↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2346/2811

番外1565 地底の救助者

「今ッ!」


 ペトラがマジックサークルを展開。用いるのはライトバインドだ。迫ってくるワーム達が動けなくなったところを武官達が切り捨てていく。


「ペトラ殿も無理はなさらず!」

「はいっ! 魔力に余裕を持たせて行動します!」


 武官達の言葉に答えるペトラ。こう相手の数が多い状況だとディフェンスフィールドによって守られているとはいえ、魔力枯渇による昏倒は致命的な事になりかねない。

 とはいえ、ペトラもそれは分かっているようで、最初からレアンドル王や武官達、バイロンを支援する形で術を使うというのを徹底しているようだ。


 道中で語っていた魔法の使い方からしても、強い術より上手い術を、という指向のようだしな。


 そうやって互いをカバーしながらも煙の分断を利用してディフェンスフィールドを展開し直したりしながらも、ルトガー達の近くに防御用の陣地を移していく。レアンドル王には完全に合流するつもりはないようだな。


「頃合いを見てそのままちょうどいい距離に陣取り、ルトガー達と挟撃を取れる形での連携を取るのが良かろう」


 レアンドル王はそうバロールに作戦を伝えていた。反対する理由は何もない。戦力は集中させた方が良いが、今の戦力ならそちらの方が諸々動きやすい。


 テスディロス達も装備品の力を確かめるように、力を振って回っているしな。あちこちで爆ぜるような威力の一撃が炸裂して、ワームがバラバラと飛び散る。数が多いだとか再生能力があると言っても、覚醒氏族複数人や暴れ回るベリルモール達による破壊速度にはついていけない。


 後は――誰かが不覚を取ったりしないよう戦況を見ながらルトガー達を守り切るだけだ。カドケウスはどこにでも送れるように戦場に潜ませているが――。


「全員無事ですかっ?」

「脱落した者はいないと確認がとれています!」


 唸り声をあげるウロボロスを振るいながらも、背中を預けて共に戦っているルトガーに尋ねれば、そんな返答があった。

 つまりは自分達も冒険者達も無事、という事だ。心配していた怪我人は冒険者側で、腕に血のにじんだ包帯を巻いているが命に別状はなさそうだ。

 光の防御術のようなものの中で、ルトガーと共に出入りしつつワームと戦って凌いでいたようだが――。


 分からない――というよりも、事前に得られた情報からだけでは把握できていなかった事がある。


 その防御術を構築している存在についてだ。冒険者達でもドラフデニアの武官達でもない。いや、そもそも人と同種ではないのだ。

 防御術も――ディフェンスフィールドに似ているが違うもので。

 初めて見る術式と、初めて見る姿。いずれも知らないものだ。推測するなら大空洞内部に住まう独自の種族だとか、場所に由来するものか。


 子供の膝程の背丈で……。ずんぐりとしたフォルムをしているが、人ではあるまい。フードのようなものを被った姿だが、衣服というよりは外装パーツだ。

 フードのような形状の外装パーツの下にある顔部分は……目の部分が緑色に光っているな。


 生命反応と魔力反応が混ざったような、複雑な反応を示しているが……少し不安定だ。何か……不調か怪我をしているのかも知れない。


「こちらの把握していない方がいるようですが――心配はいらないのですね?」

「彼は味方をしてくれています! 不調なのも心配はいらない、と!」


 明瞭な返答。ならばその辺の事は後から聞けばいい。ここまでルトガー達を守ってくれていたのは、状況から見ても明らかなのだから。


 頷いて、目の前のワーム達に集中していく。把握していない者は確かにいるけれど、だからこそ皆で無事に切り抜けて、しっかりと状況に対応していかなければなるまい。


 練り上げた魔力をウロボロスに送り込めば、楽しそうな唸り声と共に余剰魔力の青い火花が散る。さて……。では、気合を入れていくとしよう。




 津波のように迫るワーム達の群れを薙ぎ払う。俺の胸のあたりでジェーラ女王の宝珠がぼんやりと輝き――体外に放出させた循環錬気の魔力の減衰を抑え、遠隔操作を容易にしてくれているようだ。ジェーラ女王もまた、遠くに術を展開してからの反射攻撃だとか立体的な攻撃を得意としていたようだからな。そうした性質が反映されている結果だろうか。


