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ガダルカナル〜密林に消えていく星〜  作者: kazu
第二章 「激闘篇」
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第17話「家族ヘ」

380ユニークアクセス。そして800PV突破ありがとうございます。

これからも精進して参りますのでどうぞよろしくお願いします。

それではとうぞ。

僕たちは必死に森林を走った。


止まれば死ぬ…死ぬ…!!


そんなことを考えながら心は「敵」というものに怯えながら走っていた。

後ろではまだ銃声が響いている。


聞いた情報によると複数人の者たちが撤退を拒否し向こう側で徹底抗戦しているらしい。

自分も残りたかったが足手まといになるだけだと感じ、おとなしく長島と撤退している。


三八式歩兵銃も置いてきてしまった…


しかしもう戻りたくなんてない。


だからこそ走り続ける。

海軍司令部があるところまで。


そうして、何時間経っただろうか…



ガダルカナル島 夜明け前 海軍司令部付近


ズドーン…と轟音が小さく響く。

小嶋たちは、心で悟った。


やられたな…あいつら…


米軍はやはり日本兵たちを徹底的に殺すため機関銃、大砲、戦車そして大量の歩兵を動員し殲滅しようとしていた。


まぁ彼らからしたらもう、イル川渡河戦で負けた敗残兵狩りでしかないのだろう。


しかし俺たちはまだ負けてはいない。


いつか仕返ししてやろうと心に誓う。


そうして歩いているとついに海軍本部が見えてくる。


後ろにもたくさんの負傷兵がいる。


でも、見えない人達がいた。 



あれ…?吉田…中尉は…?



そう、吉田中尉の姿がなかった。

佐原大尉だってない。


そう疑問にとどめられなくて、長島に聞いてしまう。


小嶋「なぁ…吉田中尉や、佐原大尉は…?あの、俺たちの海軍陸戦隊の士官なんだけどさ…」


長島一等兵「なぁ…取り乱さず聞いてくれよ…」


長島一等兵はそう忠告する。

その上で長島も話す。


長島一等兵「二人とも、砂州(さす)で"血まみれ"で倒れてたよ。」



え…?


二人とも…血まみれで…?



そう、絶望的なことを言う。


長島一等兵「取り乱さず聞いてくれてありがとうな。でもな、一木大佐も死んだよ。」


死にすぎ…じゃないか…?


なんでだよ…なんで…


小嶋は久しぶりのこんな絶望的な感覚に陥った。


立ち直れないほどに。


すると長島は背中の背嚢(はいのう)をおろし、一通の紙を出す。


長島一等兵「これはな、吉田中尉に直接俺が貰ったものなんだ。功績係に届けてくれってな。」


そうして、小嶋はその紙を読む。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

昭和17年 8月21日 吉田 勇武 海軍陸戦隊 中尉


私ハ、コノ日ノ為二全テヲ捧ゲテキマシタ。


皇軍トシテノ勇マシイ戦イブリヲ鬼畜米英二見セツケテヤロウトマサニ最後ノ血ノ一滴ガ無クナルマデモ奮闘シ、コノ皇国ノ興廃ヲ分ケル一大決戦二コノ身ヲ捧ゲマス。


母、父、妹ヨ。


ドウカ、コノ手紙ヲ読ンデクレタナラバゼヒ空二向カッテ私ノ名前ヲ叫ンデヤッテクダサイ。

空カラ私モ神ノ地カラ神国ノ地二届クヨウニ必死二叫ビ続ケマス。


母、父、妹ト。


タダ、ソノ家族ノ名前ヲタダ一人デ。


天ノ地カラ、タダ一人デ。


サラバ、母ヨ。


サラバ、父ヨ。


サラバ、妹ヨ。


サラバ、世界二一ツノ神ノ国 日本。


天皇陛下万歳。


ソノ心ヲ、タダ胸二。


遺書 大日本帝国海軍士官、吉田勇武カラ家族ヘ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

この遺書を読んだ小嶋は、涙を抑えきれなかった。


今まで自分を世話してくれていた上官が、こんなに呆気なく遺書になってしまうのかと。


そう感じてしまった。



あぁ、畜生…涙が止まらねぇよ…



吉田中尉殿…吉田殿…!!


なぜ…なぜあなたが…!!!


なぜ死ななければ!!



そう、心で怒りを感じながらも泣くしかなかった。


ただ、その人がもういないという現実と向き合うしかなかった。


そうメソメソ泣いていると、後ろから肩を叩かれる。


振り向くとそこにいたのは…


"中村"だった。


小嶋「っ!…中村…吉田中尉が…!!」


中村「いいんだ…俺も…今聞いたんだよ…!てか…見ちまったんだよ…」


そう中村は苦しそうに言う。


中村は続ける。


中村「あの砂州を渡る時に、機関銃がこちらを穴だらけにしてきた時にすでに…既に吉田中尉は撃たれて戦死していたんだよ…!」


そう、中村は告げる。


小嶋「畜生…!なにが…なにが神の国だよ…!」

そう、小嶋は怒りと悲しみを同時に顔に出しながら言う。


小嶋「日本は好きだけど…神の国なんて嫌いなんだよ…!こうやって…こうやって死というものを簡単に、綺麗にして片付けてしまうこんな神の国が…!!!」


そう遺書を握りしめてそうただ怒る。


小嶋は、複雑な感情だった。


日本は神の国だ。


日本は好きだ。


好きだからこそ守りたいと感じたんだ。


でも、神の国という日本を持ち上げすぎる肩書も嫌いなんだよ…!


そうやって神の国になっちまったから、こんなに死が…死というものが簡単に片付けられちまうのかよ…!!


いつまで…神の国になっちまってんだよ…!!


日の本の国は…


俺の好きだった日の本の国はどこに…いったんだ…


そう泣いていると、小嶋は中村に肩を叩かれる。


中村「いいか?前、お前に言ったこと覚えてるよな。」


そう中村は聞く。


中村「自分で、一人で立てって言ったことだよ。」


小嶋「あぁ…覚えてるさ…!それがどうしたんだ…」


そう小嶋は暗い顔で聞く。


それに中村は返す。


中村「あの時は自分を助けろって意味で言ったんだ。でもな、お前もう今じゃ一人で立てるだろ?」


そう言われた。


確かに一人でもう立てる。


でも、こんな状況じゃ…


中村「だからこそな、次は誰かを助けろ。」


小嶋「え…?誰かを…助ける…?」


小嶋はそう言われ、自分に疑問に思う。


そんな、事言われても…


既に助けれなかったろ…俺は…!


そんな考え事を遮るように中村は話す。


中村「その意味はつまりな…つまり…な…!」


そんな言葉に詰まってる中村の顔を見ると、悲しみとそんな涙が頬を辿る中必死に作ろうとする笑顔の顔でぐちゃぐちゃになってしまっていた。


中村「"俺を…助けてくれ…!!"」


「俺、生きたいんだよ…!!!」


ハハッ…そういうことか…


小嶋は少しフッと笑い、中村に手を貸す。


小嶋「いいぜ、今度は胸貸してやるよ。」


中村「胸…?」


中村は自分で助けを求めたが予想外の言葉に困惑する。


しかし小嶋は続ける。


小嶋「心だよ。こころ。」


「お前の心の太陽になりたい。」


そんな願いを胸に抱きしめていた。


俺は、その思いを、太陽の温かみを中村に上げたかった。


ただその一心で、抱きしめた。


第十七話「家族へ」





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