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【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第一章 東京駅、異界からの、謎のアベック

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3 【琵琶湖の水止めたろか弁当】

 その松本に、

「今日は、この、【滋賀】のほうの弁当をね? 買ってみようと思ってるんだ」

 と、西京は、スマホの画面を見せる。

 そうして、見せられた先、

「あん? 何だよ――? この、【琵琶湖の水止めたろか弁当】って、よ?」

 と、松本は“とある弁当”に気がつき、顔をしかめる。

【琵琶湖の水止めたろか弁当】――

 滋賀県民の決め台詞、捨てゼリフ的なパンチの効いた過激な名前ではあるものの、そこには確かに、滋賀県、琵琶湖近辺の郷土料理を用いた弁当の画像があった。

 近江牛だったり、ビワマスの炊き込みご飯。エビ、アユの佃煮、焼きモロコ。

 あとは、赤こんにゃくだったり、丁字麩ちょうじふのからしあえ、豆腐田楽や漬け物など、ご当地っぽいナニカ、と――

 まさに、織り物四季折々、かつ色とりどりに、郷土を感じさせる弁当である。


 そんな、弁当について述べるのは、そこそこにして、

「それで? 話を戻してだけど、要件ってのは? 何だい?」

 と、西京が、本題を松本に尋ねると、

「ああ、そうだ……! 場合によっては、アンタたち、そのまま列車に乗れっかもな」

「……ん? どうゆうこと、だい?」

 と、何かを思い出した松本に、西京が、怪訝な顔をする。

 松本は続けて、

「ああ……、ちょっち、アンタたちに、東京駅のほうに、行ってきてほしくてさ」

「東京駅で、何か調べてくる――、ってことですか?」

 とは、瑠璃光寺。

「そっ、」

 松本は返事しつつ、

「ちょっち、【タヌキのヤツ】からさ、【こんな情報】が、あってな――」

 と、そのまま、ノートパソコンを見せようとした。

 なお、【タヌキのヤツ】とは、【妖狐】こと、神楽坂文のことである。

 異界の住人だが、松本たち人間界隈とは多少協力関係にある、【ドラえもんみたいなナニカ】である。

 まあ、その容姿はというと、麗しくも黒のアサシンドレスを身にまとった、美麗の女の【なり】をしているという。

 なお、見た目の“妖狐要素”は、狐耳と尻尾しかないが……


 妖狐についての説明は、さておいて、

「キツ――、タヌキさんから、ですか?」

 と、瑠璃光寺が聞き返す。

【タヌキ】を【キツネ】とするべきところを、逆に訂正しながら。

「ああ。とりま、これ見てみ?」

 松本は答えつつ、「さっさと確認してくれ」と云わんかのように、ノートパソコンを瑠璃光寺に渡す。

 そうして、空いた手で、まだ残っている瓦蕎麦に手をつける。


 ――ズズッ……


 と、蕎麦の音のするそばで、西京と瑠璃光寺はノートパソコンを確認する。

 そこには、まず、【とある男女ふたり組】の写真が映っていた。

 カラフルなロシア帽を被った、ブロンドヘアの、顔立ちの整った白人の男。

 その相方も、肌のほうは同じく白いものの、黒髪に、黒づくめの服装をした、表情の冷たそうな女、

 彼らの画像を確認して、

「う、ん? これは……、【アベック】、かい?」 

 と、西京が言った。

「何だよ? 【アベック】って? 【昭和】か」

 松本が、確かに死後になって久しい【アベック】との言葉に、『欧米か?』のノリでつっこむ。

「まあ、カップルかどうなんかは、知らんけど……、こいつら、【異界人】らしくてさ」

「「【異界人】――?」――だって?」

 西京と、瑠璃光寺の言葉のタイミングが重なる。    


「ああ……。あの、タヌキの情報によると、何ていうんだろ――? こいつらは、恐らく、雪と氷の、極寒の異世界の、軍人らしくてな」

「極寒の、異世界、だって?」

「まあ、タヌキのヤツが言うには、な――。ちな、もしそうだとすると、何か、【冷気】を司ったり、操る力を持っている、かも」

 と、松本は補足する。

「冷気を、操る力ですか?」

 瑠璃光寺が、聞き返す。

「うん、【かも】ー」

 と、松本は返事しつつ、【かも】と、あくまで推測だと強調する。


 また、西京が聞く。

「それは、凍らせたり……、雪を降らせたりするような力を、イメージすればいいのかい?」

「とりま、そう考えておけばいんじゃね? まあ、それが、“どの程度”の力なんかは、分かんないけど」

「それで、東京駅のほうに行ってほしいってのは、このアベックが、いま、東京駅にいるからってことかい?」

「そっ、そゆこと」

 松本は、「そうだ」と答えつつ、

「だから、駅弁買いに行くんだったら、さ? ついでに、調べて来てよん」

「そんな、駅弁のついでにって、ねぇ……」

 と、西京は「やれやれ」と答えながらも、しぶしぶ東京駅に向かうことにした。

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