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【追跡、こだま317号】  作者: 石田ヨネ
第五章 激突、ジェラート大佐!!

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22/53

22 もう始まってるッ――!!

 西京は、周りを少し気にしながら、

「(お疲れ様、です)」

 と、小さい声で、声をかける。

 なるべくなら、短い間に、目立たぬように情報をかわそう思った。

 しかし、


「……」


「……」


 と、ピタッ……と立ち止まった鉄道警察の男たちだが、どこか、冷たい目でこちらを見ているように見える。

 まあ、冷界人などという、胡散くさい存在を扱う組織・部署であるから、そうした目を向けたくなるも、分からなくはない。

 ただ、今こちらを見ている彼らはというと、まるで、生気が半分抜けた目というか感じ、か――

 その時、


「……、西京……、さん、」


 と、男のひとりが、ボソッと喋ったような気がした。

「――ん、ん?」

 瑠璃光寺が、思わず声を出し、

「――?」

 と、西京は喋らずに怪訝な表情を、それも、すこし警戒感をこめた表情をした。

「……」

 無言で、鉄道警察の男たちを見る。

 どこか、様子がおかしい――

 西京は、やはり違和感を感じた。

 次の瞬間――!!


「フシュッ――!!」


 と、気づいたときに西京は動いていた!!

「うゴッ――!?」

 鉄道警察の男の漏れる声が聞こえると同時――!! 彼は宙を舞って弾き飛ばされる!!

 そこには、拳法のようにして掌底のような形で半歩ほど踏み出した西京の姿があった。

 また、流れるような動作で、

 ――グ、ワシッ――!!

 と、残った男をつかんだ刹那!!

 ――ド、ワンッ――!!

 と、これを滑らかに柔術で以って投げ飛ばしていた!!


 一瞬のできごとに、

「たッ!? 太郎さんッ――!?」

 と、瑠璃光寺が驚くも、

「るッ、るりさんッ!! もう始まってるッ――!!」

「もう始まっ、――ッ!?」

 とここで、以心伝心のごとく、コトは伝わる。

 すなわち、鉄道警察の男たちは恐らくと推察するまでもなく操られており、ジェラート大佐らは動き出していた。




          (2)




 ――ここで、場面は変わって。

 時間は若干前後して、東京は丸の内の、特別調査課にて。


 デスクにて、

「……」

 と、松本は頬杖してパソコンを睨みながら、西京たちの調査のサポートを続けていた。

 ただ、緊張感とともに、なかなか何も起きる気配がない気だるい状態が続く中、すこし草臥くたびれた様子が混じっているようにも見える。


 その様子を見て、

「疲れ、ますよね? 室長?」

 と、黒桐廉太郎が声かけてきた。

「――ん?」

 松本は、

 ――ゆる、り……

 と、黒桐のほうを向いてやる。

 ただ、その表情が、不機嫌のときの“それ”だったのか、

「ッ――!?」

 と、黒桐が、

 ――ビクンッ――!!

 と、怖がる反応をした。


「ん? 何、ビビってんの?」

「い、いえっ……、その……、室長、お、怒っているのか、と……」

「はぁ、別に、何も怒ってなねぇけどな」

「は、はい、」

 黒桐と、そのように話しながら、

「まあ、何て、いうかさ? この、何か起きそうるのか起きないのか分からない状態で、さ? ずっと、こだま号の動向を観察すんの、疲れてくるよな?」

 と、松本は、デスクの向こうにいる零泉円子にも聞こえるように話を振ると、

「――っす、ねぇ……」

 と、零泉も、すこし草臥れた様子で返事をしてきた。

 まあ、この零泉円子であるが、VR分析においては欠かせない存在である。

 今回の西京たちの追跡調査においても、半分以上、電脳空間に常に“頭を浸らせている状態”だった。

 ゆえに、その負担というのは、でかいものである。


「何? 疲れてんの? 大丈夫か? 円子?」

 松本が心配してやり、ドクターペッパーを手渡す。

「あっ、あざっす、実長……」

 零泉は受け取る。

 まあ、コーラ派なので、ドクペよりはコーラのほうが良かったのだが。

 そうして、

 ――プ、シュッ――!!

 と、ドクペが空く音を、室内に響かせながら、

「いやぁ、確かに……、何とも言えない、微妙な調査っすねぇ……」

 零泉が、ひとり言のように呟くと、

「微妙な、調査――?」

 と、黒桐が聞いた。

「だから、何か、“コト”が起きるか起きないか、分からんからやって。そんな、はっきりせぇへん微妙な状態が、一番疲れるやんか」

「まあ、そうだね……」

 と、零泉と黒桐が言葉を交わす。

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