せると言うものの、この技に力を使いすぎたからな…
つかの間の休憩とでも思っていたほうが…!!」
この時、いつものパターンがやってきた。
そう、萩野が俺を瞬間移動させたのだ。
俺達は一気に東京タワーに着いた。
このステージはクリア。
あっけねーー。
萩野が俺に話しかけてきた。
「シン、何あそこでボーッとしてたの?
私がシンを探してなきゃ、もう勝手にゴールしてるところよ!」
「ボーッとって、俺の周りに白衣を着た奴らがいただろ?」
「何言ってんの!シン一人だったじゃない!
頭でもおかしくなった?」
見えてなかったのか?
俺だけにしか…
ゼウスの姿はないが、東京タワーにつくと、いつの間にか展望台にいた。
そしていつも通りゼウスの声が聞こえてきた。
「早かったな。
実を言うと次がファイナルステージだ。
今は仲間とゆっくり楽しい茶番でもしてるんだな。
そうそう、お前らが元いた場所に帰るには、1階に下りれば自動的に着くようにしてあるから安心しろ。」
ゼウスの声が途絶えた。
俺は翔太が心配してるだろうと思い、一階に降りようと急いでエレベーターに向かった。
その時、萩野に呼び止められた。
ミクルちゃんはさっさと帰りたがってたので、一人エレベーターに乗っていった。
萩野が喋りかけてきた。
「あのさ…ゼウスが次はファイナルステージって言ってたじゃない……」
なんか前にもこんな場面があったような…
「それでね……もしかして…もぉ………言えなくなるかもしれないから言っとくけど…
私、昔…ある男の人に助けられたの…その人が私の初恋の人だったんだけど…今はどこにいるのかわからないのよ…」
「っで?何が言いたいわけ?」
何が言いたいのかさっぱりわからない。
俺が通常の思考を持っていればわかるような気が…
「その人とね、…あんたが似てるのよ…」
「結局何が言いたいわけ?」
無神経な俺。
後になってそう思うんだよな。
「でも、その男の人以上にあんたが大きくなってきたの!
とにかく、あんたのことがスキッてことよ!」
そのまま萩野は走り出し、エレベーターに乗っていった。
そんなこと急に言われても…俺は…
俺もエレベーターに乗って翔太の研究所に戻っていった。
研究所で翔太が俺のことを探していた。
「…シン!…こんなところにいたのかよ。てっきり帰ったかと思ったよ!」
翔太は汗だくになりながらも俺を探していたらしい。
翔太にもいいところあるじゃん。
「そうそう、お前にさ、悪いウィルスとか入ってないか調べたいんで、ちょっと来てくれないか?」
俺はそういうのは苦手だ。
「いや、いいよ。気持ちだけで十分。
それに俺、このとおり元気だし。」
「もしもの場合があるだろ、っな!」
なんか翔太がしつこい。
「ほんとにそんなことしなくていいからさ。」
「そんなこというなよ…お願いだから!」
何でこんなにしつこいんだよ!