 元々の循環錬気の特性もあって遠隔魔法と呼べるほどではないが、それなりの距離まで複雑な術式を届かせることができるようになっている。


 ジェーラ女王の宝珠に関しては、操作しているというよりは、こちらの感情、想いに応えているという印象である。これならば……もっと戦い方の幅が広がって、色々な事ができるようになるだろう。


 見様見真似の術式ではあるがマジックスレイブを浮かべて立体的に光弾の弾幕をばらまきながらウロボロスを振るい、大岩や雷撃を叩き込み、シールドを蹴って群れの数が多い方から多い方へと蹂躙しては更に飛ぶ。


 再生するしないはお構いなしだ。諸共に粉砕してしまえば関係がない。

 限定された空間に魔力を展開して、四方八方から魔力衝撃波を叩き込めば、空間内部にいたワーム達が纏めて弾け飛ぶ。


「次ッ」


 地面すれすれでシールドを蹴って軌道を変えて、ワームの中に飛び込んでいく。マジックスレイブと幻術の囮を残して短距離転移で上空へ飛んで。そこから火炎の渦を放つ。火炎を吸い込む対抗呪文。フレイムアブソーブを併用することで炎の方向を誘導。仲間のいない方向に火炎の渦を誘導してワーム側の被害のみを拡大する。


 そうやって暴れ回っているとワームもどんどん数が減っていく。テスディロス達が相手をしていた援軍ももうそろそろ打ち止めといった様子で、広場に出てくるワームもやがていなくなる。


 テスディロス達もここぞとばかりに暴れ回り――やがてワーム達の生命反応も少なくなっていって。防衛というよりは残敵の掃討といった様相の戦いになっていくのであった。




『ジェーラ女王の宝珠の力でしょうか?』

『すごい事になっていましたね』


 水晶板の向こうでは先程の戦いについてグレイスやアシュレイがそんな風に言って、マルレーンもこくこくと驚きの表情で頷いていたりする。

 ジェーラ女王の宝珠がああした力を発揮するというのは驚きだな。女王の加護と言えばいいのか。あの力を借りた時にできることはまだ色々幅がありそうなので要検証といったところだが。


 ともあれ、戦いは終わった。ワームを残すと共食いで再生して戦闘能力を取り戻してしまうから、遺骸の始末はきちんとしておこう。


 それと並行というか、優先させるのは戦闘の後の状況確認だな。無事かどうかの点呼。怪我をした者はいないか。しているならどの程度か。治療などのケア。そういった部分から進めていこう。


「俺達は……問題ないようだな」


 そう言って頷きあうテスディロス達である。

 このへんは流石といったところか。元々魔人達は強者であるから、ああした多数相手の戦いは慣れているというのもある。


 コルリスとアンバーも大丈夫だ。一人一人の戦力が大きい分、あまり無理をする必要もなかった。引きつけた後に余力を持って空中に退避したり、そこから弾幕を撃ち込んだりといった対応をしていたという事もあって、怪我はないようである。


 まあ、モグラが空中に退避するというのもおかしなものではあるが。


 アンバーもコルリスと同じように色々な技を身に着けつつあるな。先々が楽しみではあるが。


 レアンドル王やペトラ達も怪我はない。バイロンも……ここまでの規模の実戦は初めてなようで肩で息をしていたが、無事なようだ。


 被害状況の確認や怪我をしていることが分かっている面々に魔法の鞄から取り出したポーションや治癒術、循環錬気を使って手当を施していく。ルトガーと同行している武官達の何人か。それに最初の救助対象であった冒険者。ワームとの戦いや崩落と落下に巻き込まれた際に手傷を負っている面々もいたが、一先ずは深刻な怪我ではなかったようで。そこは安心できる。


 同時にバロールを動かし、ワーム達をきちんと掃討できているかを確認しながら遺骸の処理をしていく。ゴーレムによって運んで、素材の剥ぎ取りという事で魔力の籠っていそうな牙を確保したり魔石の抽出をしたりした後は石化させて砕いていった。


 残った問題は……やはりルトガーの助太刀をしてくれた謎の存在だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 更新お疲れ様です。 レアンドル王が安易にルトガー達に合流しないところが琴線に触れました。 戦闘に慣れていない初心者だと、「とりあえず合流だ!」のように その場の事しか考えず自分で選択肢…
[一言] またしてもテオ氏が強化されていますがw そして新キャラも登場し謎が深まっていく展開になってきました。
[良い点] まあ、モグラがマクー空間に退避するというのもおかしなものではあるが
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。